【職員インタビュー】誰もが生き生きと輝く意思を持っている

インタビュー・コラム
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【職員インタビュー】〜誰もが生き生きと輝く意思を持っている〜

みなさん、こんにちは。Learning for All 職員の福田です。
今回はソーシャルワーカーの濱田祐子さんにお話を伺いました。

子ども支援に関わっている理由を教えてください。

もともと心理学に興味があり、心理学が勉強できる大学に進学しました。ボランティアのサークルなども充実していて、非行少年や不登校児童と遊んだり勉強したりするサークルに入ったんです。ボランティアをする中で非行少年たちと出会ったのが大きな経験でした。

私自身は、子どもの頃から赤信号をわたる大人に注意をするぐらい正義感が強く、
正直、非行に走る子に対して偏見を持っていたんです。「なんでそんなことするんだろう…」って。
でも、ボランティアを通じて、彼らには背景に様々な要因があることを知りました。家庭崩壊だったり、発達障害、それらによる二次的な対人関係の難しさを抱えている子もいました。
でもそんな困難を抱えた彼らも、以前の様子が信じられないくらいに大きな変化を遂げるんです。そうした変化を見るのがすごく嬉しくて、子ども支援に携わっています。

 

LFAに入職した経緯を教えてください。

私はもともと東北の出身で、宮城県で働いていました。夫は東京に住んでいて今まで別居していたのですが、同居を始めようと思うタイミングでソーシャルワークの仕事ができる職場を探していました。
以前は行政のフリースペースでひきこもりや不登校の子の支援をしていたので子ども自身を相手にする事がおおかったのですが、子どもを生きづらくしている要因が家庭や親子関係にあることが多く、家庭を含めた包括的な支援をしたいと思っていました。Learning for All ではそのような包括的な支援ができると思い、入職しました。

Learning for All ではどのような仕事をしていますか。

担当エリアの困難家庭のお子さんの世帯状況を把握したり、拠点に出向いて現場で行動・表情をみて、子どもたちの特性を把握したりしてしています。そして、これからは課題を吸い上げて、Learning for All の学習支援教室・居場所だけで良いのか、それとも別の行政機関や他のNPOに繋げるのが良いのかを検討・判断し、個別対応しています。

Learning for All にはソーシャルワーカーを専門職として担当する人がこれまでいなかったので、もう一人のソーシャルワーカーと一緒に土台づくりの仕事をしています。
例えば、組織の内外を繋げる仕事などです。生徒・児童やご家庭の情報管理の仕方、外部連携において情報抽出がしやすいやり方、保護者支援の枠組み、保護者同士で集まる場づくり、などを二人で考えています。

また、ソーシャルワーカーの立ち位置、役割、定義を内部の人に向けてもお話しできるようにしたいと思っています。福祉的な知識を内部スタッフ向けに伝えられるような研修も作っています。
例えば、福祉の現場では必ず利用者様との距離の取り方を練習させられますが、Learning for All の現場スタッフにもそれは必要だと思っています。子どもたちのサポートには、スタッフと生徒が適切な距離感を保ち、スタッフが自分の健康を保つことが必要不可欠です。特に学生スタッフさんに向けてそういう研修ができたら良いなぁと考えています。

ソーシャルワーカーの一番のミッションは何でしょうか。

Learning for All においては、2つあると思っています。1つは現場でわかっている困難家庭への介入の仕方を検討すること、もう一つはそのための土台づくりです。

困難家庭への介入というのはとても難しく、例えば子ども食堂では子どもに対して食事を提供することしかできません。一緒に食事をする中で、例えば「家で暴力を受けている」といわれても食堂のスタッフが対応するわけにもいきませんし、そもそもそういった発言があった時にどう介入するのがベストなのかわからないケースもあります。このような「話は聞けるけどどうすればいいかわからない」ときに介入し、適切な支援につなげていくのがソーシャルワーカーの仕事だと思っています。

