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【子どもの貧困と夏休み】夏休みだからこそ見えるもの

2018.8.22

みなさんこんにちは。Learning for All 職員の藤原です。
夏休み、いかがお過ごしでしょうか?旅行に行ったり海に行ったりと満喫された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のブログでは、一見結びつかないように見える、夏休みと子どもの貧困をテーマにお送りします。 


夏休みだからこそ見える「体験格差」

夏休みというと、皆さんどんな思い出をお持ちですか?
祖父母の家に帰省したり、旅行に行ったり、プールや海に行ったり、虫取りをしたりなど、普段の学校生活とは違う外出をしたという方もいるのではないでしょうか。

その一方で、Learning for Allが関わってきた子どもたちの中には、経済的状況のために外出をしたり体験活動ができない子どもたちがいました。

スタッフからは学習支援に通っている子どもについて、

「夏休みはずっと家でずっとゲーム、という不登校気味の子が学習支援に通っていて、その子は家族とどこかに行くこともないそう。外に出るのが学習支援のときくらいだと言ってた。」
「子ども食堂に連れて行った際には、参加生徒のお母様から『なかなか遊びにも連れて行ってあげられないからいい機会になります、ありがとうございます。』という言葉を受けた。」

という声が聞かれました。

データでも、家庭の経済事情により、学校外の体験活動などに差が出ていることがわかります。文部科学省の「平成28年度子供の学習費調査」によると、学校や塾以外の学習費である「その他の学校外活動費」が、世帯の年間収入に比例していることがわかります。
 
(文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」よりLearning for All作成)

特に夏休みには、世帯の収入に応じた体験の格差がわかりやすく表れてしまうのです。

さらに、国立青少年教育振興機構の「青少年の体験活動等に関する実態調査(平成 26 年度調査)」[結果の概要]では、自然体験の経験の差が自己肯定感や道徳心にも現れているとされています。


(国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する実態調査(平成 26 年度調査)」[結果の概要]よりLearning for All作成)

自己肯定感と道徳観・正義感の両方について、自然体験が多い子供の方が「高い」「ある」という結果になっています。つまり、子どもの自然体験の格差は自己肯定感や道徳観の差にもつながるのです。

生活習慣と夏休み

また、夏休みに見えてくるのは「体験格差」だけではありません。
夏休みの子どもの様子について、Learning for Allのスタッフからこんな声も聞かれました。

食事が偏っている様子で、給食がない事がとても大きいと思う。」
「給食がなくなり、家での食事中心になったことで栄養が偏り逆に太る子もいた。
(マック3食など)」


学校がある間は平日毎日給食を食べることができ、栄養バランスの良い食事を定期的に取ることができます。一方夏休みになると、家庭で三食を用意しなければいけません。
2009年に出版された『子どもの貧困白書』(明石書店)では給食のない夏休み、体重の減る子がいるということが言及されました。学校が休みになることで、家庭の経済状況に応じて子どもの食生活にも影響が出てしまうのです。

また、生活習慣にも影響があります。Learning for Allスタッフからは、

「生活習慣が乱れる子はいますね。夜遅めに寝がちな子が夏休みには昼の学習支援に間に合わなくなることもあった。」
「学校がなくなったことで昼夜逆転した子がいた。」

という声が聞かれました。毎朝同じ時間に学校に通う、という習慣がなくなる夏休みは、子どもの生活習慣にも影響を与えるのです。また、毎日学校に通っていると先生方が子どもの変化をキャッチすることができますが、夏休みの間はその目が行き届かなくなり、家庭に任せきりになります。そうなると、子どもの生活・育ちは家庭に任せきりになり家庭の格差が如実に表れてしまうのです。

「子どもの貧困」と一言で言うのは簡単ですが、その中には体験格差や生活習慣の問題、学校と家庭での子どもの育ちなど様々な問題が関わっています。

夏休みに際し、ぜひ見えない格差に目を向けてみてはいかがでしょうか。


【参照文献】
文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」
国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する実態調査(平成 26 年度調査)」[結果の概要]

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