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【子どもの成長報告】居場所支援の現場から

2019.6.17

【子どもの成長報告】居場所支援の現場から

みなさん、こんにちは。Learning for All 職員の福田です。今回はLearning for All が行う学習支援と居場所支援の事業のうち、居場所支援事業での子どもの成長をご報告したいと思います。

(写真は全てイメージです。)

Learning for All では設立当初から中学生や小学校高学年の子どもを対象とした学習支援を行なってきました。
しかし、より低年齢から学習以前の生活面での支援をする必要性に気づき、居場所支援の拠点を2016年にオープンしました。現在は2つの拠点で居場所支援を行なっています。
居場所支援では、子どもの生活習慣や非認知能力が向上することが成果であるという活動の性質上、学習支援における「点数」や「受験の合否」のような数字で測れる成果はありません。
しかし、子どもたちの様子を丁寧に見てみれば、そこに彼らの挑戦と成長が見えてきます。そして彼らを取り巻く環境も少しずつ変化し始めています。今回は子どもの成長と周りの変化に焦点を当ててお伝えしていきたいと思います。

取り組み内容のご紹介

Learning for All の居場所支援では、様々な事情から学校や家庭に安心して過ごす環境が整っていない子どもに対して生活基盤を整える支援を行なっています。

学童保育のように小学生たちが学校終わりに拠点にきて夕食まで過ごして自宅へ帰っていきます。
その半日の中に、近くの公園にみんなで遊びに行ったり、学校の宿題をしたり、みんなで掃除をしたりなど様々な時間を設けています。栄養バランスのとれた温かいご飯を食べたり、歯を磨いたりするような、彼らが将来必要とされる習慣に安心して取り組める環境を提供しています。

また、約束や時間を守る、きちんと人に感謝を伝えるなど、人と信頼を築く上で大切な考え方を身につけることもまた重要だと考え、子どもたちに丁寧に伝えています。
こうした日常生活に加えて、時期に合わせて正月の餅つき大会やハロウィンパーティなどのイベントを行ったりしています。
単純に子どもたちが楽しく過ごせるだけでなく、特に家庭でこうしたイベントを体験できない子にとっては、伝統や文化に触れる機会を用意するのも重要だと考えているためです。

子どもたちの成長 

居場所拠点ではこれまで述べてきたような活動をしています。
そこに通う子どもたちはどんな子たちで、日々どのような成長を見せてくれているでしょうか。2人の子どもを例にお話しします。

Aさんのケース

Aさんは、父子家庭の3人兄弟の末っ子で、少しおとなしめの女の子です。
居場所拠点に通い始めた頃は他人への関心がない子でした。みんなが遊んでいる時にも一人になって音楽を聴いていたり、みんなが集まる会にも参加しようとしませんでした。

居場所支援のスタッフが彼女は何にワクワクするのかを考え、そのワクワクすることができるように働きかけていきました。
例えば、彼女は非常に好奇心が旺盛で、作戦を考えたり何かを組み立てることに熱中して取り組めます。また、家族に憧れがあり、大きな家に住んで、大家族で生活したいと口にしていました。
そんな彼女に対して、居場所の友達やスタッフにアンケートをとって次の週の集まりで何をするか考えてもらったり、お母さんに話を聞いてどうしたら素敵な家族が作れるかスタッフと一緒に作戦を立てたりしました。
どれも、彼女にとって好奇心を持って人と一緒に取り組めるような試みでした。

結果、少しずつ変化が見られました。
居場所のスタッフに「どこの出身なんですか?」と尋ねたり、友達に対しては「何が好きなの?」と興味を持って接することができています。以前よりもずっと、表情が豊かになりました。
今ではみんなが集まる集会で自分から積極的に司会を務めるようになっただけでなく、他の子の意見をしっかりと聞いて思ったことを自分の言葉で話せるようになりました。

Bくんのケース

Bくんは小学校3年生から不登校気味の男の子です。私たちの居場所にもうまく通えない時期もあり、通い始めてからも勉強の時間になると逃げ回ったりしていました。
スタッフは「まずは、通いたいと思えるように」と目標を定めて彼に接してきました。
例えば、食事の際に出すスープも、本来は必ず具を入れて飲むようにしていますが、彼にはそれすらハードルが高いため、具を一切入れずに提供していました。彼は家では菓子パンやインスタント麺などを食べることがほとんどで、偏食が進んで野菜などを食べることに拒否感があったためです。
そうして基準を緩めると、周りの子からは「ずるい」と言われます。でも、それこそが彼にとってちょうどいい挑戦であり、みんながそれぞれにとってちょうどいい挑戦をしているはずです。
スタッフがそのことを周りの子に伝えると、彼らもBくんに理解を示し「ずるい」ということはなくなりました。少しずつ他の子とも打ち解け、彼より高学年の子が、漢字や算数を教えてくれるようにすらなりました。
居心地の良い空間で少しずつ安心感を持ち始めた彼は、学校へ通うことや勉強へも挑戦するようになりました。
まずは他の子の迎えで一緒に校門まで行ってみたり、放課後に好きな担任の先生のところにお話に行ったり…。居場所でみんなが宿題タイムの時に宿題するのを見ると、「俺もやりたい」というようになりました。

