【学生スタッフインタビュー】子ども達の未来の可能性を広げられる手伝いができる大人になりたい
皆さんこんにちは、学生採用インターンの坂佐井です。
今回は2020年秋冬で学習支援プログラムに参加していた現在大学4年生の岡田華歩さんにインタビューを行いました。
「私のこの記事が、少しでも誰かのプログラム参加の後押しになれば」と話す岡田さんの声をお聞きください。
LFAに参加したきっかけを教えてください。
きっかけは塾講師のアルバイトの経験です。
私は約3年間塾講師のアルバイトをしているのですが、昨年新型コロナウイルスが流行した際、本人は塾に通い続けたい意思があるにも関わらず「家庭の金銭的理由で」塾を辞めざるを得ない生徒たちを目にしました。
その時私は、「学習機会の不平等」にモヤモヤを感じたと同時に、その子たちに対して何も出来なかった自分に悔しさを感じました。また、同時期に自分の学生生活を振り返っていたのですが、自分のやりたいことや興味があることをやり切った経験が無いということに喪失感を覚えたため、大学3年生は自分がやりたいことを片っ端からやる年にしよう!!と自分の中で決めていました。
そこで、上で書いた塾講師のアルバイトでモヤモヤした感情を抱いた経験から、自分がやりたいことは「学習機会の不平等」に対してアクションを起こすことなのではないかと思い、LFAの活動に参加しました。
LFAに参加する前に指導経験はどれくらいありましたか?
塾講師のアルバイトを約3年間していたので、教科指導の経験はありました。しかし塾とは違って、私が活動する拠点では学校に行けていなかったり、学習遅滞があったりする子どもたちもいることを聞いていたので、そのような子どもたちに「分かった!」と言ってもらえる授業ができるかどうかは、とても不安でした。
LFAに参加する前と後で一番変わったのはどのようなところですか?
LFAを通じて学んだことは多くあります。タスク処理やスケジュール管理能力から、自身の価値観や考え方などなど…。
しかし自分の中で1番大きな変化だと思うのは、自分が感じた「疑問」に対してそのままで終わらせずに、調べたり意見交換したりを通じて「自分の考えを持つ」習慣が身に着いたことです。
LFAの活動では子どもたちだけでなく、拠点内の学生スタッフと対話をする時間もとても多いため、その分自分がこれまで触れたことのない考え方や価値観に触れる機会が多くありました。その時に感じた「疑問」をそのままにせず、積極的に対話をしたり自主的に動画を見たりして向き合い、考えるようになったと思います。たとえ答えが明確にならなかったとしても、そのことから目を背けずに考え続けることが大事だということも、LFAの活動に参加して学びました。実際に活動で使っているノートには、誰かの考えに対する自分の感情や意見をメモするようにして、後で考えられるようにしています。
活動参加前は、例えばニュースを見ていて「なんでだろう」と感じてもスルーしてしまうことが普通でしたが、その一歩先を踏み出して突き詰めることがだんだんとできるようになりました。
岡田さんの当時のノート
担当していた生徒について教えてください
私が担当していたのは、中学3年生のAちゃんです。
Aちゃんは高校受験のため、小論文と面接の対策授業を行う必要がありました。しかし彼女は元々、自分の感情や考えを言葉に出すことが苦手なため、面接対策の授業に対して嫌悪感を抱いており、「嫌だ」「できない」となかなか1コマ分(50分間)授業を受けてくれませんでした。他の勉強を始めたり、周りにいる他の先生に話しかけたり……。
そこでLFAの活動で多く出てくる「DTFW」(注:“DTFW”とは、子どもと自分の言動をそれぞれまず“Do”として置き、その言動に紐づく“Think(考え)”,“Feel(感情)”,“Want(本当の望み)”がどのようなものかを振り返るためのLFAで使用しているフレームワークです。)のフレームワークを使って、彼女の行動からなぜ面接対策の授業が上手く行かないのかをメンターと一緒に考えました。その結果、彼女の特性上1対1で面接練習をすることが最も負担になっているのではないか、という仮定にたどりつきました。
