【学生スタッフインタビュー】社会から取り残された子どもをなくすために

インタビュー・コラム
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こんにちは。学生採用インターンの弓削です。

Learning for All(以下LFA)学生スタッフインタビュー、今回は慶應大学2年の大橋暉弘(おおはし あきひろ)さんにお話を聞きました。大橋さんは、2018年10月よりボランティア教師としてLFAの学習支援プログラムに参加し、現在は学生インターンとして教室運営に携わっています。大橋さんは小学生の時から私立の学校に通っていましたが、大人になるにつれて社会には様々な人がいると知り自分が限られた環境の中しか知らなかったので、実際の社会課題に向き合ってみたいと思いLFAに参加したそうです。
子どもに目線を合わせて真摯に向き合う姿勢を大切にしていきたいと語る大橋さんの声をぜひご覧ください!

・LFAでボランティア教師として活動する中で一番印象に残っている出来事を教えて下さい

僕はボランティア教師として去年の秋から半年間、中学3年生で高校受験を控えた外国籍の子どもを担当していました。その中で、彼の成長を感じることができ、嬉しい出来事もたくさんありましたが、最も印象に残っているのは悔しかった出来事です。 

僕は受験を控えていた彼の志望校を一緒に決めるため、彼と彼の保護者の方と何度も面談を行い、志望校について話し合いを重ねました。しかし、出願の当日に志望校を変えたという知らせを聞きました。後から話を聞くと、中学校の先生からその学校は難しいと言われ、悩んだ末に当初志望していた学校より偏差値の低い学校に変更したとのことでした。そのとき、私は驚きを隠せなかったとともに、彼がどのような思いで志望校を変更したのか、想像することしかできませんでした。彼は受験に見事合格しましたが、受験後に自分の選択についてネガティブな発言をしていました。それを聞いた時に、異国の日本で、人生を左右するような試験を受けるときの彼の不安や怖さを理解し、その不安を吐き出せるような場を作ることができていなかったと思いました。本当の意味で僕は彼に向き合えていなかったことを痛感しました。

子どもに指導をする様子

彼は、外国籍であること、家庭が経済的に余裕がないことによって、様々な様々な困難を抱えていました。しかし、その中で僕がもっと彼に向き合うことができていたら、自分の選択に自信を持つことができていたのではないかと思うと、とても悔しく思いました

 そして、その不安を吐き出せるような場を作るためには、子どもが何をするか、何ができるのかで評価せず、そこにいるだけで受容されるような空間があることの重要性を強く感じました。

僕たちは子どもたちの困りごとに対して当事者になることはできません。だからこそ、子どもたちのことを考え、子どもの目線に合わせて真摯に向き合う姿勢を大切にしていきたいと思っています。

 

・インターンとして現場運営を行う中での気づきや学びについて教えて下さい

ボランティア教師をしていたときは、自分が担当していた子どもに正面から向き合うことが中心でしたが、現場管理責任者になってからは、拠点に来る子どもたち「全員」について深く考えるようになりました。そこで子どもたちが抱える課題の複雑さ・多様さをより強く感じる様になりました

例えば、私が普段接している子どもの中には、生活習慣が整っていなく、朝食も昼食も食べずにそれでも教室に来てくれる子どもがいます。また、学習遅滞が大きいため、家庭や学校で褒められる経験が少なく「俺バカなんで」という発言が口癖になっている子どもがいます。

子どもによって、抱えている課題は異なり、また、その課題の背景や要因も異なっているということを痛感しました。

 そのような気付きを得た一方で、現状の「社会課題」への眼差しについて、違和感を覚えるようになりました

 例えば、「社会をより良くしよう」と語る大人の「社会」に、このような子ども一人一人は含まれているのでしょうか。僕が担当していた外国籍の子どもは来日してから3年以上が経っているという理由で、他の子どもと同じ入学試験を受けなければなりませんでした。この制度が作られたときに想定された「社会」に、この子どもは含まれていたのでしょうか。

 また、「社会課題」と取り上げられるなかで、当事者の「課題」ばかりに目が行き、そこにいる一人一人の「素晴らしい個性」に目が向けられないこともあると思っています。拠点に来る子どもたちはみんな素敵な個性や考えを持っています。ある子は家庭でも気にかけてくれる人がいなく、歯を磨く習慣が無かったり、自分に自信がなく外を一人で歩くことを躊躇うような子どもでした。しかし、先日の授業の終わりに、彼が道にいた小さな虫を見つけ手に取って、人に踏まれないようにとその虫を草むらに逃がす場面に遭遇しました。彼は生き物や、自分より立場の弱いと思う人に対してとても優しい心を持っています。僕は、そのとき彼の姿を見てなんて優しい心を持っているんだろうと思い、彼を1人の人間として尊敬しました。しかし、その彼の素晴らしい部分に目を向けて接することのできる人がどれだけ彼の周囲にいるのでしょうか。

研修中の様子

 現場管理責任者を経験し、多様な子どもたちについて深く考える経験を通じて、現在の社会は「子ども1人1人の顔を思い浮かべられていない人が多い」と感じるようになりました。自分自身でない他者の課題に対して、想像力を働かせ、相手の顔を思い浮かべて理解しようとすることが少ない現状の社会を、少しでも変えていきたいと強く思っています。そのためにも、まずは自分自身が、子ども1人1人の課題や思いに合わせて成長を届けられるようになることが重要だと考えています。「目の前の子どもに対して成長を届けることができないのであれば、社会を変えていくことなんてできない」と、LFAでの活動を通じて、強く感じています。

 そして、LFAであれば、そういう現場づくりが実現できると思っています。これからも、子ども1人1人の目線に立った現場づくりをしていきたいです

 

・最後に、参加を迷っている学生に一言お願いします!

 LFAでは、子どもたち一人一人と真剣に向き合い、子どもたちにどんな支援が必要なのか考え抜きます。皆さんとの出会いが子どもにとって人生のターニングポイントとなり、かけがえのないものになると信じています。

 また、学生の皆さんにとっても、子ども一人一人と向き合う濃密な3か月間は、自分自身とも向き合い、これからどのような生き方をするのかを考える素晴らしい機会になります。僕も自分が今後何を目指して生きていくのかを考えるきっかけをLFAの活動によって得ることができました。ぜひ、目の前の子どもに対して何ができるのか、に本気で向き合いながら、子どもたちにとって望ましい社会にむけて、一緒にアクションを起こしていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 


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