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【「勉強したくない」という声に耳を傾けるvol.1】〜子どもが勉強したくない理由〜

2019.9.9

【「勉強したくない」という声に耳を傾けるvol.1】〜子どもが勉強したくない理由〜

みなさん、こんにちは。Learning for All 職員の福田です。

今回の記事では2回に分けて、「子どもが勉強をしたくない理由」と「どうすれば勉強するか」について考えてみたいと思います。

今回は、「勉強したくない理由」について考えてみましょう。

子どもによって勉強をしたくない理由はもちろん様々です。今回はその中でも、学習支援をする中で多く出会うタイプについて考えてみようと思います。

ーみんな勉強を「やりたくて」している?

そもそも、皆さんは勉強を「やりたくて」しましたか?

おそらく、「やりたくてしていた」人はそれほど多くないと思います。実際にたくさん勉強して宿題もちゃんとやってきた、という人でも勉強を「やりたくてやった」人はあまりいないのではないでしょうか。
本当に勉強や問題を解くことを「楽しい」「面白い」と思えるのは「内発的動機づけ」と呼ばれ、この動機づけがなされていることが最も学習の効果を高めます。

では、どうして勉強をするのでしょうか?

「勉強しないと受験に受からないから」「勉強しろと言われたから」「周りがやってたから」など、多かれ少なかれ「やらなきゃいけないからやった」「やったほうが良さそうだからやった」という人がほとんどだと思います。
そして、やりたくないかやりたいかでいえば「やりたくない」人もかなりの数いるはずです。

長い目線で見てしまえば、勉強する人の多くは、「そんなに勉強なんてしたくはないけど、まぁやらないと色々不都合がありそうだし、やるか……」というモチベーションではないかと考えられます。
このように自分で考えた上で「必要だからやろう」と結論づけるのが、「同一化的動機づけ」です。

Learning for All の教室にくる子どもの中には、そもそもの学習遅滞が激しく、こうした内的動機づけや同一化的動機づけが強くない子が多い、というのが印象です。

(出所) 速水敏彦「動機づけの正体」より引用

むしろ、「成績が悪いと恥ずかしい」(取り入れ的動機づけ)、「叱られたくないから/褒められたいから」(外発的動機づけ)で勉強する子が多いのではないかと思います。

実際に勉強に向き合う準備ができていない子に勉強を促す立場にいる方は、こうした動機づけの分類を参照してまずは「外発的」「取り入れ的」な動機づけを高める工夫をしてみると良いかもしれません。
「勉強をやりたい人なんてそうそう多くはいない」という、少しゆるい気持ちになった上で子どもの勉強に向かう姿勢を見てあげてみてください。

今回の記事では、自律的な動機づけが高くない子について、少し簡単な言葉を使いながら考えていきたいと思います。

ー 「勉強がわからない 」「勉強の仕方がわからない」

たくさんの子どもを見てきましたが、多かったのは「できないからやりたくない。」という理由だと思われます。
わからない問題を見た時に「ゲッ…できない」という気分になり問題を解く意欲が薄れたり、わからない単語が多く含まれた文章を読んでいくうちに眠くなってしまったり…。
皆さんの中にも経験はあるのではないでしょうか。

保護者さんも頑張ってその学年の基礎的な問題集を探してみたりすると思います。ただ、どんなに基礎的な内容であっても、例えば掛け算や割り算でつまずいている子は分数の足し算・引き算もできないですし、英語のbe動詞が難しい子は現在進行形も難しいはずです。

また、必ずしも全てが単元の知識不足というわかりやすいものではありません。
そもそも勉強の仕方がわからない子は相当数います。

「問題集(教科書)を開いて」「重要なポイントを読み取って」「必要に応じて音読したりマークしたりして」「わからない箇所を特定し」「索引など適切な媒体で調べ」「理解した上でそれを問題に適用し」「理解に誤りがあれば修正する」というプロセスは意外と難しい要素を含んでいて、できない子は意外と多くいます。

わかりやすいのは「丸つけ」です。
例えば、数学の問題を解いていて、解き終えた後に丸つけをします。
正解であっても本当にやり方が正しいかをチェックするのが理想ですが、間違った場合はなおさら「できないのはなぜか」というチェックは重要です。

子どもたちを見ていると間違っても「バツをつけるだけ」「消しゴムで消して正解を書き直すだけ」「赤で修正するだけ」という丸つけが非常に多いです。
なぜ間違えたのかを確認して次に活かす、というのはなかなかできないことがよくわかります。
(そもそもこの学習のプロセス自体が、一人きりでやるにはある程度の学力を求めるものです。)
このように、勉強のサイクルをうまく回せる子はそう多くいません。

いずれにせよ、ある程度専門的な知識がある人や教科理解が深い人が学力の診断学力の診断をして、学習意欲を損なう程の負荷がかからないところから学習をスタートする、というのが一番重要なことだと思います。

ー「どうせできない」

「わからない問題だからこそやるんでしょ?」と思える人もいるかもしれません。

僕自身も自分の勉強であればそう思うでしょう。確かに、できないものをやって初めて「勉強」なのかもしれません。

しかし、それは成功体験がある人の意見ではないでしょうか。

成功体験があるからこそ「わからないものでも考え抜いて繰り返せば、できるようなる。」と思えるのであって、成功体験に乏しい子が同じように前向きに問題に向かい合うのは難しいのではないでしょうか。

