【学生スタッフインタビュー】自分が困った時やどうしたらいいか分からなくなった時に新しい視点をくれた

インタビュー・コラム
辻井さん写真

皆さんこんにちは、学生採用インターンの数山です。今回は2022年春プログラムに、学習支援拠点でボランティアスタッフとしてLearning for All(以下、LFA)に参加した辻井穂実さんにインタビューを行いました。

LFAで活動する中で、「自分が困った時やどうしたらいいか分からなくなった時に新しい視点をくれた」と仲間の存在を語る辻井さんの声をお聞きください。

LFAに参加した理由を教えてください。

大学の授業で、NPO法人の活動に興味を持ち、どんな団体に関わろうか悩んでいたところ、貧困に興味のある友人がLFAを紹介してくれたことがきっかけです。

NPO法人の活動に興味を持ったのは、自分自身、お金よりも人のために何かをしたいと思っているからです。お金のためにというより人のために動くというところが、自分の気持ちとあっていると思いました。
そこから、LFAに参加したいと思ったのは、貧困への課題意識と活動をサポートする制度があることが影響しています。
もともと貧困に関心があったので、7人に1人の子どもが相対的貧困状態にあるという動画に衝撃を受けました。ボランティアに参加するのも、1人では不安だと感じていましたが、ボランティアに1人必ずメンターがついてくれるというのが安心だと思い、活動に参加することを決めました。

どのような子どもと関わったのでしょうか?

私は、中学1年生の女の子を担当していました。

その子はバスケットボール部に所属していたのですが、ストイックな性格で、好きなことには熱中して、つらいことも頑張るということを話していました。
家庭環境が様々ある中でも、こんなに頑張れたり、自分でやろうと決めたことに対して前向きに取り組めたりできるんだと知りました。その子には尊敬できることがたくさんあります。

その子は明るくてたくさん話してくれるけど、人見知りという一面もありました。最初から気さくに接しているように見えるけど、その子が気を遣ってくれていたんです。

素敵な子どもとの出会いがあったんですね。なぜ人見知りだと気づいたんですか?

それに気づけたのは、目を合わせる回数が少なかったり、話すときの体の向きが違ったり、もともと知っているスタッフと話しているときと自分と話しているときの姿が明らかに違うといった様子があったからです。
徐々に目線を合わせてくれたり、体を向けてくれたり、自分に向けて話してくれたりする中で「最初は気を遣ってくれたんだろうな」と後から気づくこともありました。さらに、活動の中で自分が子どもの様子に気をつけられたのは、同じ学生ボランティアが「あの時、彼女的には話しかけない方がいいタイミングだったと思うよ」と子どもとの指導後に声をかけてくれたことがあったからです。
自分が一番その子と関わっているのにそこに気づけなかったのが悔しくて、この子が今一番求めているのは何かを仕草から読み取ろうと思うようになりました。

仲間の力もあったんですね。活動中に壁にぶつかることはあったのでしょうか?

テスト期間以外は勉強に意識が向かない子どもでした。最初は勉強への苦手意識が強いことが課題だと捉えていましたが、勉強への苦手意識が強いことのさらに下にもっと根本的な課題があるのではないかと考えました。
そこで、メンターと一緒に課題の要因を深ぼり、そもそもの自己肯定感の低さを解決すべきなのではないかと思いました。

その子の学校の定期テストで、平均点に届いていなかったり、0点のテストがあったり、全部埋まっているけど正解につながっていないということがありました。
その結果に対して落ち込み、「私勉強できないから」という言葉も出ていました。
全部解答を書けているのはすごいということを伝えても、「正解していないと意味がない」という返事で、彼女の中では自分を肯定するよりも否定することが普通になっているんだろうなと感じていました。
だからこそ、自己肯定感を高めることが重要だと考えました。

それに対してどのようなアクションをしたんですか?

自己肯定感が上がるように、褒めることや子どもが決めたことを尊重して行うことを意識しました。
最後の授業では、自己肯定感を上げるという目的で、彼女が話してくれた思い出や「相手のいいところをみんなで10個言い合おう」というマスのある自作のすごろくを持っていきました。

すぐに効果があったわけではないとは思いますが、「他者から見たら自分ってこんなにいいところがあるんだ」「自分と関わっていた中で1人の大人が自分のことをこんなにくみ取ってくれているんだ」ということは、マス目ごとにその子も感じてくれていました。
これをきっかけに、何かいい変化があったらいいなと思います。

活動の中で印象に残っていることはありますか?

2つあります。1つ目は、集まってきた学生ボランティアがいい人ばかりで、仲間の存在が助けになっていたということです。
自分の指導についてフィードバックをくれたり、自分が他のメンバーの授業分析をしたり、子どもに対してどのような支援をするか悩んでいたときに一緒に考えてくれました。
チームで活動したからこそ、いろんな意見を出すことや助け合うということができました。

2つ目は、メンターの存在の大きさを感じたことです。
自分が困った時やどうしたらいいか分からなくなった時に新しい視点をくれたのがメンターでした。その子のことをたくさん知っている方だったので、自分が目標として掲げていたところよりも前の段階に課題があるのではないかということを指摘してくれることがありました。
それを話してくれることで、「確かに自分のたてた目標は、今はまだハードルの高いものだったかもしれない」「この子にとっていま必要なのはこれではないのではないか」という視点を持てるようになりました。

学校生活との両立で大変なことはありませんでしたか?

自分は両立が苦手で、最初はいっぱいいっぱいでした。
そんな私の気持ちをメンターが理解してくれて、「締め切りに間に合わないと思った時点で相談して、そこから一緒に打開策を考える」というルールを決めてくれました。
はじめは間に合わないと思ったら連絡して、準備の優先順位を決めて、この時間に一緒にやろうと決めてくれたので、うまく大学もLFAもやっていけました。

徐々に慣れてきたら、限られた時間の中で自分の最大限のパフォーマンスをするのがいいと思うようになりました。
確かに理想はありますが、そのために無理矢理時間を作って進めようとすると最終的な子どもとの授業時間がいいものになりません。
限られた時間の中で自分が今できる最高のパフォーマンスができるよう、計画を立てて準備をすることで、子どもに向き合うときも自分の中で余裕が出て、対応も自然にできました。
最初はメンターを頼りつつ、徐々に自分なりの準備の仕方を確立していけたらいいと思います。

最後に、参加を迷っている学生に一言お願いします!

新しい環境に飛び込むのは不安だと思いますが、どんな職業につくにせよ重要になることがこのLFAのプログラムでは経験できます。
LFAで1人の子どもに全力で向き合ったという経験からは、相手の所作に気づくことや相手の気持ちを考えることなど、今後の人間関係につながる重要なことを学べます。
チームで話すときには、いろんな人の意見を聞くことができるぶん、そこで多くのことを吸収できます。
就活も自分のことを深掘りする必要があるので、LFAで考えたことが将来に役立つことも多いです。
将来につながるという意味でも、自分を成長させて変化させるという意味でも、ぜひやってみてほしいです。
メンターがいることや仲間がいることは安心材料だと思います。
はじめてでも安心して参加できて、成長や気付きを得られるからこそ入ってみてほしいです。

 

 

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