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【難民の日に考える「外国籍の子どもと貧困」】

2019.6.24

【難民の日に考える「外国籍の子どもと貧困」】

みなさん、こんにちは。Learning for All 職員の福田です。
今月6月20日は「世界難民の日」に認定されています。今回は難民の日にちなんで、外国籍の子どもと貧困の関係を見ていきたいと思います。

みなさんは、日本にどれくらいの外国籍の子どもがいると思いますか。おそらく「それほど多くない」イメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。まずはそのイメージが正しいのか、「外国籍の人(大人も含む)の数」から確認してみます。

日本にいる「外国人」の数

諸外国が「多民族国家」と呼ばれる一方で「日本は単一民族国家だ」という言葉をよく耳にしますが、グローバル化の進んだ今現在でもそのようなことが言えるのでしょうか。
2018年6月現在、日本には263万人の在留外国人がいます。
総人口比にして約2%、50人に1人の割合です。ヨーロッパ諸国ほどの数ではなく確かに「多民族国家」とは言えませんが、この割合は決して少ない数字ではないことがわかります。
国別の内訳は次の通りです。時間的な変遷も見ると、在留外国人の国別の内訳は刻々と変化しており、その時々の状況によって変動することが見て取れます。
例えば、ベトナムは10年前と比べると約7倍の数に急増していますが、これは主に技能実習生としての流入が増えたためであり、ベトナム国内では2016年には日本語を第一外国語として教える小学校もできています。
在留外国人の国別内訳

(出所) 法務省「在留外国人統計」より作成

下のグラフに見るように、永住者だけを見ても増加の一途をたどっています。1年間に10万人近く在留外国人が増加してきたことも踏まえると、2050年前後に日本の総人口は1億人を割り込むと算出されているので、人口の5%が外国人になる未来もそう遠くありません。「外国人とどう共存するか」はもうすでに避けられない課題になっています。

(出所) 法務省「在留外国人統計」より作成

外国籍の子どもたちが抱える困難

このように、外国人の数は増加傾向にあり国籍も多様化しています。それでは、外国籍の子どもたちが日本でどのような困難を抱えているのか、見ていきます。
まず、在留外国人の増加からも推測できるように、日本語指導が必要な児童生徒の数は増加傾向にあります。


(出所)「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成 28 年度)」より作成

さらには、国籍がないことによって就学義務も発生しませんから、多くの子供たちが「不就学(=学校に属していない)」の状態にあると言われています。正確な数が把握できていませんが、毎日新聞の調査では
1.6万人が就学不明と推測されています。

さらに、学校に行けたとしても、彼らは様々な困難を抱えます。
例えば言語の問題です。仮に日本で生まれ育ったとしても家庭の中では保護者の母国語を使用している場合もあり、日本人家庭よりも習得が遅いことはよくあります。川崎市の調査では、家庭内の会話で日本語のみを使う割合は36%にとどまりました。

(出所)「川崎市外国人市民意識実態調査」より引用

学校内で日本語の発音をからかわれ学校に通いづらくなる子もいますし、そもそも教科の学習では日常会話で使わない言葉を使う必要があります。日常会話ができることは日本語での勉強ができることを意味しません。


また、受験にあたっても、入試制度が理解できない、手続きの進め方がわかりにくいなどのハードルがあります。特に保護者が母国の言語しか理解できないために、受験制度への理解が進まないことはよくあります。


(出所)「川崎市外国人市民意識実態調査」より引用
実際に、外国にルーツのある子どもの高校進学率は全体の進学率よりも低いことがわかっています。
外国にルーツのある子どもの数は今後も増加すると考えられ、日本語指導が必要な子どもも増加するでしょう。その際に、こうしたハードルを放置したままでいることはより多くの子どもたちを苦しめることになります。

外国人の貧困〜在留資格、永住権、国籍〜

外国籍の人々の貧困も大きな問題です。
被保護者調査によれば約7万人(各月の平均)の外国人が生活保護を受給しています。全体の中で見れば少なく見えますが、受給資格をもつ「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の約112万人の中で見ると6%強と大変高い割合です。
その背景には外国籍の人が置かれる立場があります。大きく、在留資格、永住の可否、国籍の3つの観点で見ていきます。
そもそも日本に来て長期滞在するためには「在留資格」と呼ばれる資格が必要です。入国管理局「在留資格一覧表」によれば、2019年6月現在で30種類近くの在留資格がありますが、在留資格は入国管理法で規定され、そのつど追加・修正されることがあります。
さらにこうした在留資格に大きく関わるのが「永住の可否」です。在留資格のうち多くが就労を要求し、その就労期間での滞在を認めるというのが通常ですが「身分・地位」によるものは在留期間(もしくはその更新)に制限がなく、活動に制限もないという点で最も安定しています。
この「永住資格」は取得要件として「日本で10年以上暮らし、このうち5年以上は「就労資格」などを持っていなければならない」とされていますので、就労資格などで長期の滞在をへて(もしくは家族が長期滞在をしており)、永住に至るという人は一定数います。


(出所) 「ふたつの日本」より引用

さらに国籍の有無は非常に大きな違いです。国籍がないと、まず戸籍がありません。さらに社会保障サービスも受けられず、融資やローンを受けることもできませんし、選挙権・被選挙権も持てません。また、先ほども少し触れたように日本国籍のない子どもは就学義務もありません。
一言に外国人といっても、在留資格、永住しているか否か、国籍の有無などでグラデーションがあり、生活の安定性もこのグラデーションに依存することが推測されます。
この人たちの中にはすでに家庭を持っている人も、これから結婚して家庭を築く人もいるかもしれません。しかし今の制度のままでは、その家庭の子は日本での学校教育にうまく適応できないかもしれません。その子が大人になったときに学歴や言語による障壁で不安定な生活を送らざるを得ないかもしれません。そうして貧困が再生産されることが考えられます。

最後に

ここまで日本における外国人、外国にルーツを持つ子どもの環境を見てきました。もはや外国人との共生は避けられない課題になっています。
最近、都心部のコンビニでは外国人の店員が多く、日本人店員の方が珍しいように思います。コンビニ以外でも、居酒屋やファーストフード店でも外国の方を目にする機会はどんどんと増えていっています。望月優大さんは著書『ふたつの日本』の中で彼らの生活をヒアリングした際のことをこう述べています。
「日本語学校とアルバイト先と寮。彼らはこの三つを毎日ぐるぐると回るような生活を送っていた。(中略)同じ社会に暮らしていても、一人ひとりは互いの小さな世界の中で暮らしている。互いの存在は見えず、知り合わず、話し合わない。」
日頃コンビニで買い物をしたり、ファストフード店で食事をする時に、私たちは目の前の店員が誰であるかを気にしません。しかし、そこでも貧困の再生産は生じています。
その貧困の再生産は、私たちの想像も支援も確実に及ぶはずの範囲で起きているのではないでしょうか。

参考文献
ー 望月優大「ふたつの日本」講談社現代新書
ー芹澤健介「コンビニ外国人」新潮新書
ー 荒牧重人ら編「外国人の子ども白書」明石書店
毎日新聞「外国籍の子 就学不明1.6万人」
産経ニュース「日本語が「第1外国語」に ベトナムの小学校で東南アジア初」
ー 法務省「在留外国人調査」
ー 法務省「国籍Q&A」
ー 出入国管理及び難民認定法
ー 川崎市外国人市民意識実態調査

 

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