また、そのための土台づくりとして、そもそも関係する機関やNPOとのつながりができている必要があります。Learning for All にはソーシャルワーカーがきて間もないので、そうした地域とのつながりをこれから作って行く必要があるなぁと感じています。
挨拶やイベントへの出席を通じて、Learning for All がどのような取り組みをしているのか知ってもらい、仲間を増やすことが一番大事だと考えています。

支援の際に大切にしていることは何ですか。

支援の計画を立てる時に、相手に対して指示的にならないように気をつけています。どんな発言や行動も、紐解いていくとその人なりの「こうしたい」という意思が隠れていると思うんです。

お子さんの家庭内暴力で困っているご家庭でも、最初こそ保護者様が「どう接したらいいかわからない」と話して涙していましたが、落ち着いてくると共に「子どもとこんなことがしたい」、「こんな風になりたい」とご自身の希望を言えるようになってきたんです。

本当はしたいことやなりたい姿があったはずなのに、何かうまくいかなくなってその希望を思い出すのが難しくなったり自分にブレーキをかけさせたりしているんじゃないかなと思います。それを少しずつ解きほぐして、少しラクな状態になれると、その人が持っていた本来の考えや希望が見えてくると思うんです。
自分にできるのはそうした意思を引き出すお手伝いでしかないと思っています。

仮に「本当はこうした方がいいはずなのに」とこちらが思うことがあっても、それを強いてうまくいったことはないです。「違うことがしたい」と言われたり、関係性が希薄になってしまったりもしました。
逆に、「今はそれはどうかなぁ」と思うことを相手が希望した時でも、一緒に付き合うようにしてみることが多いです。そうすると、「あ、これは難しいなぁ」と自分で気づいて納得して別の道筋を検討してくれたりもするんです。だからこそ、相手の意思を信じて、待つことが大事だなと思っています。

そういうサポートの結果、その人の生き生きした姿を見られた瞬間が一番うれしいです。「話せてよかった」という風に相手から直接感謝を伝えられるのももちろん嬉しいです。でもそれ以上に、そういう感謝の言葉を人にかけられるくらいその人に余裕が生まれていることが嬉しいんです。

今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか。

Learning for All でソーシャルワーカーとしてのミッションを果たすことが全てかなと考えています。
学校でも家でもない居場所があることは、子どもにとってそれだけ自分を吐き出すチャンスがあるということです。
Learning for All の現場でなら普段出せない気持ちや表情を出せる、という子。
ここでなら自分が困っていることを言ってもいいかも、という子。
そういう子たちの小さなSOSを拾って、周りの関係者や機関と協力しながらすこしでも解決してあげられる存在になりたいと考えています。

他でも民間で子ども支援をしている団体はたくさんありますが、LFAほど職員全員が気持ちを強く持って活動しているところは少ないと思っています。だからこそ、どんなに小さかろうと子どものサインを絶対に見逃さずにサポートできるし、したいと思っています一人でも多く、子どもが幸せを掴めるようにつまずきを取り払うことができればいいなと思っています。

最後に、読んでいる方に一言お願いします。

LFAが良いのは「常に子ども中心」に考えられることです。その思いがあるからこそ子どものより良い状況を作るために広い視点で考えることができると思っています。また、ソーシャルワーカーだからこそ、子どもを第一に考えて前例や枠にとらわれ過ぎず柔軟で子どもに寄り添った対応方法を考えられるのも魅力だと考えています。

NPOだから難しい部分ももちろんあるけど、これまでなかった関係者や企業との連携ができるようになって子どもへ伸ばす手の数も種類も新たに増えるかもかもしれない。たくさんの可能性を秘めていると思います。

私自身はお子さんと関わる直接支援も間接支援もしてきました。経験が豊かとは言えませんが、良い意味でも悪い意味でも「家庭が持つ力」を間近に感じてきました。子どもの幸せを考える時には、家庭のあり方を切り離して考えることは決してできません。私はだからこそ困っているご家庭をサポートしたいと思っています。

困っているときに手を伸ばしてくれるような気軽な現場、「Learning for All に関われてよかった。」と思えるような現場をみんなと一緒に作っていけることを願っています。

 

濱田さん、ありがとうございました!