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【学生教師インタビュー】現場に身を置きながら、格差問題の「当事者」を考える

2018.8.21

Learning for All 学生教師インタビュー、今回は筑波大学4年の大平拓実(おおだいら たくみ)さんにお話を聞きました。大平さんは2018年5月に学生教師としてLearning for All のプログラムに参加し、中学3年生の子どもに向き合ってきました。3ヶ月のプログラムでの経験を生かして、大平さんが今後達成したいこととは??ぜひご覧ください!


LFAに参加した理由を教えてください

教育や格差問題に関心があり、実際に教育現場では何が問題になっているのかを知りたかったからです。LFAのプログラムに参加するまでに、いくつかターニングポイントがあったと思います。最初に私がそれらに強い関心を抱いたのは、大学1年生の夏休みにアフリカのマラウイという国に行ったときです。印象的だったのは、計算式を書けて然るべき年齢なのにもかかわらず、直線を書く練習から始める女の子に会ったときでした。このような練習から始めなければならない背景には、彼女自身が聴覚・知的障害を併発していて、適切な教育を受けさせるだけの経済力が親になかった過去があります。親世代の経済的格差が、子世代の教育格差にも連鎖してしまうことを実感し、衝撃を受けました。

こういった人たちが将来自分で立ち上がれるようなサポートをするならば、何が必要なのか? この問いに対して、私は、人の一生に関わる「教育」の観点からアプローチしていきたいと思うようになりました。

日本国内の教育格差に関心を持ち始めたのは、大学で教育社会学を学び始めてからです。現在はもうそこまで新しい話ではありませんが、教育社会学者の苅谷剛彦先生が親世代の社会経済的な格差と、子世代の学力だけでなく学習意欲や努力の格差の関係を指摘するなど、社会階層間の教育格差が顕在化していることを知りました。しかし一方で、特に先生として生徒を指導したことも、日本の教育現場にほとんど足を運んだこともなかった私は、現場では何が問題になっているのか実感が湧かなかったのが事実でした。何が問題になっているのか、そして「その問題は現場の子どもたちにとっても本当に問題なのだろうか?」そんな疑問とともに、プログラム参加に至りました。

LFAに参加する前と今で一番変わったのはどのようなところですか?

常に子どもの願う将来の姿を描き、その姿に向かって行動し続けるスキルが身についたところだと思います。プログラムに参加する前までは、「こんな感じかな?」という具合で感覚的に課題に取り組み、友人の相談を受けるときにも話をよく聞こうとする気持ちだけで相手に向かうことがありました。LFAでは、はじめに子どもが将来どうなっているのが理想なのか明確にし、現状をその理想へ近づけるために試行錯誤を重ねていきます。「誰でもより良い自分でありたいと思っている」という意識を持ち、どうやったら生徒が本音で思っていることを話してくれるのか、どうやったら生徒自身が描く理想を達成できるかを考え続けました。

私が担当した生徒は、はじめ自分の考えを表に出してくれなかったのですが、「その時どう思ったの?」「どうしてそう思ったの?」と生徒の考えを引き出す言葉を投げかけ、生徒の悩みに対しては「先生には何かできることない?」と生徒に寄り添い、協力する姿勢を示すことで、指導最終日の将来の夢を考える時間では、「子どもと接するのが好きだから保育士になりたい」という自分の夢をその理由まで堂々と話してくれるようになりました。

LFAで活動する中で、一番印象に残っている出来事を教えてください

生徒が問題を解くことができ、「わかった!」と喜ぶ瞬間に立ち会うことができたことです。私の担当生徒は、はじめ数学の証明問題を全く解くことができず、テストでも回答欄に何も書くことができていませんでした。解けるようになりたい、と思っているにも関わらず、自分でどうしたらよいか分からない、という課題がありました。そのため、私から一方的に解き方を教えてそれをアウトプットさせるのではなく、生徒との会話の中で生徒が自分で問題の解き方に気づくことを意識して指導を行おうと考えていました。まずは生徒自身の言葉で問題の解き方を話してもらいたかったため、指導の時間を多めにとり、問いかけを中心に授業を進めました。

ここがこうで、ここがこうだから…とひとつひとつ分かることを整理していくと、問題の解き方を理解したようで、「あー!」と大きな声で嬉しさを表現していました。指導の最後に行う確認テストでは見事満点を取り、さらにその日の指導で発見した解き方を忘れないようにするためにはどうすればいいのか、自分から考えていました。自分のサポートが、生徒の学びにつながり、自分でも子どもたちに結果を届けることができるんだ、と実感した瞬間でした。

LFAでの活動を活かして、今後達成したいことはなんですか?

様々な格差から生じる問題に関心を持ち、その問題を解決していく人を増やしていくことです。そのためには、まずそれらを解決するための議論のテーブルに、格差による困難を抱えているいわゆる「当事者」の人たちの席を用意し続けることが必要ではないかと思います。LFAに参加した理由の1つは、本当に教育格差や貧困の問題はその「当事者」にとっても問題とされているのか知りたい、ということだったのですが、格差を問題視しているのは一体誰なのかを考えないと、「当事者」の考えを置き去りにした解決策が提示されてしまうのではないかと思います。

また、これは今回学生教師をやっていて感じたことですが、確かに教室に来てくれる子どもたちの中には家庭が経済的に困難を抱え、進学という選択肢が狭まっている子もいて、親からの経済的な援助によって今大学で学べている自分との差は感じずにはいられません。しかし、どちらも異なる人生を送っているという点では一緒でそこに優劣はないと思います。相手の置かれた状況を表面的に観察してこれがその人のすべてだ、と判断するのではなく、常に「当事者」がどういうことを考えていて、どうありたいのかを知り、それからどう解決するか考える、という「当事者意識」をもった人を増やしていきたいです。

最後に、参加を迷っている学生に一言お願いします!

LFAで得られる経験は貴重なものだと思います。政策などで語られていることを見て問題を理解するだけでなく、現場レベルで起こっていることを体験することで、その問題に対する疑問や違和感を抱くきっかけになります。その違和感が自分の行動を変え、その行動は教育格差を終わらせる端緒となると信じています。何気ないことでもいいと思います、自分が日頃思っていることを大切にし、教育格差の問題にぜひ現場からも向き合ってください!


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