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【卒業生インタビュー】集団指導という名の、30人との個別のやりとり

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LFA卒業生インタビュー2016 第5弾!
集団指導という名の、30人との個別のやりとり

卒業生インタビュー2016、5人目にご紹介するのは、細田 詠平(ほそだ ようへい)さん、通称よむさんです。細田さんは2011年〜2012年に、LFAで教師や拠点のスタッフを経験し、現在は東京都内の中学校で教員をしています。

LFAへの参画に至った経緯を教えてください

高校生の頃は、ぼんやりとジャーナリストになりたいと思っていました。社会学科が面白そうだと思い大学へ進学し、サークル活動等をしながら大学生活を送っていたのですが、大学3年生で就活の時期になり、ふと、やりたいことがない自分に気づきました。そこで一旦立ち止まって、「本当にやりたいことは何か」を考えてみたんです。すると、中学卒業の時に、「ヨーロッパに行きたい。サッカー雑誌の記者になりたい。」という夢を持っていたことを思い出しました。それと同時に、大学3年生の自分にとってはそれが「できるわけがない夢」になっていることに気づきました。

そこで、なんで「できるわけがない」のかを考えてみました。すると、中学校から大学3年の今まで、何も挑戦していない自分に気づいたんです。部活動や高校受験、大学受験、どれをとっても、楽な方、安全な方を選んでおり、必死にがんばって挑戦した経験がなかったんです。

そこで、今の自分には本当に「ヨーロッパに行きたい」夢が不可能なのかを改めて考え、翌日大学の留学センターへ行ってみたところ、イギリスとの交換留学があることを知りました。TOEFLの点数が全然足りなかったのですが、3週間後に最後の試験日があり、まずはそれに向けて3週間、図書館にこもって必死に勉強しました。それがダメだったら諦めて就活するつもりだったのですが、なんとか合格点に届き、晴れて半年間ヨーロッパに行けることになりました。

ヨーロッパでの日々は本当に夢のような半年間で、やってよかったと心から思いました。現地では、サッカークラブが運営する学習支援に参加して子どもたちと触れ合う経験もしたのですが、そこでふと日本で塾講師をしていた時に接していた子どもたちに思いを馳せました。力はあるのに「できないやつ」というレッテルを貼られてしまい、その影響で無意識に「できないやつ」として振舞う子どもたち。留学を経て自分の世界が開けたこともあり、日本の子どもたちにも「自分から一歩を踏み出して挑戦することで世界が広がる」ということを伝えたいと思い、教師になることを決意しました。日本に戻って、教師を目指すにあたって今できる活動としてLearning for Allの学習支援を知り、応募しました。

LFAでの経験が、教員となった今にどう活きていますか

「本気で人の成長を信じ、全力で向き合う」という経験が、何よりの武器になっています。教師は集団指導と言われますが、これは集団指導という名の30人一人ひとりとの個別のやりとりの集合です。30人の子どもたちにとっては、先生は一人。個別指導と同じくらいに一人ひとりに時間を割くことはできないけれど、一人ひとりのことをきちんと見るようにしています。子どもたちも、そういう先生を見たときに「信用したい」「ついていきたい」と思ってくれます。

この、一人ひとりをきちんと見るという習慣は、まさにLFAで徹底的に身につけた習慣です。LFAでは、担当の子どものことを考えに考えて指導案を書き、準備をし、指導に臨みます。一人の子どもにしっかりと向き合い、その反応を大切にしながら授業を進めた経験があるからこそ、教員となった今も30人一人ひとりの反応を感じとり、それを全体に還元しながら授業を進めることができています。

また、LFAでの経験を通して社会の見方が変わったことも大きいと感じています。学習支援ボランティアに参加する前は、なんとなく「今の社会・今の教育がダメなんだ」という考え方を持っていました。しかし、LFAでの活動を通して、頑張っている大人や、「こうしたい」と思って行動している仲間がたくさんいると知ることができました。そのおかげで、子どもに伝えたいメッセージが変わりました。「社会には課題が山積みだけど、みんなで協力すれば変えられる。そのために勉強しよう。」と声を大にして言えるようになりました。さらに、Learning for Allの経験を通して得た仲間も大切な財産です。教師として活動する今も、「同じ志を持ってどこかで頑張っている仲間」の存在が大きな支えになっています。様々な友達や仲間がいますが、Learning for Allで志を同じくして活動してきた仲間は、どこか特別な存在です。

―LFAで学んだこと・身についたことは具体的にどのようなことですか?

