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【Learning for All 職員インタビューvol.5】学習支援のその先へ~LFAを経験して、官僚を目指した理由

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Learning for All職員インタビュー、第5弾の今回は、現在、採用・広報活動に携わっている越田 真奈美(こした まなみ)をご紹介いたします。越田は2013年から学習支援教師やスタッフを経験したのち、大学院に進学し、来年から文部科学省に入省します。

-越田さんがLFAに参加した理由を教えてください。

大学で所属していた団体の先輩から誘われたのがきっかけでした。高校時代にパレスチナ難民の存在をニュースで知ったことを契機に、国際的な問題に関心を持っていたため、大学では模擬国連の活動を行う団体に所属していました。模擬国連では世界大会に参加したこともあるほど真剣に取り組み、世界をフィールドに働くことも進路の選択肢の一つとして考えていましたが、活動終了の節目の時期に先輩からLFAのことを教えてもらいました。

説明会で「教育格差」という日本の社会課題を知り、驚きました。それまで、自分は日本の外の問題にばかり目を向けていましたが、「こんなに身近なところに、困難な状況に置かれている子どもたちがいるんだ」とショックを受けたんです。自分が住んでいる国の問題を全く知らない自分を恥ずかしく、そして困難に直面する子どもたちに対して申し訳なく感じました。もともと教育に関心があったことも相まって、参加することを決めました。

-LFAに参加後、大学院に進学、そして文部科学省入省を目指すに至った経緯を教えてください。

LFAではボランティア教師や教室運営スタッフなどを経験し、一人の大学生が目の前の子どもに真剣に向きあうことで、子どもたちが大人には想像もしないような素晴らしい成長をする場面を何度も見てきました。LFAの教室に来ている子どもたちが可能性を開花させて生きていく将来を想像するだけでワクワクしました。一方、まだ私たちが出会えていない、支援に辿りつけていない子どもたちに思いを馳せたとき・・・愕然としました。私は、自分が担当する教室の子どもたちのことしか考えていなかったんだ、と。

目の前の子どもたちの学力が上がって、自己肯定感が高められ、自分の可能性を信じられるようになれば、それでいいと満足していた自分に気付き、情けなくなりました。そして改めて、「目の前の子どもたちを支援するだけでなく、日本の教育格差をなくしたい。まだ見ぬ全ての子どもたちの可能性を広げたい。」という思いが強まりました。

LFAの学習支援事業は、今まさに困難を抱える子どもたちを支援することによって、ミクロな教育機会の不平等を解消するという意味において非常に意義があると考えています。一方で、団体にはリソースの限界があり、私たちだけの力では全ての子どもたちに支援を差し伸べることは現実的に不可能です。どうしたら日本の教育格差を無くすことができるのか。

これを考えたとき、LFAの学習支援事業を続けているだけでは、根本的にこの問題を解決することはできないと思ったのです。そもそも、そのような子どもたちをつくってしまう社会の構造を変える、ないしはそのような子どもたちに必ず支援が行き届くような仕組みにしなければ、理不尽な理由で困難な状況に置かれる子どもたちは増える一方です。

教育格差は、教育の問題に留まりません。格差の問題は経済状況やその他の様々な社会的要因とからみあ合っています。例えば、子どもの貧困の背景の一つには、一人親世帯の貧困があります。では、なぜ一人親世帯の54.6%が貧困状態にあるのか。さらにその背景には、市場における非正規雇用の増大や、非正規雇用に就く労働者の労働環境の問題、女性が働きづらい労働市場、離婚後の養育費不払いの問題など・・・様々な社会的状況があります。

これらの問題を前にして「学習支援で教育格差を無くすことなんてできないよ」と言う人もいるでしょう。そもそも、資本主義社会である以上、完全に格差を無くすことは非常に難しいことなのかもしれません。しかし、「解決するのが難しいから」という理由は、その問題を考えないことを正当化するわけではありません。「どんな解決の仕方があるのか」という問いが私を駆り立てました。

LFAに参加した当時、私は大学3年生で、一時は民間企業に就職することも考えていましたが、教育格差をはじめとする多くの社会的な課題を目の前にして、もっとこれらの問題をきちんと知りたいという想いから、大学院に進学することにしました。大学院では、社会的な問題を事象として捉えるだけでなく、問題を解決するために制度や社会構造をどのように変えていくのかについても研究したいと思い、教育行政学を専攻しました。

