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【職員インタビューvol.7】子どもたちにとっての「最後の砦」でありたい

haruhi

Learning for All職員インタビュー、第7弾は、2012年冬期プログラムに教師として参加したのちに教室運営スタッフを務め、現在は常勤職員として学習支援事業の統括を務める市川はるひをご紹介します。

-LFAに参加したきっかけを教えてください。

友人に勧められ、説明会に参加したのがきっかけです。大学入学後しばらくは塾講師をやっていたのですが、集団授業を上手く行うことができず、途中で辞めてしまいました。そして1年生の冬頃になり、何か新しいことを始めようと思い立った矢先にLFAを紹介され、とりあえず説明会に行ってみることにしました。説明会で「どうすれば集団授業を上手くできるか?」という質問を投げかけたところ、スタッフの方がとても参考になる回答をしてくれたんです。塾講師を途中で辞めてしまったことが心に引っかかっていたこともあり、「ここなら様々な学びを得られそうだ」と思ったことに加え、教育に対して熱い想いを持っている人が多く魅力的だったことから、参加を決めました。

-市川さんは4期に渡って教師を務めていましたが、それはなぜだったのですか?

子どもとの出会いが大きな理由です。初めて参加した2012年の冬期プログラムでは中学2年生3人を見ていましたが、そのうち1人は受けたい高校すら決まっておらず、九九も怪しいほど大きな学習遅滞を抱えていました。その上、その子は警戒心が強く、褒められても嫌がるという生徒でした。プログラムが終わった時点では正直なところ、周りが優秀な学生教師ばかりで、本当に自分が教師を続けて良いのか迷っていました。ただ、その子を全く知らない教師に委ねるよりも、多少なりとも知っている自分が担当した方がその子にとって良い影響が出るのではないかと思ったんです。何より、その子のことが気がかりでした。

また、初めに参加したプログラムでは優秀な教師やスタッフに囲まれ、どんな指導をすれば良い結果を届けられるのかということを学んでいました。この学びを生かして、次は自分自身の力で子どもに望ましい結果を届けたいと思ったことも継続した理由のひとつでした。このように、子どもやロールモデルとなるスタッフ・教師との出会いが、継続の動機になっていました。

-LFAで教師やスタッフを務める中で特に印象に残っている出来事を教えてください。

初めて教室運営スタッフを務めた時に通っていたMちゃんという女の子が特に印象に残っています。Mちゃんは中学3年生の冬時点で学力がかなり厳しく、葛飾区内の普通科高校にはどこにも受かることができない状況でした。にもかかわらず、家では弟の世話や家事をしなくてはならず、学校行くことができていませんでした。しかし、Mちゃんのお母さんは「受験に落ちたら働かせるので大丈夫です。」と言うように、Mちゃんの勉強や受験のことに無関心でした。このままでは本当にまずいと思い、Mちゃんを必ず合格させるべく、担当教師と綿密に話し合ったうえで毎週の指導に臨みました。また、少しでもMちゃんの勉強のサポートをしていただけるよう、連絡帳を通してお母さんにMちゃんの頑張っている様子や高校受験の情報などを伝えるようにしました。

結果的に、Mちゃんは第一志望の高校には落ちてしまいました。しかし、お母さんから二次募集までお願いしますと連絡が来たんです。Mちゃんの頑張りやお母さんのサポートもあって、最終的には昼の定時制高校に合格することができました。そして、初めは子どもの受験に無関心だったお母さんから、「ありがとうございました」とメールが来たんです。人生の岐路に立たされる中で子どもが結果を出すことで、保護者の意識まで変わっていく瞬間を目の当たりにし、LFAに通う子どもが高校に合格するということの大きな意義を感じました。彼女は今も元気に高校に通っており、4年制の高校で現在は3年生になっています。

-Learning for Allの団体としての価値はどのようなところにあると感じますか?

大きく3つあります。

1つ目は、子どもにとっての居場所的機能、教育的機能を両方担っているという点です。LFAに通う子どもの中には、学校にも家にも居場所がなく、大きなストレスを抱え込んでしまっている子どもがいます。そういった子どもにとって、寺子屋は勉強する場である以前に、学校でも家でもない安心できる空間として機能しています。ある教室では、居場所づくりを行う別の団体と連携し、長い時間をかけて子どもと信頼関係を築いてから寺子屋に来てもらうことがあります。居場所づくりや教育支援、それぞれに特化した運営の方法もありますが、居場所も勉強の場も長い時間同じ人が寄り添い、子どもにとっての安心感を最優先しているという点がLFAの強みであると考えます。

