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【学生スタッフインタビュー】寺子屋で「目の前の子どもの教師になる」ということ

2018.8.23

Learning for All 学生教師インタビュー、今回は法政大学4年の善田緩(ぜんだ ひろ)さんにお話を聞きました。善田さんは2015年8月に学生教師としてLearning for All のプログラムに参加して以降、学生教師や学生スタッフとして現場で活躍し続けてきました。

善田さんが3年以上もLFAに関わっている理由、そして長い現場経験の中で考え続けてきたLFAの教室のあるべき姿について、語ってもらいました。ぜひご覧ください!


LFAに参加した理由を教えてください

そもそも説明会に参加したのは、教員志望だったこともあり、夏休みに何か教育系の活動をやりたいなと思っていたからです。そんな軽い気持ちで参加した説明会ですが、「子どもの貧困」や「教育格差」の話を聞いて、自分が中学生の頃の同級生のことを思い出しました。その同級生は、家庭の経済環境の関係で公立高校一本しか受験することができず、結果本人の実力とかけ離れた高校に進学しました。当時抱いた違和感を思い出し、自分にはどうにもできない要因で本人の可能性が制限されている状況をどうにかしたい、そのためにまずは現場がどうなっているのか知りたいと思い、LFAのプログラムに参加しました。

LFAに参加する前と今で一番変わったのはどのようなところですか?

社会の様々な事象に関して「自己責任論で議論を止めて良いのか」考えるようになったことです。LFAのことを自分の周りの人に話すとき、「学習遅滞がおこるのは、結局自分が勉強しなかったからではないか」という意見を必ず受け取ります。確かにそれも一理あると思いますが、LFAで出会った子どもたちを見ると、必ずしもそれが100%の理由ではありません。そもそも勉強に集中できる環境がなかったり、小学生時代に学級崩壊を経験してその頃の知識がごっそり抜けていたり、学習障がいの傾向があり自分の適性にあった学習方法を自力で見つけることが難しかったり、挙げるときりがないですが、そういった要因もあります。そして共通して、どの子どもたちも「努力自体はおこなってきた」ということです。寺子屋で変われると信じてひたむきに自分と向き合う子どもたちを見ると、なんとも言えない気持ちになります。

冒頭で、「社会の様々な事象に関して自己責任論で議論を止めて良いのか考えるようになった」とお話しましたが、例えばホームレスの方の存在や、未成年が起こす事件などについての考え方が変わりました。私はそういったニュースや事実を知るたびに、「その背景にはどういったことがあったのか」をいつも考えるようになりました。そしてその背景には社会の構造的な問題が複雑に絡み合っているということが間違いなくあります。

そこに対して「当事者意識を持つ」、ということはそれを「自分ごとと捉えて解決に向けて動く」ということだと思っているので、私自身は当事者意識を持てているとはまだ言えない状態にあります。ただ、当事者意識の第一歩として「見方を変えて社会の構造的な問題の存在に気づくことができた」ということは、LFAに参加して得た大きな変化だと思います。

LFAで活動する中で、一番印象に残っている出来事を教えてください

一番印象に残っていることは、当時担当していた中学3年生のAくんが、七夕で「高校に行きたい」と願い事を書いたことです。「○○高校に」ではなく、ただ「高校に」と書いたこと。これが何を意味しているのか、それは彼自身が高校受験を「高校生になれるかなれないか」の問題と捉えていたということです。

Aくんと初めて出会ったのは、彼が中学1年生の頃でした。当時は基礎学力テストがほぼ白紙の0点、という状態からスタートしました。性格はおっとりしていて、友達からも人気者でしたが、「自分はばかだ」と強く認識しており、非常に自己肯定感の低い子でした。しかし一方で「変わりたい」という意志も強く持っていて、真摯に目の前の課題に取り組むことができる子でもありました。

約1年後、中学2年生になったAくんと別の寺子屋で再会すると、まるで別人になっていました。勉強に対する集中力はほとんどなく、学校の課題は答えを丸写し、口癖は「どうせできない」「俺には無理っすよ」のオンパレード。

なぜそうなってしまったのか、本人と対話を重ねた中で見えてきたのは、「自分のなりたい姿を実現できなかった」ことが繰り返され、自分自身に対して諦めてしまっていたからでした。一度関わったからには自分の責任もあると感じ、私はもう一度彼の伴走者になろうと心に決めて向き合い続け、Aくんももう一度頑張りはじめるようになりました。

そういった経緯もあり、私は彼の理解者になれていると勝手に思いこんでいました。しかし、中学3年生になったAくんが書いた七夕の願い事を目にしたとき、私は「本当の意味で彼を理解することはできないかもしれない」と気づきました。彼のおかれている環境も、そこからくる感情も、彼の立場に立って想像して理解してきたつもりでいましたが、あくまで想像なので限界があります。「高校生になれるかなれないか」という不安はどれほどのものなのか、私は彼が抱えるものの大きさを改めて目の当たりにした感覚になりました。

その後、彼の不安を受け止められず、この先の信頼関係が崩れてしまったらどうしよう、私の中でそれが最優先になってしまい、「子どもの不安よりも自分の不安を優先してしまった」という苦い経験が今でも心残りになっています。

子どもと向き合う中で、自分の弱さが露呈することは多々あります。その弱さを乗り越えずに表面的に子どもと接することは、その子に対して不誠実です。というものの、私はそのとき乗り越えきれずに終わってしまいました。そこに対しての後悔から、約3年と長い間LFAに関わり続けているのかもしれません。

LFAで達成したいことは何ですか?

私がLFAで達成したいことは「寺子屋(LFAの学習支援教室の名称)を、子どもたちが将来自立して生きるための基礎的な力をつけることができる場所にすること」です。これを思うに至った背景は、義務教育でつけるべき最低限の力がついていない子どもたちが溢れている現実を知り、その上で寺子屋はどういった場所であるべきなのかをプログラム毎に考え続けたことにあります。

なぜ「力」なのかというと、結局自分の人生は自分でしか歩めない、という考えがあるからかもしれません。寺子屋教師はずっと子どもの側にいることができるわけではないので、将来子どもたちがなりたい姿に自力で向かっていくことができるような教室設計をしていきたいと思っています。

最後に、参加を迷っている学生に一言お願いします!

寺子屋で、「出会った子どもの教師になる」ということは、同時に「子どもの人生に責任を持つこと」でもあります。しかし、私たちはあくまで他者であり、子どもたちの人生を代わりに歩むことはできません。その上で、「子どもたちが今も将来も生き生きした人生を送るために、教師として子どもに何を届けるか」、これを考えていくことが寺子屋教師の役割なのではないかと考えています。

LFAの寺子屋と学習塾の違いを第三者に説明するのがいつも難しいのですが、LFAでは学習支援をすることが「目的」でなく子どもが生き生きと生きるための「手段」としての位置づけであることが一番の違いのように思います。

教育や社会課題の解決に関心はあるけど「LFAでやることってたかが勉強のサポートでしょ」と思っている方がもしいたら、そんな方にこそまずは説明会に足を運んでいただきたいと思っています。そこで現場で活動している職員・学生の声を聞いてみて、本当にそうかどうか確かめてみてください。そしてぜひ、現場の子どもたちに実際に会って、向き合って欲しいなと思います。


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