そこでカードゲームUNOを取り入れ、メンターの先生にも協力してもらって3人で授業を行うことにしました。すると彼女は50分間、その授業を受けてくれました。長い教師経験を持つメンター曰く、「初めて」彼女が嫌悪感を抱いていた面接対策の授業を受けてくれたとのことだったので、嫌なことに対しても向き合えるようになった彼女の成長を見られた瞬間でした。
LFA内で出会った子どもとの思い出エピソードを教えてください
中学校3年生の男の子、D君とのエピソードです。思い出というより自分の中ですごく心に残ったことがありました。D君は毎週寺子屋に来てくれていますが、学校に行けていなく彼の社会資源は家庭の他に寺子屋が中心です。
私が担当の生徒の授業をD君の隣の席で行っていた時、彼が「いじめについて」彼の担当教師に話している声がふと聞こえました。彼は学校で他の子どもに心無い言葉をかけられた経験があり、学校という場所に対して嫌悪感を抱いていました。
そんな経験をした彼が、担当教師に「学校の先生はいくら勉強を上手に教えられても、子どもを守れなければ意味がないんだよ。学校に来ること自体が楽しいと思えるような環境を先生はつくらなきゃなんだよ。」と言っていました。
私自身、将来教師志望なのですが、彼の子ども視点のリアルな声を聞いてすごく胸に響きました。これからの将来を歩む上で、忘れられない言葉になりました。寺子屋で教師を始めて学んだことは沢山ありますが、このエピソードは「子どもから学んだ」ことの代表例です。
HPに掲載された記事をご覧になって、印象に残った記事はありましたか?
実は、活動参加前から、学生スタッフの青山さんの記事(2020年8月15日掲載)に刺激を受けています。
その中で「LFAに入って、本当に社会を変えようともがいている人に出会ったとき、私が今まで諦めてきたことは「社会は変えられない」と嘆くことが楽だから選んできた逃げ道でしかなかったと気づかされました。」という青山さんの社会に対する考え方に刺激を受けました。活動参加前までの自分も「どうせ無理だから」などと言い訳をして、自分から行動しようともせずに物事を諦めることが多くあったからです。
そんな中でこの言葉を見て、自分の弱点をつかれたような衝撃を受けたのを覚えています。実際に活動に参加してみても、多くのスタッフが「教育格差」という大きくて複雑な問題に様々なアプローチで向き合っている姿がありました。子どもの未来の可能性を広げたい!という志を持っていた私が、自分自身の可能性を潰していたのです。この記事を読んだ後は、最初から「無理」と決めつけずに、たとえ大きな成果が出なかったとしてもまずはやってみよう、という考え方を持つようになりました。
最後に、参加を迷っている学生に一言お願いします!
「私たちには「教育格差」という問題を知った責任がある」。私がLFAの活動に参加して最も心に残っている言葉です。
活動に携わった約半年間で、この問題が複雑かつ難しい問題であること、そして私自身が「社会」に対して無知であることを痛感しました。しかし大学4年間という短い期間の中で、これらの気づきを得られたことは貴重な経験だと思っています。この活動に一歩踏み出した私を、自分で褒めたいくらいです!
活動日はひたすらに頭を使い、子どもたちと真っ直ぐ向き合い続けるのでどっと疲れることも多いです。しかし同時に、子どもたちが嬉しそうに学校のテストで良い点がとれたことを報告してくれた時や、自由時間に一緒に遊んでいて笑顔を見せてくれた時は、心から嬉しい気持ちになります。そんな子ども達の未来の可能性を広げられるようなお手伝いができる大人になりたいなと今は思っています。
「教育」「貧困」「社会問題」などの言葉に少しでも心が動く方、また何か頑張りたいけど一歩踏み出せない方、ぜひLFAの一員としての活動参加を考えてみてください。
私のこの記事が、少しでも後押しになっていれば嬉しいです。
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