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【子どもの貧困と不登校】〜不登校で表面化する子どもの課題〜

2018.9.14

みなさんこんにちは。

夏休みが明け、少しずつ秋の気配を感じられる今日この頃。
  
子どもたちにとっては、久しぶりに友達に会える休み明けでもあり「ちょっと学校行きたくないな…」と感じやすい時期でもあります。

「不登校に関する実態調査~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~」によると、学校を休みはじめた時期については、7月~9月が最も多く、長期休み明けの影響があるのでは、と指摘されています。

そんな9月に、子どもの貧困と不登校の関係について考えてみたいと思います。

不登校の要因とは

文部科学省の調査(平成28年度)によると、小学生で30,448人(0.47%)、中学生の103,235人(3.01%)の子どもが不登校であるとされています。

中学生に関してはクラスに1人くらいの割合であり、当事者でなくても身近な問題なのではないでしょうか。

小・中学生が不登校になったきっかけは、「不登校に関する実態調査平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」によると、以下のようになっています。 

(文部科学省「不登校に関する実態調査 平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」よりLearning for All 作成)

不登校になったきっかけとしては、友人との関係が53.7%と一番大きい割合となっており、その次に生活リズムの乱れ(34.7%)、勉強が分からない(31.6%)となっています。

不登校になる原因は主にいじめなどによる学校に馴染めない・人間関係がうまくいかないためだと思われがちですが、それだけではないのです。

特に勉強が分からないために学校に行かなくなるという事実には注目すべきです。

学校(特に義務教育)は全ての子どもに学力を保障する場所ですが、一方で「勉強がわからない」ために通えなくなる子どもたちがいるのです。

また、一度不登校になると学力の保障は大きく減ってしまいます。塾などに通えない世帯であるとその影響はさらに大きく、学校で学力が保障されないケースでは、学校の外側でも世帯の経済状況に関わらない個別のサポートが必要です。

貧困と不登校の関係

不登校の要因の背景には様々なものがありますが、Learning for Allが関わってきた子どもたちの中には、家庭の「貧困」の影響で生活リズムが乱れたり学習遅滞が進んでしまった子どもたちがいました。

平成18年度板橋福祉事務所による調査によると、板橋区で生活保護や就学援助を受けている世帯の子どもとそうでない子どもには、不登校生徒の率に大きな差があることがわかりました。特に中学生に関しては、生活保護受給世帯に暮らす生徒とその他の生徒で不登校の率に約4.8倍もの差があります。

(板橋福祉事務所「不登校児童・生徒と貧困 生活保護世帯の不登校児童・生徒への支援」よりLearning for All 作成)

不登校という目に見える現象だけを捉えるのではなく、その背景を丁寧に見ていく必要があるのではないでしょうか。

Learning for Allが関わってきた子どもたち

Learning for Allが関わってきた子どものなかには、不登校を経験している子も少なくありません。

生活習慣の確立を含め包括的なサポートをしている「子どもの家」に通っているAくんは、小学校1年生の頃から不登校で、現在も運動会などのイベント以外は登校できていません。Aくんの世帯は生活保護受給世帯であり、一時ライフラインが全てストップしたことが不登校のきっかけとなってしまいました。
貧困のために子どもに適切な生活環境や養育環境を整備することができなくなり、それが子どもの不登校に繋がっていたのです。


また、同じく「子どもの家」に通っている就学援助受給世帯のBちゃんは、生活習慣の乱れから朝起きることができず不登校の状態になっています。
父親とは別居状態であり、母親はパートのみで稼ぎを得ており、精神的に不安定でもあることから子どもに適切な生活習慣を身につけてもらう環境を整えることができません。結果、時間通りに学校に行くことが難しくなっていました

また学習支援に通っている子どもたちの中にも不登校の子がいます。

小学校6年生から学習支援に通っているCさんは、中学2年生頃から不登校になっていました。生活保護を受給している母子家庭で、母親に精神疾患がありCさん自身も不安定になりやすいことが原因になっていました。家でも落ち着いて勉強することができず、中学校1年生春の時点でアルファベットを覚えるのに2ヶ月かかってしまいました。


中学校3年生から学習支援に通い始めたDさんも、
生活保護受給世帯かつ母子世帯に暮らしており、そのことが原因でいじめられるようになり不登校になりました。理解力がある子でしたが、経済状況から塾に通うことができず、電車代の関係からレベルを下げた近くの高校にしか進学することができませんでした。

このような子どもたちの不登校の背景には貧困を含む多くの課題が重なり合っていると言えます。子どもたちが抱えるしんどさを不登校という形で表しているとも言えるのではないでしょうか。

この記事が、子どもの貧困が不登校という形で現れているケースがあること、不登校には「学校に行きたくない」というだけではない背景があることについて考えるきっかけになれば幸いです。

【参考資料】
板橋福祉事務所「不登校児童・生徒と貧困 生活保護世帯の不登校児童・生徒への支援」2006年
文部科学省「不登校に関する実態調査 平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」
文部科学省「平成28年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」


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