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【2018年度卒業生インタビュー第9弾】社会課題の当事者となり、行動する人を増やしたい

2019.4.17

こんにちは!学生採用チームインターンの弓削です。

2018年度卒業生インタビュー最終回の今回は、2016年度冬期プログラムにボランティア教師として参加し、その後2017年春期より約2年間、インターンとして学生ボランティア採用業務に携わった、東京大学卒業の佐々木 春希(ささき はるき)さんにお話を聞きました。

なぜLearning for Allに参加しようと思ったのですか?

 元々教育格差に関心があり、困難な状況にある子どもたちに何か支援がしたいと考えていたこと、LFAの課題解決モデルに魅力を感じたことが理由です。

 教育格差に関心を持ったのは、大学入学後に周囲との差に驚いたことがきっかけです。私は両親が中卒、定時制高校卒という家庭に生まれ、地元の公立中学校の同級生たちの多くが高校卒業後は就職したり、専門学校に進学したりするという、大学進学が当たり前ではない環境で育ってきました。むしろ両親の経験を聞く中で、「15歳になったら働くのが普通だ」と考えていたので、高校時代からアルバイトをしていました。一方で、東大で出会う友人たちの多くは両親の少なくとも一方は大卒で、都会の中高一貫校に通ってきた人も多く、大学進学は当たり前と捉えているように感じます。大学1年時にはこのギャップに戸惑い、私のような人間が東大に入学すべきではなかったと思ったこともありましたが、この経験から私は日本にも教育格差が存在するということに気づくことができました。そして、普通に勉強に取り組むことが経済的理由で難しい等、困難な状況に置かれている子どもたちの支援をしたいという考えるようになりました。

 Learning for Allでは友人が活動していたため、2年生の夏頃から知っていましたが、学業・サークル等の都合がなかなか合わず、3年生の冬になってやっと説明会に参加しました。説明会では、私の両親が経験してきた「進学したくてもできない」状況が今もなくなっていないことに憤りを感じ、なんとかしたいと思い、またLFAの課題解決モデルに魅力を感じたため、参加を決めました。

ボランティア教師として活動する中で印象に残ったことはなんですか?

 特に印象に残っていることが2つあります。

 1つ目は、困難な状況と向き合う子どもの強さです。私が冬期プログラムで担当した中学3年生2人のうち、1人は生活保護受給世帯の子どもでした。その子は塾には行けず、受験校も都立高校1本に絞っていました。志望校は推薦入試と前期入試を行なっており、推薦入試での合格も十分に狙える学力だったため面接や作文の練習にも熱心に取り組んでいましたが、残念ながら推薦入試では不合格となってしまいました。発表翌日に指導があったため、落ち込んでいるであろう子どもの声掛けの仕方をメンターと一緒に想定していました。しかし、その子は落ち込んだ様子をほとんど見せず、「前期で受からなきゃいけないので切り替えて頑張りたいです!」と話してくれました。一生懸命に準備を重ねた試験に落ちてしまって、次の試験で合格しなければ高校に進学することさえ叶わないかもしれないという現状を理解した上で、それに立ち向かっていく覚悟に私は感銘を受け、より一層指導を頑張ろうという気持ちになりました。この子どもはその後の前期試験で、見事志望校への合格を勝ち取りました。

指導の様子

 2つ目は、第1志望の高校に進学できなかった子どもがいたことです。2016年度にLearning for Allが学習支援を行った中学3年生61人は、全員が高校への合格を勝ち取りました。それは本当に嬉しいことでしたが、私が教師として活動した拠点では、数名の子どもが第一志望の高校に合格することができませんでした。中でも一番印象に残っているのは、ある子どもが全日制高校への進学を諦め定時制高校へと進学したことです。学力的に都立全日制への進学がギリギリで経済的に私立への進学も厳しいという状況ではそれが最善の選択だったかもしれません。しかし、「全日制高校へ進学して、普通の高校生活を送りたい」というごく当たり前の子どもの希望を実現させてあげられなかったことがとても心残りです。

 この子どもが第1志望に進学できなかったという事実は変えられません。しかしだからこそ、学生採用チームに関わることで子どもたち全員に最高の教師との出会いを届けたいという想いを持ち、行動し続けることができたと思っています。

なぜ2年間にわたって学生採用チームのインターンとしてLearning for Allに関わり続けたのですか?