彼の挑戦はそれにとどまりません。
先日、居場所に小学校の担任の先生が来た時に、最初はBくんとスタッフと担任の先生と一緒に3人で話していました。
学校の話になると、突然Bくんは「先生と僕だけにしてほしい」とスタッフに席を外してほしい旨を伝え、先生と二人きりで話をし始めました。後で先生に伺うと、二人きりになった後に「自分が学校に行けなくなったのは学校で嫌なことがあったから。」と自分で伝えたそうです。

先生と二人きりの空間を自分で作って、自分が困っていることを伝える。彼にとっては、とてつもない勇気が必要だったはずす。


その後、担任の先生とスタッフとで、Bくんがどうやったら勉強や学校へ通うことへの意欲が湧くだろうと話し、彼が頑張って学校へ通えるようにしようと約束を交わしました。
彼の勇気が、周りの大人を動かしたのです。

保護者様の変化

居場所のスタッフは、自分たちだけで子どもたちを支援しているわけではありません。先ほどの例にあるように学校の先生や、もちろん保護者様との信頼関係も不可欠です。
保護者様に向けては学童通信を毎月お渡しして、拠点での子どもたちの様子を伝えたり、子育ての悩みについてコラムを書いたりしています。
また、保護者会を開いて子育ての不安を保護者様同士で共有したり、保護者様が迎えに来た際に生活や子育ての不安を伺うなどしてします。
少しでも安心して子どもを育てられるように、日頃からサポートを心がけています。
さらに、保護者様の中にはひとり親家庭であったり、パートナーの方と不仲であったり、疾病を抱えているなど様々な事情を抱えた方がいます。
そうしたご家庭のニーズに応じて、より踏み込んだ支援を行うときもあります。
例えば、子どもの療育手帳を取得するために一緒に区役所まで同行したり、保護者様が離婚されたときには支援制度や就職情報などの情報提供を行ったり、専門家を通じたメンタルケアを行ったりもしています。
都内の拠点に通うある女の子の保護者様(「Cさん」とします)の様子をお伝えしたいと思います。
Cさんは母子家庭で娘さんを育てており、その月の食費がまかなえるかどうかというくらいに経済的に困窮しています。腰を据えて子どものことを深く考える余裕は物理的にも精神的にもありませんでした。
居場所のスタッフとお話をした時に、ご自身の父母のことやお金の状況の話だけで延々と1時間ほど話し続けたこともありましたが、その時には娘さんの話は一切出てきませんでした。それくらいに、生活を成り立たせることに必死で追い詰められてしまっていました。

そんな中、一度こちらから呼びかけて、娘さんにどうなってほしいのかお話を聞くために面談を行いました。
まずは娘さんに対して行ったアンケートをお見せし、居場所拠点での娘さんの様子をお伝えしました。
Cさんは話を聴き終えた後で、「あの子らしいなぁ」と深くため息をつきながらおっしゃっいました。
スタッフは、Cさん自身が娘さんに対して思うことを聞けないかと思い、「娘さんについて、何か心配なことはありますか?」と尋ねました。
「友達が多くなくて…学校でうまく過ごせているか心配です。」というCさんに対して、
「友達がたくさんいて欲しいと願っているということですか?」とスタッフが尋ねると、
「たくさんでなくてもいいから、信頼できる友達がいて、楽しく過ごせていれば…。勉強も得意になって欲しいわけではないけど、でもしんどい思いをしないくらいにはできて欲しいし。あまり学校での話をしないから心配になるんですよね…。もっと娘から話を聞きたいんです。」とCさん自身の口から娘さんへの思いをどんどんと語ってくれました。

娘さんを誰よりも愛していて、きっとそれまで胸に秘めていて言葉にできなかったことがたくさんあったのだと、スタッフは話していました。

それから少し経ったある日、Cさんの娘さんが居場所で友達から嫌なことを言われたことがありました。
それをCさんに報告すると、Cさんは「でも、うちの子とその子は同じ世界で生きていかなきゃ行けないはずです。その子がいる世界が本当の世界だから。注意をしては頂きたいですが、決してその子との関わりを断たないでください。同じ場所で同じ時間を過ごさせてあげてください。」と話してくださいました。

保護者様が私たちの拠点に厚い信頼を寄せていただいていて、前向きに子育てを考えるだけの余裕が作れ始めたと実感できるエピソードでした。

終わりに

いかがでしたでしょうか。
子どもがもつ願いとその子を大切に思う人の願いが重なった時に、子どもは一番の成長を見せてくれます。
子どもたちは、日々小さな挑戦を繰り返し、うまくいかないことに悩んだりしています。
保護者様は、誰よりも子どもを思いつつも、うまくそれを出せなかったりしています。
それでも Learning for All の居場所拠点では、子どもが自分自身の意思で立ち上がること、そして、それを他の誰でもない保護者様に信じてもらうことを大切にしています。

「僕は、私は、これがしたいんだ。きっとできるはずだ。」と子どもが思えること。
「あ、誰かに頼って一緒に子育てをしてもいいんだ。」と保護者様が思えること。
そのような環境を届けることこそが私たちの使命だと考えています。

 

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