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【2018年度LFA卒業式答辞】卒業生代表・宇地原栄斗

2019.3.27

今回は、3月23日にケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ様のオフィスをお借りして実施されたLFA卒業式における、卒業生代表の東京大学4年 宇地原 栄斗(うちはら えいと)さんによる答辞の内容をご紹介します。3年間、LFAの現場で子どもたちのために活動してきた宇地原さんの想いをぜひご覧ください。

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本日は、私たち卒業生のためにお集まりいただき誠にありがとうございます。卒業生だけでなく、Learning for Allに在籍する大学生のみなさん、アラムナイ、団体職員、ならびに寄付者のみなさまが多くこの場に集まってくださったことを大変感謝しています。これだけの人数の人たちによって子どもたちが支えられているということを強く感じさせられており、大変心強い気持ちでおります。数多くの卒業生を代表するというのは非常に恐縮ではございますが、この場に少しでも言葉や私たちの意志を残していければと思っています。

LFAで過ごした3年間は常に子ども達と一緒に歩み、時には立ち止まり、また少しずつ歩みだすような日々の連続でした。たくさんの子どもとの出会いの中で、本当に多くのことを学ばせてもらいました。

2年以上寺子屋に通い続けてくれたある一人の子どもはとても本が好きな子でしたこの場にいる人の中には「本が好き」というだけでその子の顔が浮かぶ人もいるかもしれません。その子は周囲と関わることが得意ではなく、学校という空間の中で生きづらさを抱えていました。同級生から冷たい接し方をされることもあり、学校に行ったり行かなかったりを繰り返していました。そういった子ども達にとって、寺子屋は最後の砦です。社会の中で孤立する彼らと向き合う責任を負いながら、妥協することなく求められる価値を提供する、彼ら一人一人のニーズに応える場所です。

ですが、初めて拠点の責任者として関わったプログラムの時の私にはそれができるだけの能力も覚悟もありませんでした。目の前の子ども一人に対して心を砕くという強いあり方も、子ども一人の目線に立って指導を行うスキルも伴っていませんでした。そのプログラムのある日の授業で笑顔なく、机に伏せて授業をやり過ごすその子の姿を見た時に、自分が現場にいることの無意味さを痛感しました。

それでも現場に立ち続けられたのは自分の抱える苦しさと戦いながら前進しようとする子ども達の姿があったことと、自分に対して誠心誠意向き合ってくれる仲間や先輩がいたからでしたある人は理想を見失いかける自分を奮い立たせてくれました。ある人は隣で自分以上に子どものために苦悩しながら変わろうと努力をしていました。ある人は自分の弱い部分と向き合うこと、子どもの目線に立つとはどういうことなのかを自らが体現し続けながら伝えてくれました。子どもの前に立つ自分のあり方を常に問い直させてくれる環境は私自身が子どもへの支援を行う人として成長するために不可欠なものでした。次第に教室の中に笑顔が増え、共に頭と心を使ってくれる仲間が増え、多くの子どもに多くのものを届けられるようになりました。

本が好きなその子も受験を迎え、合格を勝ち取り、寺子屋を卒業していきました。寺子屋を卒業するその日、授業が終わり、教室を後にしたその子は先生達しかいない教室に戻って来ました。これまでは初めて会う人と目を合わせて話すこともできず、集団の前で自己紹介をすることもできなかったその子が、伝えたいことがあると言って、その子は20人以上の大人がいるその場所で話し始めました。「私はコミュ障で、全然人と話せなくて、学校にもあまり行けなかったけど、寺子屋の先生達はいつも優しくしてくれて、勉強も一つ一つ教えてくれて高校にも合格ができた。なにより、こうやっていろんな人の前で話せるようになっているのが自分でも不思議で、こんなに自分が変わるなんて想像もできなかった」その子の言葉はとても落ち着いていて、淀みがなく、はっきりと一つ一つ大切に語られていました。初めて、子どもの変化に涙しました。子どもたち一人一人が可能性で溢れているという私の信念はこの経験に強く後押しされています子どもの変わりたいという思いと一緒にもがいてくれる他者がいることが全員の想像を超えるような変化に繋がることを強く感じました。

そうした変化が生まれる現場を作れたのはここにいる卒業生のみなさん一人一人が自分の弱さと向き合い成長したからだと思っていますLFAにこれからも残る大学生のみなさんにはそのバトンを受け取って欲しいです。きっと軽くはないバトンです。それでもこのバトンを誰かが受け取らなくてはいけない。全員がこのバトンを受け取って欲しいと強く思っています。これから出会う子ども達の変化に涙するような現場を作ってください。

卒業生のみなさんはこれからそれぞれの意志で、それぞれの方向を持って歩んでいくかと思いますが、LFAでの経験をどう抱えて生きていきますか?子ども達と向き合ったあの日々は決して綺麗な思い出だけで終われるものじゃないと私は思っています。私は今の日本の社会の中で尊重される生と尊重されない生があることをLFAの活動を通して知りました。その事実を知らない人が多くいることも知りました。事実を知った人が行動する難しさも知りました。そして、そうした目を瞑りたくなるような現状への深い憤りを持つようになりました。

それでもLFAで子どもと向き合ったみなさんは、そうした感性を共有する仲間だと私は信じています。教育格差を終わらせるためには子どもとの経験を通して、社会の歪みに心を砕けるような人が行動をし続けることが不可欠です私はこれから到来する変革の大いなる一歩をみなさんと作っていきたい、そう思っています。私はこの社会の歪みにこれからも抗い続けます。そして、ここにいる全ての人と共にそうありたいと切に願っています。

卒業する全ての人たちのこれまでの努力に最大の賞賛を送るとともに、一人一人のこれからのあり方に期待を込めて、卒業生代表挨拶を終えさせていただきたいと思います。みなさん本当に卒業おめでとうございます。

 


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