【学生スタッフインタビュー】子どもとの関わりは「生徒と教師」の関係だけでなく、「人と人」の関係

インタビュー・コラム
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皆さんこんにちは、学生採用インターンの数山です。今回は2021年秋冬プログラムに、学習支援拠点でボランティアスタッフとしてLearning for All(以下、LFA)に参加した長和楓子さんにインタビューを行いました。

LFAで子どもと関わり、「子どもとの関わりは、『生徒と教師』の関係だけでなく、『人と人』の関係であると考えるようになった」と語る長さんの声をお聞きください。

LFAに参加した理由を教えてください。

大学で教職や学科の勉強に取り組む中で、相手に安心感を与えられるようなコミュニケーションを学びたいという思いがあり、参加しました。

私が教育に興味を持ったきっかけは、「困った子は困っている子」という言葉を聞いたことです。「困った子」とされている子の多くは、寂しさや承認欲求など何かしらの苦しみや欲求を抱えていて、強がっている裏では、自分の存在自体に苛まれていることも少なくないと思います。
しかし、どんなに認められず、存在を否定された経験があったとしても、ほんの少し肯定されて必要とされた経験があれば、それが生きる原動力になるのではないかとも思っています。
自分の価値や生きる希望を見出し「生まれてきて良かった」と思える子どもが少しでも増えてほしいという思いから、相手の存在を無条件に肯定し、安心感で包めるような存在になりたいと考えるようになりました。

さらに、子どもは家庭や学校といった狭い環境にしかいられず、困りごとを抱えたまま孤立しやすいと思います。そのため、子どもに可能性を持たせられるような大人の存在の必要性を強く感じます。
LFAでは、一人一人の子どもと丁寧に向き合い、子どもの将来のビジョンを描き続けながら、「生きる」を見据えた学習支援を行えることに魅力を感じて応募しました。

教員になることを志望されているんですね。LFAに参加して、教育についての考え方が変わったところはありますか?

子どもとの関わりは、「生徒と教師」の関係だけでなく、「人と人」の関係であると考えるようになりました。

参加前は、子ども達に何かを伝えることに一方的なイメージを持っていましたが、参加後は、子どもの訴えを踏まえ、それに応えられるように伝える方法を考えるようになりました。
一見やる気がないように見える子でも、実は「勉強を頑張りたい」「勉強ができるようになりたい」という肯定的な欲求を持っていて、私達がそれを読み取ろうと目を向けると、子どもは日頃からたくさんの肯定的な感情を私達に示してくれているのだと気付きます。

そして、当然のことながら、教師も子どもから日々多くのことを学びます。
「生徒と教師」という縛りに囚われてそれぞれの役割を当てはめるのではなく、子どもを一人の人として見ることで、互いに尊重しながら学び、信頼関係も築くことができるのだと感じました。
いつも子どもの発言をじっくり聞いて深掘りすることを意識していますが、時には対等に教師の考えを伝え、違う世界を提示することで、無意識に子どもが新たな価値観を得て、選択肢を増やしてくれると思います。

子どもとの関係性に対する考え方が変わったんですね。では、どのような子どもと関わったのでしょうか?

私は、当時小学校6年生の女の子を担当していました。

少し人見知りで、自分からお話してくれることは少ないのですが、私の発言や表情に合わせて笑顔を見せてくれたり、遊び道具は必ず私の分まで用意してくれたりと、いつも気配りを忘れないとても優しい子です。
空間図形の問題が得意で、プラスαで取り組んでいた図形のパズルの問題は、解けるまで毎回粘り強く考えていました。

担当していた子どもとの出来事で、印象に残っていることはありますか?

