【学生スタッフインタビュー】「自分にしかできない方法で格差に苦しむ子どもを支援したい」
皆さんこんばんは。学生採用インターンのみゆです。
今回は学習支援で2020年秋から現在までLFAに携わっている大里梨菜さんにインタビューを行いました。
自身が「教育環境にあまり恵まれなかったと思う」と話す大里さんが、実際にLFAに参加してみてどのようなことを感じ、経験したのか。その声をお聞きください。
ーLFAに参加したきっかけについて教えてください。
参加したきっかけは大学の先輩の紹介です。他のボランティアでもご一緒していて尊敬していた先輩に紹介をされたので、まず興味を持ちました。
そして紹介していただいたあとにLFAのHPを読んだとき、”教育格差”という言葉がどうしても他人事に思えませんでした。というのも、私自身が相対的貧困家庭で育っていたという自覚があったため、”教育格差”は自分に関わりのある問題だとずっと思っていたんです。
ー実際にLFAに関わってみて、なにか驚いたことはありますか?
これは少し偏見が入っていたと思っているのですが、「ある程度恵まれていた環境にいた方は、あまり貧困家庭で育った方に対して寄り添えないだろう」とLFAに入る前は思っていました。
また、貧困や格差という問題に興味を持っていなかったり、問題自体に関して知らなかったりする方が大多数なんだろうと思っていました。LFAのHPで、子どもの問題が動画で紹介されていることについて嬉しいと感じたのも、そういう気持ちがあったからでした。
しかし活動に参加してみると、ボランティア教師の方の多くが貧困家庭で育ったわけではない方たちだと知りました。
思っていた以上に当事者以外で関心を持っている方がいることに対して驚きましたし、そういったボランティア教師たちもそれぞれが様々な熱意をもって子どもに接している姿を見ることができて、活動に参加してよかったなと思います。
ー子どもたちと関わってみて驚いたことはありますか?
想像していたよりも、子どもたちは活発で元気だなというのが率直に感じたことです。
家庭や学校などで様々な背景を抱えている子どもたちというのは、私の勝手なイメージで、あまり活発でない子が多いのかなと思っていたんです。でも、実際に指導した子どもたちも含め、すごくエネルギーに溢れている子が多いなという印象を持ちました。
ーなるほど。大里さんは現在オンラインで指導されているとうかががっていますが、オンラインの指導ならではの難しいことはありますか?
対面で会っていたら身振り手振りで伝えられるのに、オンライン指導だと説明をすべて言葉で伝えなければならないというのに苦労しました。
伝える言葉がどうしても大人目線のものになってしまうせいで、うまく伝わらなかったり、子どもの集中力を切らしてしまったりということが課題でした。
ーその課題に対してはどのような打ち手を取りましたか?
そのような課題を授業で発見したあとは、メンターとの相談を重ね、もっと子ども目線で考えるようにすることや説明の言葉を短くすること、そして教材作りなどを工夫するようにしました。
また指導準備期間はメンターと他のボランティア教師を交え、指導のロールプレイを行うのですが、色々な意見を交換することで、さらに良い打ち手が取れるようになったのではないかと思っています。
大里さんが授業で作ったオリジナル教材(実際の教材は子どもの好きなキャラクターを使用したとお話ししてくれました)
ーほかに、オンライン指導で苦労したことはありますか?
指導中、子どもが画面をオフにしてしまうことがあり、そのときはどうしたらよいのか戸惑いました。オンライン指導中に周りに助けを求めることは、より難しいですし、何よりも子どものコミュニケーションがうまく取れなくなってしまうのが大変だったと思います。
ー確かに、子どもの顔が見えないと指導は難しいのではないかと思います。そういった課題に対してどのように対処しましたか?
指導する中で画面をオフにしてしまった子どもは2人いたのですが、1人目の子ども(Kさん)は、お話上手な子で普段は顔を見せてくれていたんです。しかし、ある掛け算の問題を間違えてしまったことにショックを受けてしまい、数分の間画面をオフにしてしまいました。
その授業の後、Kさんがとった行動に対して、細かく振り返りを行うことで、何が原因だったのかを考えました。
恐らく要因は色々あったと思うのですが、1つの要因としては教材に入る前に「掛け算って覚えている?」という私の問いに対して「何年生だと思ってるの?」という子どもとのやりとりがあったからではないかと思っています。つまり、子どもにとって、初歩的なミスをしてしまったということが傷ついてしまった理由だったのではないかと考えました。
また、問題を間違ってしまったとき、どのように解き直しをしたら分かりやすいかということまでは考えていたのですが、どのような声かけをするかについてまでは考え切れていませんでした。適切な声かけをできなかったことや準備不足だったことを後悔して、次回の授業に活かすようにしました。
もう1人の子ども(Yさん)は、初めから顔を出さずに指導に参加していました。また、それ自体は悪いことではないのですが、レスポンスが少しゆっくりめだったり自分から話すことがなかったりという特徴を持っていました。
しかし、授業回数を重ねるごとに、自分の顔を見せてくれるようになり、画面の向こう側の笑顔が増え、そして自ら話してくれるようになっていったんです。
そのような変化が見られるようになったのは、彼女にとっての安心空間づくりを意識し、”待つコミュニケーション”を取ったからではないかと私は思っています。この経験から、安心空間づくりにおいて、子どものペースに合わせることの重要さを実感しました。
また、だんだんとYさんの話したいというWANTが見えたので、関わり方も工夫していきました。
ーどのように工夫していったのですか?
LFAでは、子どものDo,Think,Feel,Want(DTFW)を大切にしています。この場合も、YさんのDTFをそれぞれ細かく見ていくことで、どのような話したいWANTを持っているのかをより深く考えることをしました。
また、私は1人で2人の生徒を指導していたので「Yさんはどう思う?」という声かけを増やし、発言量についても気を配りました。
ーLFAの活動を通して、何か変化した気持ちはありますか?
LFAで関わった子どもたちは、本当に明るく接してくれる子どもが多く、純粋に「この子どもの笑顔を守りたい」という気持ちを持つようになりました。
それと同時に、「格差を許せない」という気持ちも大きくなりましたね。
研修での”子どもの20年後を考える”というフレーズがあったのですがその時には「子どもの未来も守りたい」という気持ちも生まれました。
新たにしてくれたというか、LFAの活動に参加することで、元々持っていた「教育格差を解決していきたい」という想いを強くしてくれたと感じています。
ー最後に一言、お願いします!
日本は豊かな国だからこそ、相対的貧困という問題は見過ごされやすいものだと思っています。その中で、私のように相対的貧困を経験したということは、確かに悲観することもできますが、「私は他の人とは違った観点から子どもの支援ができる大人なんだ」と前向きにとらえる方が有益だなと思うにしました。
だからこそ、その当事者である経験を生かして、子どもたちに寄り添い、自分にしかできない方法で格差に苦しむ子どもを支援していきたいです。
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