【学生スタッフインタビュー】社会人になってから考える、LFAの経験が生きたこと
皆さんこんばんは。学生採用インターンのみゆです。
今回は現在社会人としてお仕事をされている屋宜彩音さんにインタビューをご協力いただきました。屋宜さんは2018年夏プログラムに参加して以降教室運営スタッフとして2018年冬まで学生時代に関わってきました。社会人になってからも、継続的にLFAに関わり続けてきてきました。
現在社会人の屋宜さんがこのLFAの活動を通して考えたこと、その声をお聞きください。
ー今はどんなお仕事をされていますか?
民間企業に勤めています。高校生向けの進路情報誌の制作設計とその他高校・専門学校・大学向けのサービスの設計・運用を行なっています。
LFAでの経験で、仕事をする上で特に活きていることは2点あります。
1つ目は、アウトプットに意図を込めることです。
LFAでは「1分1秒に意図を持つ」という言葉がよく使われますが、子どもに接するときの自分自身の行動はもちろん、子どもへの教材、スタッフとして作成する資料、打ち合わせの議事録など全てのアウトプットに明確な意図を込めるということを学びました。仕事においても、文面や資料のひとつひとつにきちんと意図を持てるように意識しています。
2つ目は、判断の根拠を求めることです。
LFAでの活動では様々な課題に当たり、課題解決をしてきました。その過程、特に打ち手を決定する時には、論点を明確にすること、論点に対するスタンスを持つこと、観点・根拠を明確に持った上で判断することが必要でした。LFAで活動する中での私にとっての観点は「目の前の子どもにとってどう良いか」だったわけですが、仕事をしていく中では、関わるステークホルダの多さや事象の複雑さから、明確な観点を自分自身で持ち合わせていないことも多々あります。
論点が明確ではなかったり、スタンスを持てないこともあります。しかし、その中でも周りから吸収して自分の観点を増やしていくことが大切だと思いますし、それが仕事のスキルを上げることだと思っています。このように、周りの人たちはどんな観点で判断しているのか? という思考で仕事をすることができているのもLFAでの経験があるからだと思います。
拠点メンバーとのお写真(写真左から2番目)
ーLFAに参加した理由を教えてください
理由は大きく2つあります。
1つ目は、地域や環境のせいで選択肢と可能性が狭められてしまう人がいるという事実に納得できない気持ちを抱えていて、全ての子どもたちに主体的に人生を歩んでいく力を身につけてほしいと思っていたからです。
私の出身の小学校には自分で勉強する習慣がなかったり、自分はやってもできないという気持ちを持っていたりする子もいました。「大学に進学する」という選択肢を持っていない子も多くいました。彼らは周りにロールモデルとなる人がいなかったり、勉強ができない自分に対する自信がなかったり、様々に要因があってそういう状況に陥っていました。彼ら自身が悪いのではなく、生まれ育った環境によってそうなってしまっていました。
必ずしも大学に進学した方がいいとか、勉強ができた方がいいというわけではなく、地域や家庭の環境によって、選択肢と可能性が本人の無自覚のうちに狭まってしまっているということです。
経済的な理由で「学びたい」「なりたい」という気持ちが阻害される、というだけではなくて、その気持ちを持てるという可能性すら知らないという現状がありました。その子にとって、生まれ育った地域で現状に満足しながら一生を終えることは幸せなことかもしれません。でも、それによって閉ざされてしまっている可能性もあるかもしれないのです。そこで可能性が閉ざされてしまうということは私にとってはとても心が痛いことでした。
ー子どもの貧困の問題である、「機会の喪失」に関連するお話なのではないかと思います。
もう1つの理由についても教えてください。
2つ目の理由は、子どもの持つ可能性は本当に大きいということを感じていたからです。
小学校2年生の時、同級生に九九を教えたことがあります。発達障害を抱えていて学んだことをすぐに覚えることができない状態でしたが、毎日少しずつ一緒にやって、約1ヶ月経つと六の段くらいまで言えるようになりました。どんな子でも「できないことができるようになる」可能性を持っているということを肌で感じることのできた経験でした。また、その子は日記に「できるようになって嬉しい」という気持ちと、一緒に勉強してくれた私に対する感謝を書いてくれていました。
文章を書くことが苦手だったり、自分の素直な感情を表現することができなかったり、クラスメイトを認識することさえあまり得意ではなかった子がそのように表現できたということはその子にとっては大きな変容だったし、私はそのことがとても嬉しかったです。「九九ができるようになる」という私が届けたかったこと以上の変容があったんだと感じました。
目の前の子の可能性を信じ続けることで本当にその子は変わるということを身を以て学ぶことができた瞬間でしたし、それが本当に嬉しいことだということも学びました。だから今でも子どもの持つ可能性や、子どもに向き合う「教育」の持つ可能性を信じ続けることができています。
LFAは、環境のせいで学習遅滞を抱えてしまったり選択肢が狭まっている子どもたちに向き合い、彼らの現状と未来を変えていける場所であると思ったので携わっていました。
屋宜さんが自身で作成したテスト勉強に向けたプリント
ーLFAに参加する前と後で一番変わったのはどのようなところですか?