2つ目は、学校に行けていない子どもや、学校の授業だけでは足りない子どもに対して、一人ひとりのニーズに合わせて最善の支援を行っていける点にあると考えています。私たちは決して一般論や型通りの指導は行わず、必ず目の前の子どもにとって何がベストか?という視点を持って指導を行います。同時に、目の前のことだけでなく、子どもの将来に対しても責任を負っています。10年後、20年後に子どもがどんな人生を送っているのか、どんな高校生活を送るのかという中~長期的なビジョンを生徒と対話をする中で一緒に描き、それを実現するために今何ができるのかを考え、指導に落とし込んでいくのです。このように、目の前の子どもの今と未来、両方に目を向け子どもにとって最適な支援を届けられることがLFAの価値であると思います。

3つ目は、保護者様にとっても安心の場になっているという点です。教室責任者になってから保護者様とコミュニケーションをとることが増え、一つ気づいたことがあります。それは、周囲に子どものことを相談できる相手がいないということです。子どものことを一生懸命に考え、家事も、仕事も頑張っている。だけど、配偶者も、親戚も、友人もいない。そんな保護者様たちにとってLFAは、子どもの進路の話や入試に必要な知識を聞いたり、子どもの自慢話や苦労話ができたりする場になっています。保護者様の心が不安定になると、子どもも不安定になり、学力や生活習慣に悪影響が及び、さらに不安定になるという悪循環に陥ってしまうことがあります。そうならないためにも、保護者様のサポートをしていくことの必要性をひしひしと感じています。

-LFAで実現したいことを教えてください。

LFAでは、引き受けられる子どもの範囲を広げていきたいと思っています。現状では、支援が必要なのに今のLFAでは十分に支援ができていない子どもたちがいます。以前私が教室責任者を務めていた際に、2人受け入れをお断りしたことがあります。1人目は、場面緘黙症の子でした。2~3人のグループ指導の中に入り込めず、常に保護者様のそばにいなくてはなりませんでした。加えて出席が不安定で継続的に寺子屋で指導することが難しかったことも合まり、止む無く受け入れをお断りせざるを得ませんでした。2人目は、注意欠如多動性障害(ADHD)の子でした。50分×3コマ集中して寺子屋の空間で勉強することが難しく、出席も安定しなかったため、受け入れを継続することができませんでした。その事実を伝えたときの、大きなショックを受けた保護者様の顔が今でも忘れられません。「ここでも受け入れてもらえないのか」と思わせてしまったのです。

それまで、目の前の子どもにとっての最高の教師を目指すのであれば、どんな子でも受け入れられるし、受け入れるべきだと考えていました。しかし実際は、すべての子どもたちを受け入れることができていませんでした。これからは従来の教室の枠組みを超え、こうした子どもたちにも支援が届けられるような仕組みが必要であると感じています。そして、子どもたちにとって本当の意味で「最後の砦」になれる団体にしていきたいと思っています。

-市川さんの今後のビジョンや展望を聞かせてください。

スクールソーシャルワーカーになることが今の目標です。スクールソーシャルワーカーとは、学校だけで解決できない困難を抱えている子どもたちを様々な機関や団体につなげる役割を担う専門職のことです。LFAで活動していて一番気になったことは、本当に支援が必要な子どもがどこにもつながることができていないということでした。そこで、そういった子どもを見つけて、適切な団体や機関につなげていく役割が必要であると考えました。

葛飾区でスクールソーシャルワーカーとして働く方にお話しを伺う中で、「自分がやりたいことはこの仕事だ」と思ったんです。長期的には社会の大きな仕組みを変えていくことは必要なことですが、LFAでの現場経験や多くの方々とお会いする中で、短期的に目の前の子どもに対応していく方が自分に向いていると考えたためです。目の前の子どもたちに必要なことを考え抜き、支援することで、子どもたちにとって住みやすい社会をつくっていきたいと考えています。


現在、Learning for Allでは、学習支援事業の冬期プログラムに参加する学生教師を募集中です。記事を読んで少しでも関心をお持ちいただいた方、まずはぜひ説明会に参加してみてください。

説明会予約およびプログラムの詳細はこちらから:http://bit.ly/saiyo1210

▼説明会日程
12月 12日(月) 18:00-20:00
12月 13日(火) 18:00-20:00
12月 16日(金) 18:00-20:00
12月 17日(土) 18:00-20:00

▼開催場所
Learning for All オフィス はなれ (都営新宿線 曙橋駅より徒歩3分)

▼Learning for Allとは?
質の高い学習支援を通して、困難を抱えた子どもたちの可能性を広げるとともに、将来教育現場や社会でリーダーシップを発揮する人材を育成する、大学生向けプログラムを運営するNPO法人です。団体について詳しくはこちらをご覧ください。:j.mp/lfa_hp

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