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<インタビュー>教育社会学を大学で学ぶ私が、LFAを通して考えたこと

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今回は、東京大学 教育学部で教育社会学を専攻しながら、Learning for Allで学生スタッフを勤める遠藤 侑さんにお話を聞きました!
大学でアカデミックな教育に触れながら、LFAで実際の教育現場を経験する中で感じたことを語ってくれています。

<プロフィール>
名前:遠藤 侑(えんどう ゆう)
所属:東京大学 教育学部 3年
LFA歴:3年

 

- 大学の専攻について教えてください

教育学部で教育社会学を専攻しています。教育学というと、学校や教員について、あるいはどうすれば成績が伸びるのかといった、授業場面や学校教育について学ぶイメージが強いかもしれませんが、教育社会学とは社会学的な視点から教育について研究する学問です。例えば、「非行」や「いじめ」という観点から教育を分析したり、学校が社会に対して提供している価値を分析したりと、いろいろな視点から教育の「機能」を俯瞰し分析するのが教育社会学です。

 

- 教育社会学を志したきっかけを教えてください

僕は新宿で生まれて地元の小学校に通っていたのですが、中学受験をして都内の中高一貫の進学校に入学しました。高校生になって友人と進路の話をすると、有名な大学に進み、将来は官僚や研究者となって「社会全体をよくしたい」という話を聞くことが多くありました。もちろん僕は彼らの志をとても尊敬していたのですが、それと同時に、彼らの語る「社会」に、僕が新宿の街で見てきた路上のホームレスの方々や、水商売で生計を立てている方々の生活の現実は果たして含まれているのだろうかと疑問を持ったんです。生まれた地域や環境によって意識に差が生じていることに興味を持ち、様々な書籍を読み進めるうちに、苅谷剛彦先生という教育社会学の教授の本に出会い、苅谷先生の元で学ぶために東京大学を受験しました。実際には、入学する直前に苅谷先生が別の大学へ赴任されてしまい、先生の下で学ぶことはできなかったんですけどね(笑)

 

- LFAで実際の教育現場を経験したことが、学問に与えた影響を教えてください

臨場感を持って学問に向かえるようになりましたね。例えば「インセンティブ ディバイド(=incentive divide、意欲格差)」という概念、簡単に言うと、経済格差が意欲格差(いくらがんばって勉強しても自分の将来はどうせ良くならない、と学習に対する意欲が低くなること)を通して学力格差を生み、それが階層の再生産に繋がる、という考え方なのですが、このインセンティブ ディバイドは大学の授業でよく聞くものの、リアリティを感じられないことがありました。
けれどLFAで実際に子どもと対面して、勉強が得意でない子どもが意欲をなくしていく仕組みがあることに気づきました。それは例えば、学校では授業を成立させるために、出来る子がよく当てられ、理解できていない子が「解らない」と言い出しにくくなってしまっている、という一見いい雰囲気で進んでいるように見える授業の中にも構造的な問題があることを、肌で感じることができました。
LFAで実際の現場に触れて、レディネス(=readiness、何かを学習する際に、それに必要な条件や環境が整っている状態)が成立していたからこそ、大学の勉強を上手く吸収できたのだと思います。

 

- では逆に、教育社会学を学んだことが、LFAの活動に与えた影響はありましたか

スクールカーストやインセンティブディバイドといった教育社会学的視点を持っていたことで、LFAの教室に通う子どもたちが抱える課題に対して、ただ「よくない!」と憤るだけではなく、なぜこの問題が生まれているのか、どうすれば解決できるのかがより深く洞察できるようになりました。

けれども同時に、教育社会学の視点だけではLFAに通う子どもたちの抱える課題を解決することはできません。だからこそ、現場の経験を中心に置きながら、学問領域に捉われずに教育哲学や教育心理学などを越境的に学んできました。
アカデミズムとしての教育社会学を学問として追求するのではなく、現場で感じた課題意識を探求するために、教育に限らず様々な学問に興味を持って、学問のあいだを自由に駆けまわる。そういう経験ができたことがよかったと思っています。

 

- LFAでの現場経験と大学での学びが相互によい影響を与えたのですね

現場経験が誰にとっても大切とは思いませんが、僕はロジカルに演繹的に学ぶことは苦手なんです。それよりは、実体験で漠然と抱いた課題意識を掘り下げるために学ぶ方が好きなので、現場とアカデミズムの両方を同時に進めるやり方は自分に合っていたと思います。

LFAでは経験学習を大切にしています。ただ「やってよかった」で終わらせず、経験を学びに変えるため、自分なりに課題意識や心のしこりについて考えを深める。その過程で、自分の課題意識の先を行く考えに出会ったり、あるいは反対意見を知り、自分の甘さや間違いに気付く。その学びを現場に活かし、そこで新たに感じた課題意識を、またアカデミックに探求する。現場とアカデミズムの間を行ったり来たりしてきました。

もちろん、僕が感じる課題意識を既に突き詰めている人はいますが、その一番進化した思想だけを取り入れても、ただ賢くなった気がするだけで、本当の意味で自分の血肉にはならない気がするんです。僕の先を行く人が、どんな背景や課題意識を持ち、何を乗り越えようとして、何に苦しみ、何を信じたのか、その人の息遣いや目線を追体験していく中で、初めて僕自身の経験や思考が相対化されていき、それらが統合され自身の血肉になる気がしています。
だからこそ、ゆっくりでも自分で考えて、それに対する知識を得て、また自分で考えて、その先の知識を得る。そうやって学んでいくのが自分には合ってるのかなと思っています。

 

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