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教育格差に問題意識を持っていた僕がNPOで代表をつとめる理由

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今回は、Learning for All代表理事の李炯植(りひょんしぎ)にインタビューを行いました。
なぜLFAに関わったのか、今後LFAをどうしていきたいのか、ざっくばらんに語っておりますのでぜひご覧ください。

 

<李プロフィール>
名前:李炯植(りひょんしぎ)
役職:Learning for All 代表理事
出身:東京大学教育学部

 

LFAに関わり始めたきっかけは何でしたか?

直接的なきっかけは、大学3年生の頃に大学の先輩に誘われたことです。当時はただダラダラと毎日を過ごしていたので、参加をためらいましたが、「教育格差」という問題自体にはすごく課題意識を強く持っていたため、「何か行動を起こしてみるか」と重い腰をあげました。

 

教育格差に問題意識を持っていたのは何故ですか?

私は出身が兵庫県の尼崎市という所で、生活困窮者が非常に多い地域なんです。その中でも特に厳しい地区で育ちましたので、「格差」や「貧困」を実感しながら生きてきました。実際に、ランドセルを背負って学校に行く道すがら、路上生活者の方が凍死して運ばれるのを目にしたりすることもありました。
友人の中には、複雑な家庭環境で育つ人や、家庭の経済的な要因で希望する進路に進むことができず、夢を諦めないといけない人もたくさんいました。こうした地元での日々の中で、「生まれた地域や家庭環境で人生の可能性が制限されている」ことを強く実感してきました。
個人の努力だけではどうしようもない構造的な課題があることに、怒りに似た感情を持っていました。

大学では、地元の世界とは正反対の世界を目にすることになりました。私の通っていた大学は、やはり世帯所得も文化資本も高い人が多く、地元とのギャップに戸惑いを覚え、日本にも「階層」があることを実感しました。それと同時に、生まれた地域や家庭環境で人生が大きく左右されることへの実感をさらに深めました。

大学の友人の中には、私の地元のような環境を全然知らない人もいて、衝撃を受けたのを覚えています。私の地元の話を聞いて、「努力しない奴はダメだよね」「馬鹿は馬鹿らしく生きればいい」などと言う人もいました。「これは個人の努力の問題じゃなくて、構造的な課題なんだ!」と、当時の私は怒りを覚えていましたね。そんな中で、前述の先輩からお誘いを受け、LFAに関わることになりました。

 

李代表②
(大学4年生時に事業部長に就任した李)

 

どんな経緯で代表に就任されたのですか?

Learning for All(当時はNPO法人Teach For Japanの一事業)に参加した当初、まずは生活保護世帯向けの学習支援プログラムで3ヶ月間教師を経験しました。しかし、そこで成果を出すことができず、より支援の質を上げるために運営スタッフとなり、現場責任者を1年間務めました。
LFAは今も昔も現場に大きい裁量があるので、子どもたちのためになることはかなり自由にやらせてもらい、結果として自分が教師をしていた時と比べ、プログラムの質を向上させることができました。
その拠点での成果が認められ、職員として学習支援事業の全国統括をするお話をいただき、事業部長に就任します。その後、LFAがNPO法人として独立することが決まり、代表に就任しました。

 

これまでの活動で学んだことはなんですか?

あえて一つに絞るとしたら、「教育格差」という課題は非常に複雑である、ということです。教育格差が生じる原因は、様々なんですよね。
もちろん、家庭の経済的要因や生まれた地域環境が大きく影響しています。ただ、他にも学校内の状況、親世代を取り巻く就労や社会保障の問題、就学前の子どもたちへの保育制度や保護者支援の問題、など様々な課題が複雑に絡み合って、「教育格差」という課題が生じているのがよくわかりました。
もちろん、大学時代に勉強した範囲で知ってることもたくさんありましたが、実際に現場で子どもや保護者、学校や自治体、地域の方々の話を聞いていくにつれ、課題の状況がこれまでよりもくっきりとわかってきました。やらなければいけないことが日々増えていく中、現在の支援を続けつつも日々深まる課題意識から真摯に学び、事業を進化させてく必要性を感じています。

 

なぜ、NPOの代表として教育格差に関わるのでしょう?