1つ目は、常に本質を考えられるようになったことです。
LFAで活動する中で私が最も大事にしてきたのは、「目の前の子ども目線」でした。向き合う大人が取る行動の一つ一つ、授業構成、伝え方などの全てにおいて、子どもの現状と将来にとってその時できる最善になるように行動しようと思っていました。
また、課題にぶつかった時、打ち手に詰まった時、複数の論点が出てきた時、「目の前の子どもにとって、その子の将来にとってどう良いのか」を思考と判断の根拠にしていました。
この、「目の前の子どもにとって」を考えることがLFAの活動の本質であったと思っていますし、それによって常に本質を思考する習慣が身につきました。普段の生活や仕事の場面でも、今向き合っている事象の目的は何で誰にとって良いことなのかという本質を考えることに活きていると思います。
2つ目は、LFAに携わっていない時も、出会ってきた子どもたち一人一人との経験をいつも心に留めておくことができているということです。
社会で起きている様々な事象に対して、以前より、「あの子たちにどういう影響があるんだろうか」と考えられるようになりました。もちろん、今起きている政治的、社会的な出来事、社会課題について全て思考できているわけではないのですが、今何が起きていて、それは出会った子どもたちの現状や、彼らが歩む未来にどのような影響があるのかを考えた上で意見を持つことが増えました。
また、意見を持つだけではなく、発信することも以前よりできるようになりました。
個人的には昔から社会的な事象に対して意見を発信することが苦手なのですが、現場で子どもたちに出会った私自身こそ、「あの子たちにどういう影響があるんだろうか」という観点で思考し、発信していかなければならないと思うからです。まだまだ十分ではないので、思考し、意見を持ち発信し、さらに自らの行動を変えていきたいです
ー参加を迷っている学生に一言お願いします!
自分は子どもたちに向き合えるのか、変容を届けられるのだろうかという気持ちは私自身常に持っていました。
しかし、自分がボランティア教師として子どもたちに向き合ったり、スタッフとして関わったり、向き合っている他の教師のことを知る中で、確信を持って言えることが2つあります。
1つ目は、目の前で向き合っている教師だからこそ、見える子どものよさがあり、届けられる変容があるということです。
スタッフとして話す中でも子どもたちのよさはたくさん見えますが、子どもと向き合うその席に座り、その席で向き合わないと見えない子どもの良さがあります。そして、そこで向き合う教師自身だからこそ描ける目の前の子どものビジョンがあり、取れるアクションがあり、届けられる変容があります。
2つ目は、どんな子も「できるようになりたい」という気持ちを持っていて、目の前で本気で向き合う人が一人いるだけで、彼らの現状と未来が必ず変わるということです。
勉強をしない子でも嫌いと言っている子でも、できるようになるための挑戦をしたいと思っています。挑戦を信じてくれたり、後押ししてくれる人が目の前にいるだけで、子どもたちは必ず変わります。少しずつ小さな挑戦ができた子どもたちは、自分でもできる!やればわかる!という自己肯定感を持ってさらなる挑戦ができるし、そのあとの人生も自分の力で切り拓いていくことができると思います。
だから、ぜひ、子どもたちの目の前で、自分がこの子たちに何を届けたいのか、何が届けられるのか、何を届けないといけないのかを思考し行動し続けることに、学生時代の少しの時間を使ってみてほしいです。
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