研究をしつつ、教育現場の方々からお話しをお伺いする中で、教育現場での困難が制度を設計する側になかなか伝わっていなかったり、制度の意図が正しく伝わっていなかったりなど、現場と制度の乖離という問題があることがわかりました。それから、私は漠然と「現場と制度を結び付けられる」人になりたいと思うようになりました。

修士1年の冬、自分の問題意識や勉強していることを活かしたいと思い、様々な進路を考えていたある時、研究室の同期に誘われて文部科学省の説明会に参加しました。説明会での話を経て、文部科学省には、制度をより良く変えていく権限があり、「現場と制度を結び付ける」場所として適していると思いました。現場での実践ではなく、制度設計・制度改善から教育に関わることで、教育格差を少しでもなくし、私が理想とする「一人ひとりの可能性を最大限広げられる社会」に近づけられるのではないか、と考えました。

また、文部科学省の職員の方々とお話しをする中で、様々な制約がありながらも公正な社会づくりのための制度設計に真摯に取り組む職員の方々とたくさんお会いしました。特に、ある一人の職員さんと出会えたことは、私が進路を決める上で非常に大きな意味がありました。その方は、教育という営みゆえに長期的視点が必要である一方で、時代の変化に対応できる教育を整える難しさがあること、多様なアクターが関わっていることによる利害調整や課題が複雑であることなどを淡々と説明する一方で、渾身の力を込めて、「教育は最大の社会保障である」と言い切りました。

解決策を作っていくことは非常に苦しいことであるにも関わらず、それを「天職だ」と語っていました。教育行政官として、日本社会の将来を広い視点で見据えつつ、地に足をつけて泥臭く課題解決をしようとする姿勢に強く感銘を受け、「こんな素敵な方たちとより良い社会づくりに貢献したい」と思いました。

-では最後に、将来実現したいことを教えてください。

「一人ひとりの可能性を最大限広げられる社会にすること」、これが私の実現したいことです。LFAでは、一人の大学生が向き合うだけで、子どもが大きく成長できる瞬間をたくさん目の当たりにしてきました。初めは鉛筆を持とうともしなかった子が、もっとプリントちょうだい!と自分から問題を解くようになるんです。夢なんて無いよと言っていた子が、自分の将来の夢を語り出すようになるんです。子どもの可能性は無限大です。

しかし現状では、環境要因によって可能性を制限されてしまっている子どもが数多くいます。日本が人口減少、経済の停滞などの課題を抱える中で、人種、国籍、宗教、セクシュアリティ、家庭の所得・・・それらに関係なくすべての子どもたちが可能性を最大限広げ、活躍していける社会にすること。それは、子ども一人ひとりの人生だけでなく、日本全体をもっと良くしていくことでもあると信じています。

その実現のために、特に教員養成の制度改革や教員の労働環境の整備などに携わりたいと考えています。LFAでは教師の心がけや行動一つ一つが子どもの人生に影響するということや、周りの環境が教師のパフォーマンスを大きく左右するということを学びました。既に文部科学省はいくつかの施策を行っていますが、自分もNPOの現場での経験を活かし、さらには「現場と制度を結び付けられる」ように貢献していきたいと思っています。

また、LFAでの活動を通して、NPOが行政や企業と連携することで、子ども支援の方法や在り方、可能性がぐっと広がるということも学びました。学校教育にすべてを委ねるのではなく、NPOや教育委員会、地域の方々など様々なアクターが連携して、社会全体で子どもを見守り、支えていく社会にしていきたいです。

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Learning for Allでは、学習支援事業の春期プログラムに参加する学生教師を募集中です。記事を読んで少しでも関心をお持ちいただいた方、まずはぜひ説明会に参加してみてください。

説明会予約およびプログラムの詳細はこちらから:http://saiyou.learningforall.or.jp/
▼説明会日程
2月 18日(土) 18:00-20:00【満席】
2月 26日(日) 14:00-16:00【満席】
3月 5日(日) 18:00-20:00【満席】
3月 9日(木) 18:00-20:00
3月 12日(日) 14:00-16:00
3月 26日(日) 14:00-16:00
3月 29日(水) 18:00-20:00

▼開催場所
Learning for All オフィス はなれ (都営新宿線 曙橋駅より徒歩3分)

▼Learning for Allとは?
質の高い学習支援を通して、困難を抱えた子どもたちの可能性を広げるとともに、将来教育現場や社会でリーダーシップを発揮する人材を育成する、大学生向けプログラムを運営するNPO法人です。団体について詳しくはこちらをご覧ください。:j.mp/lfa_hp

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