「振り返り」「場の傾聴」「メッセージング(想いを伝える)」の重要性、およびタスク処理能力です。

まず「振り返り」についてですが、2,3時間指導をした後、同じくらいの時間をかけて振り返りするような団体は他にないんじゃないかと思います。これだけ時間をかけて細かく振り返りをすることで色んな気づきがあり、多くを学ぶことができました。自分が何をしたいのか、相手にどうなってほしいのかが明確になる。そうすると、やりたいことがはっきりするので、効果的なアクションがとれます。LFAでは、指導時間中、自分の指導を見てフィードバックをくれるメンターがいますが、その存在がとても大きかったです。人に、出来てない自分を見られるのは嫌ですが、LFAには賞賛の文化というものがあるので、必ず良いところを褒めてもらえます。自分でも気づかない良いところをたくさんみつけて言ってもらえることは、大きな自信につながります。また、出来ていないところについても、指摘するだけでなく、どうしたらもっと良くなるかを一緒に考えてもらえるので、メンターは本当に有難い存在でした。フィードバックやリフレクション(振り返り)によって、着実に成長しているという実感があり、普段の生活でも取り入れるようになりました。これは今でも習慣として続けています。

続いて「場の傾聴」についてですが、まずLFAの研修で、傾聴には3つあると教わりました。1つめが「自分の声」を聞くこと。2つめが「相手の声」を聞くこと。3つめが「場の声」を聞くことです。私は、1つめ、つまり自分の本当の気持ちに耳を傾けることは得意でしたが、他の2つは苦手だったんです。LFAで活動するなかで、この2つの重要性を身にしみて感じました。自分の悩んでいることを傾聴してもらえて安心した経験から、自分ももっと相手のことを傾聴したいと思うようになりました。また、同じことをやっていても、場の空気によって起こることが全然違います。場の空気が良いと、安心して心を開いたコミュニケーションをとることができるため、自分の想いを互いにきちんと伝え合うことができます。これは人間関係の構築にあたってとても大事なことです。スタッフとして活動した経験から、場が良い方向に向かうための空気を作ることを意識するようになりました。

次に「メッセージング(想いを伝えること)」の重要性です。教師・スタッフとして、子どもや学生教師と向き合っているなかで、誰しも他人から嫌われたくないという思いを強く持っているということがよく分かりました。せっかく人間関係を築いたからこそ、「この子に嫌われたくない」「気まずい関係になりたくない」という意識が働き、自分の想いを押し込めてしまいがちです。しかし一方で、本当に相手に大きな変容・成長をもたらすためには、そうした上部の付き合いではなく、心から思っていることを伝えることが必要だということも痛感しました。子どもに想いを伝えたこと、教師に想いを伝えたこと、たくさんの経験を積んだ結果、「自分が手を抜いたり嘘をついたりしていなければ、想いは絶対に伝わる。多少怖くても、想いをきちんと相手に伝えることが相手に響くコミュニケーションの根源だ」と気づくことができました。

最後に、「タスク処理能力」です。LFAでは、教師に対してもスタッフに対しても手厚い研修があります。何が大事で、何をどうやるべきか学ぶことができます。指導準備や教師のマネジメント等、教師もスタッフもやることは山積みですが、充実した研修と、助けてくれる仲間、励まし合いながら進められる仲間がいるため、自分ひとりではできないような数多くのタスクを着実に進めることができます。この経験から、自然にタスク処理能力が身についたと感じています。あの経験がなかったら、今教師としてやっていけてなかったかもしれません。