NPOが最も現場に近い位置で、課題を実感し、課題の構造を暴き、あるべき姿を描けると思ったからです。
自分自身、地元での経験から、文章やレポートで読むだけでは、課題を正確に認識できないと思っています。現場の雰囲気や手触りなどに触れてこそ、本質的な課題に気付けるのではないかと考えています。なので、私はNPOという「現場に近い」場所にいることにしました。

とはいえ、NPOだけで全てが解決されるとも思いません。様々なセクターのみなさんと連携し、課題解決をしていく必要があります。そうした連携の中で、NPOは課題の最前線にいるものとして、課題を正確に語り、課題の当事者の状況を代弁していく役割が求められるでしょう。

地元での原体験を持っていて、そして、その原体験とは無縁の世界も知っている私だからこそ、いつまでも現場の声なき声を代弁する存在でありたいと思っています。あえて言うなら、そういう理由ですかね。

 

今後、LFAをどのような組織にしていきたいですか?

大きく二つあります。「1. 今の学習支援事業について」と「2. 今後挑戦したいことについて」です。

「1. 今の学習支援事業について」は、「質」・「量」ともに進化させていきたいと考えています。
「質」の面で言うと、学習支援の再現性向上と効果測定の強化の二つに注力していきます。再現性については、これまで培った学習支援のノウハウをまとめ、質の高い支援のモデル化に努めます。
効果測定についても、日本財団さんとのプロジェクトで事業の効果測定方法を改善し新たな測定方法を導入しています。
(※ 詳しくはこちら:日本財団とのプロジェクトについての記事

「量」の面で言うと、学習支援サポート事業を立ち上げ、学習支援の設立/設計支援や学習支援のノウハウ展開を行っていきます。
それを通して、効果の高い支援がより多くの地域に広まることを狙っています。困難を抱える子どもへの学習支援は、様々な法整備もあり、今後推進されていく方向性です。
0から支援を作り上げることは非常に大変ですし、全体的に見ると課題解決の効率が悪いので、学習支援サポート事業を通して、日本全国の学習支援事業をサポートし、子どもたちのためになる事業を増やしていきたいと考えています。

「2. 今後の挑戦について」は、上述の通り教育格差を生んでいる社会的な背景は非常に複雑です。LFAはこれまで義務教育段階の子どもへの学習支援を行ってきましたが、就学前や高校進学後のサポート、保護者支援についても検討していかなければなりません。

課題を解決していくためには、一つの打ち手だけではなく、より包括的な支援を構想し、実装する必要があります。
1つのNPOで出来ることは限られていますが、様々なNPOや企業・自治体とも連携しながら、より包括的な支援を構想していきたいと考えています。課題が解決された先の社会制度を語り、実装への道を拓いていきたいです。

LFAの長期的なビジョンは、「教育格差に当事者性を持つLFA卒業生が、様々なセクターから課題解決のアクションを起こし、社会全体で課題を解決する」ことです。
この長期的なビジョンを実現していくことが、まさに包括的な支援の構想、新たな社会制度の提示に繋がっていくと確信しています。

 

最後に大学生へメッセージをお願いします

「やりたいことをやってください!」、以上ですね。笑

大学の授業や課題、その他やるべきことはそこそこにきちんとやる。でも、やりたいことやってないと、面白くないですからね。
ちょっとでもやりたいと思えることが、何かしらLFAというフィールドに引っかかる方は、ぜひ説明会へ来てみてください。
教育に関心がある人、教育格差に課題意識がある人、NPOというセクターに興味がある人、学校に関して問題意識がある人、ソーシャルビジネスに関心がある人、動機は何でも大丈夫。一度、説明会へ来て、LFAスタッフと話してみてください。学生時代に嘘のない実体験を持つことは、今後の糧になるはずです。

李代表③

説明会へのご参加を希望される方は、こちらよりお申し込みください。

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