「わからない」経験が積み重なると、「どうせやったってできない」と考えるようになってしまいます。
そうなると本当に勉強が嫌いになってしまい、「できるようになりたい」という意思表示すら難しくなる子もいます。

特に中学生以降は、今まで積み上げてくるはずだった勉強が多いため自分がどこでつまずいているのかわからないということ、そして失敗体験が積み重なりがちだということから、こうした理由で勉強を嫌う傾向が顕著です。

「本当はできるようになりたいのに」と心の底では思っているにも関わらず、できるようになる自信もなく「勉強できるようになりたい」と周りの人に手助けを求めることもできない…。

それは子どもたちにとっても、単に勉強ができない以上にしんどい状況なはずです。

Learning for All の教室にもそうした子どもはたくさん通っています。
私たちは、事前のテストを実施してどこから勉強をスタートさせれば良いのか、一度にどれくらいの量のことを理解できそうか、丁寧に検討してから支援をスタートします。
その子がつまずきを抱え始めたところからスモールステップで丁寧に教えていけば、「意外とできる!」「やればできる」と思ってさらに頑張れる、というケースは多くあります。

なんだかんだ問題が解けると子どもたちは嬉しそうにします。もちろん、それが直ちに「勉強は面白い」となる訳ではありませんが、「できないと思っていたことができた。」という経験は子どもたちのその後の学習意欲を支える経験にもなります。
(それは実際のプログラム前後のアンケートなどが示す通りです。)

ー「楽しくない」「嬉しくない」

勉強に取り組むことや勉強できるようになることを「楽しい」と思えるのもまた重要です。
わからない問題に取り組むのは「つまらない」ですし、実際に間違えれば「楽しくない」です。
そのため、前項で触れた通り「ある程度できそうなもの」に取り組むのが大切です。

ただ、問題を解けてもそれが成功体験にならないことがあります。
例えば、周りの子と比較して「みんなこれくらいのことはできている」と思ってしまったり、どんなにいい点数を取っても「100点をとらないと…」など自分に過度な要求をしていてその点数を喜べない場合もあるでしょう。
問題を解けることが必ずしも勉強の楽しさに直結しないのであれば、勉強の楽しさを決定づけるものはなんでしょうか。

たくさんの要素がありますが、その中でも大きな要素が「周囲から与えられる賞罰」です。
子どもたちの努力と成功を当然のものとせずにきちんと褒めてくれる人がいなければ、勉強もつまらないですし、問題の成功も嬉しくありません。

勉強することが「当たりまえ」と見なされるのか、「努力」と見なされるのか。
正解することが「成果の検証」と見なされるのか、「成功」と見なされるのか。

周囲の人のこのまなざしの違いがそのまま子どもたちの学習意欲につながります。
努力と成功をきちんと見届け、一緒に喜んで、褒めてあげられる人がいることは、単に勉強したことや問題を解けたことを「喜んでいい体験」にします。そしてその体験が、「また頑張ろう」と思える原動力になります。

もちろん、場合によっては子どもに対して高い期待値を示す必要があるときもあります。
しかし、「もっとできる」という期待の言葉は、それが「要求の水準に達していない」と解釈されてしまうとき、子どもを傷つけてしまいます。
「要求に達しているか否かで自分は測られている」と暗に伝わるからです。

普段から失敗しても努力の過程を褒めてくれる人、自分への期待をいつも自分のために示してくれる人が「もっとできる」といってくれるからこそ、期待の言葉は子どもの原動力になるのではないでしょうか。

ー「しても意味がない」

「勉強しても意味がない」というパターンもあります。
子どもはよく「勉強しても意味がない」と口にしますが、実際には勉強の意味がわからないからというよりも、前者のように「わからないから」「やっても誰も褒めてくれないから」というのが多いように思われます。

とはいえ、「勉強した結果にどんなことがあるのか」ということをなんとなくでもイメージできる子とできない子どもでは勉強に対するモチベーションは異なります。
そして、それはえてして身近にそうしたロールモデルがいるかいないかによって左右されます。

例えば、家族や、憧れる部分があって、その人に近づくためにも勉強をしたい。そこまで大げさでなくとも、「なんとなく周りの人を見ると、コツコツ勉強することで自分が望む人生を歩めそうだ」という期待を持てるかどうかも重要です。

ー 最後に

いかがでしたでしょうか。
今回は、「子どもが勉強をしたがらない理由」について考えました。

Learning for All の教室に通う子どもも決して勉強が好きな子ばかりではありません。
しかし、こうした視点で子どもの様子をみて、丁寧に検討して辛抱強く取り組むことで必ず子どもは自分が本来持つ意欲をあらわにしてくれます。
私たちはそのことを信じて日々学習支援に取り組んでいます。

また、もしかしたら皆さんのご家庭や、人によっては職場に、勉強嫌いの子どもがいるかもしれません。
子ども一人ひとりによってその理由は異なると思いますが、どうぞ参考にしてみてください。

来週は「どうしたら勉強をするのか」について、少し詳細なデータも交えつつ、考えていきたいと思います。

参考文献
外山美樹「自律的な理由で勉強することが適応的である」
速水敏彦「動機づけの正体」

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