―教員として4年目の今、感じていること・大切にしていることを教えてください

まず最初に感じていることは、教師という職業は本当に贅沢な仕事だということです。子どもの反応を直に見ることができる。どれだけ注いでも、それ以上のものが返ってくる。本当に素晴らしく、楽しい日々を送っています。

教師として大切にしていることはたくさんありますが、強いてあげると、2つあります。1つは、人の良いところをたくさん見つけることです。これは子どもに対してだけでなく、自分に対しても同様です。自分の良いところをたくさん知っている先生、子どもの良いところをたくさん見つけられる先生が良い先生だと思っています。自分の良いところをたくさん知っていると、自分に自信を持つことができます。自分に自信を持っている人は、相手にも自信を持たせてあげることができます。自己肯定感によって人の可能性は大きく広がるので、自分に自信を持ち、子どもに対してもたくさん自信を持ってもらいたいと思っています。

2つめは、「ありがとう」と「ごめんなさい」をきちんと言うことです。完璧な人間・完璧な教師はいません。「ありがとう」は当然のこととして、失敗したらきちんと「ごめん」と言える教師でありたいと思っています。そうやって弱みを見せられる先生が子どもにも好かれると感じています。よくない指導をしてしまった日、よくない言葉を発してしまった日は、夜に子どもの家に電話してでも謝るようにしています。

 

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―今後の展望を教えてください

職員室、日本の公教育をもっと明るくしたいと思っています。教育の最前線で子どもと向き合っている教員の方々は、みんな本当に素晴らしく、一生懸命です。公教育を外から見ていた時は、「公教育を変えたい」と思っていたけど、現場に入った今思うことは、現場は最大限やっているということです。それでも落ちこぼれてしまう子がいたり、様々な問題が生じてしまっているのは、制度の問題であったり社会的認識の問題であると感じています。現場に入ってすぐの頃は、何もわからないままにとにかく色々やってみて、たくさん失敗もしましたが、今は一つひとつ、現場でできることを積み重ねています。最近やった取り組みのひとつに、学習計画表というものがあります。まず定期テストの3週間前から子どもたちに自分の目標やルール、やることリストを作ってもらい、次に自分の現在の生活パターンをグラフやパーセンテージを用いて分析させます。これにより、子どもたちは自らいかに学習時間が不足しているか、学習時間が偏っているか、隙間時間が多いかに気づくことができます。そこで、自分で立てた目標ややることリストに合わせて生活パターンを改善し、日々の記録を書いてもらいます。また、テスト後には振り返りシートややる気グラフを書いて自分の学習を振り返ってもらいます。この取り組みをした定期テストでは、9教科合計900点満点中、学年平均が100点あがりました。現在は、この学習計画表が他の学年にも浸透しています。

学校の先生は皆一生懸命ですが、ひとりで頑張ることが非常に多く、素晴らしい取り組みが小さい範囲で収まってしまっていることもあります。先生方がお互いに信頼関係を築くと、学年全体・学校全体でできることも広がります。学校内でも、もっと実践を共有したり、賞賛し合ったりする文化を広げたいと思っています。

 

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(編集後記)

ボランティア教師の経験を経て教員になった現在も、子どもの成長を信じ、一人ひとりと全力で向き合った経験を武器として活躍する細田さん。何かを否定することなく、子ども一人ひとりと最前線で向き合いつつも広い視野で全体を俯瞰し、自分にできることを実直に進めている姿がとても印象的でした。

自信を持ち、一歩踏み出して挑戦できる子どもをたくさん育てると同時に、公教育をより明るくするという目標に向かって邁進してもらいたいですね。

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現在Learning for Allでは、2017年8月に実施する学習支援事業の夏期プログラムに参加してくださる大学生ボランティアを募集しています。この記事にピン!と来た方は、ぜひ説明会にお越しください。

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