担当していた子と、「〇〇ちゃんの良い所」を一緒に考えた時のことが特に印象深いです。
子どもに、たくさん持っている長所を自覚し、普段の頑張りに自信を持てるようになってほしいという思いがありこの時間を設けました。
まず、子どもが思う自分の良い所を宿題で書いてきてもらい、その紙に、私が思うその子の良い所を目一杯書き加えて完成させ、お互いに感想を伝えました。
普段は、その場の行動を褒めることはあっても、良い所を改まって伝える機会はなかったので、その時も普段と同じくらいのリアクションしか想定していませんでした。
しかし、子どもに良い所を伝えると、急に笑顔になり、恥ずかしがりながらも素直に喜んでくれたことが印象的です。

その出来事を通して、誰かと「向き合う」ことの素晴らしさと、何かを「伝える」ことの奥深さを感じました。
子どもは、得体の知れない大人から言われたことを信じる気にはなれないと思うので、信頼関係があってこそ「伝える」ことができると思います。さらに、誰かと深く向き合い何かを伝えることによって他では感じられないような喜びや温かさを得られると知り、他者との心の触れ合いに可能性を感じることができました。
子どもを信じて積極的に関わったことで、お互いへの理解が深まり、距離が縮まった印象的な出来事になりました。

とても素敵なお話ですね。活動中に壁にぶつかることはあったのでしょうか?

どんな時もけじめをつけて黙々と勉強に取り組み、大きな学習の遅れもなかったのですが、机上の勉強が身の回りのことに繋がっているという認識や、将来の夢がなく、勉強に目的意識を持っていないことが課題だと感じました。

そのため、「学校でやった理科の実験が楽しかった」と話してくれたことをきっかけに、理科の実験を行いました。私自身、理科の教員を目指しているものの、初めてのことばかりで、ずっと模索しながらの授業でした。
まず、理科ではどんなことを学べるのかを紹介し、そこから子どもの疑問や関心を一緒に探し、その目的に沿った実験の候補を提案しました。第1回目は、「目に見えないような小さな世界のことを知りたい」「きれいな色を作り出してみたい」との発言を受け、インクの色素を分離する実験を行いました。
子どもが常に好奇心を感じながら主体的に進められるよう、準備の段階から、わかりやすい例えを用いた説明やオープンな問いかけを意識しました。

何か子どもに変化はありましたか?

自発的な発言が少ない子でしたが、実験当日は色の変化をこまめに教えてくれました。
さらに、他の教師が実験を見に来た時に得意そうに結果を見せ、「実験が成功して良かった」「楽しかった」と伝えてくれました。
子どもが、丁寧な準備が実を結んだ達成感を感じ、積極的に自己開示をしてくれたことがとても嬉しかったです。

そして、次の実験内容を考える時に、「シャボン玉がどうしてきれいな虹色になるのか知りたい」と、自ら具体的な疑問を見つけて伝えてくれたことが印象的です。
実験をきっかけに、勉強は身の回りのことに応用できることや、学ぶことで見える世界が変わることを感じ、日常に溢れる学びの楽しさに気付いてほしいと思っています。

最後に、参加を迷っている学生に一言お願いします!

LFAで自分が関わって何か影響を与えられる可能性があるのは数人程度で、その子ども達の経済的事情を改善することすらできないかもしれません。しかし、経済的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさにも目を向け、一人一人がかけがえのない存在であることを踏まえると、毎回の活動で1人の子どもと向き合い、存在を肯定し、心を込めて笑顔で接するといったことには、計り知れない価値があると私は思っています。

時間を捻出することは大変だと思いますが、迷っている方にはぜひ参加してみていただきたいです!
LFAでの活動は、自分と社会を見つめ直すきっかけや、「1人の子どもと本気で向き合い、他者のために思いを馳せた時間」として、大学生活に鮮やかな彩りを与えてくれると思います。
また、LFAでは、ビジョン実現や課題解決のために一緒に考えてくださるスタッフの方や、何でも相談できる温かい仲間と出会うことができます。
チームで子ども達の変容を見届け、互いに価値観を共有し尊重し合える空間は、大学生にとってもかけがえのない学び場になると思います。

 

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