 1つ目の理由は先ほどお話ししたように、LFAが支援する子どもたち全員が希望する未来を実現できるよう、全員に最高の教師との出会いを届けたいという想いがあったからです。

 2つ目は、プログラムを通じて大学生を「社会課題の当事者」に育てていく仕組みに魅力を感じたからです。私は、東大生をはじめ優秀層の学生たちが格差や貧困を知らなかったり、知っていたとしても「自分には関係のないこと」という考えのまま社会に出ていくことに問題意識を持っています。なぜなら、彼らが将来政治家や官僚、企業の幹部層など日本を牽引する立場についたとき、それらの社会課題や社会課題に直面している人たちの存在は軽視され、「自己責任」と扱われやすくなってしまうと思うからです。逆に、彼らに格差を「自分事」と捉えてもらうことができれば、教育格差のない社会の実現に大きく近づくと考え、LFAにより多くの優秀な学生に参加してもらうための活動を続けました。だからこそ、当初は社会課題に関心のなかった学生がプログラムを経験して課題の当事者として成長した姿を見ることが嬉しく、さらに活動を続けるモチベーションにもなっていました。

 また、LFAの「対症療法だけでない、社会の根本的な変革に本気で取り組む姿勢」に魅力を感じたことも、インターンとして長く関わり続けた理由の1つです。LFAの「社会の根本的な変革に向けたアクション」には、2つ目にお話しした「大学生を社会課題の当事者に育てていく仕組み」と、2018年秋から開始した「子ども支援の生態系モデル(CESモデル)」が挙げられます。2年前にボランティア教師として中3の子どもたちを指導する中で、「この子たちにもっと早く出会えていたらよりよい支援ができて、行きたい高校にも行かせてあげられたのに…」という葛藤を感じた私にとって、小学生から高校生までの困難を抱える子どもを包括的に支援することを目指すCESモデルはまさに実現したいことでした。事業規模も独立4年目の団体とは考えられないほど大きいものですが、半年ほどで実際に拠点を運営するというスピード感で事業を進めていくのを目の当たりにし、改めてLFAの本気度に惚れ込みました。

インターンでの業務風景

LFAの卒業生として、今後どうありたいですか?

 課題の解決者、そして当事者であり続けたいです。4月からは人材育成を行う民間企業に勤務しており、LFAでの活動からは一旦離れます。一方で、会社で働く中でもお客様が抱える課題をヒアリングし、その中から本質的な課題を見極め、解決する能力が求められると思っていますが、この能力はまさにLFAで多少なりとも培ってきたものです。まずは新卒として身につけるべき社会人基礎力をしっかり身につけつつ、課題に向き合うことを任せてもらえるようになっていきたいと思っています。

 社会課題の当事者という点に関しては、大卒者のいない家庭出身の東大卒であるというアイデンティティを大切にし、さらに磨いていきたいと感じています。日本において学歴をはじめとした社会的資源の偏りは「社会階層」の分化をもたらしていますが、私は2つの社会階層を経験してきたと思っています。この経験は先にお話ししたように大きな葛藤を伴うものでしたが、それゆえに格差の存在に気づくことができましたし、一方でいわゆるエリートと言われる人たちもそれぞれに悩みや苦しみも抱えながら生きていると知ることができました。異なる社会階層に生きる人の悩みに対し、やはり「自分には関係ないこと」であったり、特に後者については、「持てる者の悩み」として軽んじられることもありますが、その人本人にとっては決して軽いことではないと思います。社会階層に限らず、異なる状況にある人が直面する課題に想像力を働かせ、共感できる人が増えてほしいと願っています。そして、具体的な手段はまだ決めていませんが、私は私という人間を育んでくれた階層とその課題を知り、共感し、行動してくれる人を増やしたいと考えています。

最後に、参加を迷っている大学生に一言メッセージをお願いします

 一個人の意見としては、迷っているなら絶対に参加すべきだと考えています。とはいえ、忙しい大学生活の中で時間を割いてボランティアに参加することは簡単ではないと思います。だからこそ、インタビュー記事説明動画などホームページ上の情報、そしてLINE@での相談やオフィスで行なっている相談会など、様々な側面からLFAを知ってもらい、納得した上で参加してほしいです。もし参加してくださるならば、子どもだけではなく学生も成長できる最高の環境があなたを待っています。


■社会課題に挑む、学生ボランティア・インターン募集中!
Learning for All では学習支援居場所支援の2つのプログラムで参加学生を募集中です。プログラムへの関わり方もボランティアとインターンの2種類ご用意しています。
まずは以下の画像から、子どもの貧困やLFAの事業内容・プログラムについて説明した動画をご覧ください。

■参加を迷っている学生向けのLINE@やってます!
説明会日程やブログ更新の情報配信のほか、プログラム参加に関する個別相談も対応しております。

■マンスリーサポーター募集中!
Learning for All ではサポーターを募集しております。
1,000円の寄付で子ども1人に1時間の学習支援が届けられます。
皆さまのご支援が、子どもたちの学習機会の拡大につながります。
皆さまのご寄付は、一人ひとりの子どもたちの未来を作っていきます。
ぜひ、子どもたちの未来を一緒に応援してください。

■社会人向け活動説明会開催中!
Learning for All では月に4回、メディアの情報だけではわからない「子どもの貧困」の実態やLFAの活動について紹介するイベントを開催してます。子どもたちの明るい未来を支えるため、私たちに「今、できること」を一緒に考えましょう。

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Learning for All では、一緒に働く仲間を募集しております。

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