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【卒業生インタビュー】出会った子どもたちに向き合うことが、小さな一歩になると信じて

2019.2.6

こんにちは!経営管理チームインターンの佐々木です。今回より4月まで、今年卒業する学生スタッフのインタビューを複数回にわたってお届けします。

第1回の今回は、大学2年生だった2016年度から学習支援プログラムに参加し、現在はインターン生としてボランティア希望者の面談を担当している国際基督教大学4年の三友 志織(みとも しおり)さんにお話を伺いました。
2年近くにわたってLFAで活動している三友さんがLFAに参加した理由や、LFAで達成したいことなど、是非ご一読ください!

LFAに参加した理由を教えてください

 LFAへの参加を決めた理由には、私自身の家庭環境が関係しています。私は中学生のときに母子家庭になり家庭の経済状況が大きく変化しました。そのときに、塾通いなどそれまでは当たり前だと思っていたことが、決してそうではなかったことに気付きました。また同時に当時、私の周囲には経済的に恵まれている友人が多くおり、ひとりでに心苦しさや憤りを感じていました。しばらくはその気持ちを一人で抱えていましたが、ふと知人に打ち明けたとき、表立っていないだけで誰もがそれぞれに困難を抱えて生きているのだと気付かされました。一方で、私のように自分では変えることのできない環境によって辛い思いをしている人がいることを想像するとやりきれない気持ちになり、漠然とですが、そのような人たちのために何かできることはないかと考えていたことを思い出します。

 その後、大学で出会った友人からLFAを紹介してもらいました。説明会に参加し話を聞いてみると、私の抱えていた漠然とした気持ちが段々と、そして驚くほどクリアになっていきました。同時に、学習支援を通して少しでも子どもたちの力になれるのであれば、それこそが今の自分にできることだと思い、その場でエントリーを決めました。

LFAに参加する前と今で一番変わったのはどのような点ですか?

 LFAの学習支援が、教育格差という社会課題の解決に対して着実な一歩になっているという意識です。私は原体験があって学習支援プログラムへの参加を決めましたが、正直に言うと、自分がたった何人かの子どもたちに向き合うことが教育格差の解決に結びつくとは想像できない部分がありました。しかし実際には、子どもたちが本気で向き合ってくれる大人に出会い変わっていく姿を、教室の中で、そして自分の目の前で見てきました。ある一瞬を切り取れば子どもたちや社会に対して与える影響はわずかに見えるかもしれませんが、今までにLFAの学習支援が届けた子どもたちの笑顔や結果を振り返ると、それは教育格差の解決に向けて決して小さくはない一歩であると思います。

 一方で同時に、LFAの学習支援が手を差し伸べられていない子どもたちの姿も目に浮かぶようになりました。子どもたちに本気で向き合ったからこそ、自分がそのように関われる子どもの数には限界があることを痛感したからです。LFAが支援を届ける必要のある子どもたちが生まれてしまう社会の仕組みや、そのあり方にも目を向けられるようになった今、教育格差をよりマクロな視点から捉えられるようになったと言えるかもしれません。

三友さんが運営責任者を務めた教室のメンバー(三友さんは前列右から二番目)

LFAで活動していて最も印象的だった出来事はなんですか?

 昨年の春に出会った1人の生徒が印象に残っています。当時中学2年生の外国籍の男の子でした。彼は生まれは日本ですが、数年ほど前に日本に来るまでは外国で育ったため日本語を話すことに抵抗があり、言葉の壁を抱えていました。そのために学校でも嫌な思いをしたそうで、初めて寺子屋(LFAの学習支援教室の名称)で私と会ったときも頑なに日本語を話そうとしてくれませんでした。私は彼と接する中で度々、自分自身が言葉の壁を感じた経験を思い出しました。彼と同じ年齢のときに海外へ渡航し英語を話す機会があり、そのときに自分の気持ちや考えを上手く言葉にできないもどかしさを強く感じたことです。この経験から彼と過去の自分に重なる部分がある気がして、言葉と心の壁を取り払う努力を重ねました。

 するとあるとき、寺子屋の授業中は日本語を話してみる、と伝えてくれました。子どもが変わる姿を初めて目の当たりにした瞬間でした。そこからは英語中心だった授業も徐々に日本語に切り替え、最終的には授業中の説明を全て日本語で行えるほどになりました。彼の中でも葛藤があったかとは思いますが、寺子屋では日本語を話し、わからない言葉は調べてから授業に来るなど、彼のその真摯な姿勢に私も精一杯応えました。またそれまで彼は自習室(寺子屋と別の曜日に運営している学習支援教室で、毎週別のボランティアが指導)への参加のみでしたが、これを機に毎週固定の教師がつく寺子屋の正規プログラムへの参加が決まり、継続的な支援ができるようになったことに胸を撫でおろしたことも覚えています。

 実は先日、彼の姿を目にする機会がありました。受験を目前に控え担当教師と勉強に取り組む姿には、良い意味で、昨年の春の面影は感じませんでした。いま私が彼の前に立つことはできませんが、寺子屋が彼にとって自分の人生を切り拓くことのできる場となり、笑顔で次の春を迎えられることを願っています。

研修の様子

最後に、LFAで達成したいことを教えてください

 大きく2つあります。

 1つは全ての子どもたちが「自分らしく」生きられる社会を実現していくことです。ここでいう「自分らしく」とは、とりまく環境によって制限されることなく自分の個性や強みを発揮できていることや、頑張りたいと思ったことに挑戦しながら自分で自分の人生を形作っていることです。私は自身の家庭環境が変化したときに、いかに周囲に迷惑をかけずに過ごすかばかりを考え、自分の気持ちを抑えつけていたことがありました。しかし結果として、自分の気持ちをなおざりにすることで「自分らしさ」を失っていたように思います。そのときに感じた苦しさをこれから先、他の誰も感じることがないように、まずはLFAの寺子屋が、来ている子どもたちにとって「自分らしく」いられる場所であるように、そして寺子屋を卒業した後でも自分の力で自らの人生を創っていけるように、彼らに向き合っていきたいと思います。

 もう1つは、LFAのプログラムに参加する学生に一生ものの経験を届けることです。LFAの寺子屋に参加することが、目の前の子どもたちの人生に向き合うことだとすれば、私は参加する学生の皆さんの人生に向き合うことも大切にしています。

 拠点運営責任者や面談担当者を務めていると、学生からプログラムに対する想いを聞くことが多くあります。そのときにいつも感じるのは一人ひとりが過去に様々な経験をしていて、将来達成したいことがあり、その点と点を結ぶ線の上にプログラムへの想いがあるということです。そもそも学生生活は有限で、その過ごし方の選択肢は無限にある中でLFAに参加してくれることを嬉しく思いますし、だからこそプログラム期間を通してその想いに寄り添い、時には後押しをしながら同じ方向を向いて活動したいと思っています。そして子どもと学生にとって、人生を創るピースの1つとなるような寺子屋とプログラムをつくっていきたいです。

研修で自分自身の将来像を発表する三友さん

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