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国際子どもの日に考える『子どもの権利』と『子どもの貧困』

2018.6.1

 こんにちは!Learning for All 常勤職員の入澤です。

これから不定期でブログを書かせていただくことになりました。
早速ですが、皆さんは今日が何の日かご存知ですか?

◼︎6月1日は「国際子どもの日」

本日6月1日は「国際子どもの日(International Children’s Day)」です。1925年のジュネーブでの子どもの福祉世界会議で制定され、世界の多くの国で子どもの日として祝われています。日本では子どもの日は5月5日ですが、国によって違うのですね。ちなみに、11月20日は国連総会で定められた「世界子どもの日(Universal Children’s Day)」らしいです。そちらを子どもの日にしている国も一部存在するようです。さて、子どもの日界隈も色々あるようですが、「子どもの権利を尊重し、成長を祝う」という目的は一緒です。せっかくですので、今日は子どもの権利について考えてみましょう。子どもの貧困の解決に取り組むLearning for All にとって子どもの権利はとても大切な概念です。

◼︎ そもそも「子どもの権利」って何だろう?

子どもの権利とは、子どもの持つ基本的人権のことです。その保障のために1989年に「子どもの権利条約」が採択され、1990年に発効しました。日本は1994年に批准しています。この条約は、子どもを人権の主人公とする考え方を明確にしています。子どもが「まだ子どもだから」と過剰に管理されたり、侮られたりすることを防ぎ、大人と同く独立した人格を持つ一人の人間としてその価値を認めています。そして、子どもを発達する存在であると捉えているところもこの条約の大切なところです。条約の中では、子どもが社会の中で安心して大人へと発達していけるように、大人が子どもたちを支える必要があることが説かれています。そして、独立した人格を持つといっても、子どもは心も体も未成熟で、生きていくためには社会の中で大切に保護されなければならないということも説明されています。

また、子どもの権利条約の中で、子どもの権利は大きく4つの権利に分けて掲げられています。それらは、「生きる権利(予防できる病気などでいのちを奪われない こと。病気やけがの治療を受けられること、 など)」、「発達する権利(教育を受け、休んだり遊んだりできること。 考えることや信じることの自由が守られ、自分らしく育つことができること、など)」 、「保護される権利(あらゆる種類の虐待や搾取から守られること、 など。)」、「参加する権利(自由に意見を表明したり、集まってグループ をつくったり、自由な活動を行ったりできること、など)」です。

生きる権利
発達する権利
保護される権利
参加する権利

 ◼︎ 子どもの貧困と子どもの権利

子どもの権利を構成する4つの権利の中身を少し見るだけでも、貧困状態という不利な環境に置かれる子どものより良い育ちを実現する上で、子どもの権利がとても大切な概念であることがわかるのではないでしょうか。子どもの権利を守ることはつまり、子どもを社会の一員と認め、その意向を最大限反映し、ニーズを汲み取ることで、子どもの最善の利益を保障することを意味します。私は貧困世帯の子ども達に、これを当たり前に実現しないといけないと思っています。貧困世帯の子ども達は、教育機会の不利を抱えるだけでなく、健康や衛生面の困難、発達上の困難、さらに深く自尊心を傷つけられる経験をするリスクを抱えることにもなります。それは例えば、特別な配慮を得られず本人にとっては過剰な要求をされたり、身近な大人も日々消耗しながら生活しているために存在を認めてもらえなかったりすることなどです。一人ひとり異なる環境で生きるそういった子どもの声を聞き、定式化されない子ども起点の支援を行えるようにするには、社会に子どもの権利を浸透させなければなりません。例えば、EUでは2009年に”(EU) Charter of Fundamental Rights”を、2017年には”EU European Pillar of Social Rights”を独自に取り決め、加盟国に子どもの権利の観点から子どもの貧困対策を後押ししています。

日本では子どもの貧困対策において、子どもの権利が唱われる数は他の先進国に比べてまだ少ないと言えるのかもしれません。現状では、日本の子どもの貧困対策は「社会的投資」からのアプローチが優勢のようです。例えば、日本財団が子どもの貧困による社会的損失が40兆円に上るというレポートをまとめ、子どもの貧困対策における幼児期の支援の必要性を社会に訴えてたのは記憶に新しいですね。日本の子どもの貧困対策を前に進める大きな一歩でした。貧困の連鎖を断ち切るために、成果が出るエビデンスのある政策を、達成目標を明確にして実行に移す「社会的投資」からのアプローチは、今後も子どもの教育支援、貧困世帯の親の就労支援や育児手当の給付など様々な領域で進展が望まれます。

ただ、子どもの貧困対策は「社会的投資」からのアプローチと「子どもの権利」からのアプローチの両輪で進めるべきだと私は考えています。社会的投資からのアプローチで効果的に貧困の連鎖を断ち切るための新しい社会の大きな枠組みを作りながら、「子どもの権利」からのアプローチで、たとえ何重にもわたる複雑な困難を抱えて社会の隅に追いやられる子どもでも、社会に支えられて守られるように働きかけ続けることが必要です。Learning for All という団体は、子どもの貧困の解決のために、社会の大きな枠組みを問い直しながら、一人ひとりの子どもの「声」を聞く団体だと、私は信じています。

◼︎ 最後に・・・

今回は子どもの貧困と関連付けて子どもの権利について書きました。ただ、最後に伝えたいのは、子どもの権利は貧困世帯の子ども達だけに重要な概念ではないということです。権利は当然すべての子ども達に関わります。我々大人は、日本が国連「子どもの権利委員会」から過去に3回も勧告を受けていることを重く受け止め、改善のための行動を取るべきです。勧告では、日本の教育は過度に競争的で、子ども達から生きる上で大切な休む時間や遊ぶ時間を奪い、心身に大きなストレスを与えていると言われています。そもそも、子どもの権利が社会に浸透していないとも言われています。子どもの権利を基礎に据えて、どんな環境に生まれる子どもでも社会に歓迎され、声が聞かれ、健やかに幸せに育てる社会の形を作っていかなければいけないのではないでしょうか?それは我々大人の責任です。


◼︎ 参考文献

滋賀県企画県民部人権施策推進課(2001)『もっと知りたい!子どもの権利条約』
山野則子・武田信子(2015)『子ども家庭福祉の世界』
武田信子(2015)「貧困と幸せを考える」, 『世界の児童と母性 第79号』pp.11-19
Mary Daly(2017)“The Problem of Child Poverty in the European Union”(大原社会問題研究所主催国際シンポジウム『子どもの貧困を問う』発表資料)
unicef 『子どもの権利条約』https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html


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