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【日本の不登校 vol.2】〜多様な教育のあり方を考える〜

2019.6.3

【日本の不登校 vol.2】〜多様な教育のあり方を考える〜

みなさん、こんにちは。Learning for All 職員の福田です。
先週のブログでは、少年革命家ゆたぼんの投稿を題材に、不登校がどう考えられてきたかを確認しました。

今回は、数字のデータによって日本の不登校を取り巻く環境について考えていきたいと思います。
不登校については、昨年もブログで紹介しました。今回は、それに重複するデータも少し出しつつ、不登校生徒に対する代替的な教育のあり方に焦点を当てて紹介していきます。

不登校になるきっかけと貧困

まず、文部科学省の調査では、平成29年度には小学生で3万5000人、中学生で10万9000人の子どもが不登校であるとされています。
不登校になったきっかけは下のグラフの通りです。


(出所) 文部科学省「不登校に関する実態調査 平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」より作成

ここで注目すべきは「勉強がわからない」ことをきっかけとして不登校になっている状況も数多く見られるということです。私たちは不登校と聞くと人間関係によるものと考えがちですが、学習遅滞のために行けない子が少なからずいます。学力を保証する場である学校に学力がないために行けなくなるというのは本末転倒ではないでしょうか。
ある地域では、生活保護や就学援助を受けている世帯の子どもとそうでない子どもでは、不登校生徒の割合に大きな差があることがみて取れます。


(出所) 板橋福祉事務所「不登校児童・生徒と貧困 生活保護世帯の不登校児童・生徒への支援」より作成

貧困世帯ほど不登校率が高いことは注視すべきことです。

不登校支援の政策的な流れ

ここで、不登校支援の政策がどのように進展してきたかをみてみましょう。
先週のブログでも触れたように、80年代以降不登校児童・生徒は増加傾向にあります。


(出所) 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査」より作成

その中で不登校を病理とみなす考えは改められ、1992年に文部科学省は「登校拒否はどの子どもにも起こりうる」と、文部省(当時)が見解を示しました。しかし、あくまで「不登校の解決=学校に戻ること」という視座は変わりません。

あくまで「復学を目指す期間での暫定処置」と言う位置付けですが、この間も不登校支援の政策は進んでいきます。

例えば平成7年度にはスクールカウンセラー制度が始まり、平成17年には「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について」という告示が文部科学省より出されます。これにより、学校に通わなくてもインターネットなどを利用して学習した生徒への出欠登録が可能になりました。

そして平成28年を迎えると、不登校支援の考え方に大きな変化が生じます。
「不登校児童生徒への支援のあり方について」では「不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく」と言う文言が明記されました。
また、同年に交付された「教育機会確保法」と呼ばれる法律では、不登校児童・生徒の増加を受けて、こうした子どもたちが教育を受ける機会を確保するため施策と財政上の措置を義務付けています。
また条文にも「休養の必要性」、「学校外の学びの重要性」などの言葉がもりこまれ、「不登校支援=学校復帰を目指す」という前提はなくなりました。
政策全体として、「学校への復帰を目指す」という考え方から、「学校外での学びを保証する」という考え方へ転換したと考えられます。
また、夜間学校、適応指導教室のような普通教育の周縁部にあった機関が整備されるだけでなく、フリースクールやインターナショナルスクールなど民間の施設が多様な学びの場として拡充されていくことが目指されています。

不登校支援政策の成果と課題

では、こうした不登校児童・生徒への支援がどれだけの効果を上げているのでしょうか。
不登校児童・生徒の数ですが、下のグラフに見るように増加傾向にあります。この点で、少なくとも平成28年度までの「学校への復帰」方針はあまり功を奏していないことが確認されます。

(出所) 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査」より作成

平成28年度以降は政策的な転換がなされていますが、この評価も非常に難しいです。28年度以前と以降を比較するデータはそう多くなく、加えて開始からそれほど時間が経っていないためです。

しかし、フリースクールや適応指導教室(学習支援センター)などの設置数の動向を確認することはできます。
例えば、5年前まで増減を繰り返していた適応指導教室の数は順調に増えています。

(出所) 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査」より作成


また、施設の設置数以外にも少しずつ成果は見られています。
例えば、学校外の機関での学習を出席扱いにされた児童生徒数は割合で見るとほぼ横這いですが、不登校児童・生徒の増加数に比例して対応件数が増えていることが確認できます。

 

不登校児童生徒数

学校外の機関などで相談・指導を受け、指導要録上出席扱いとした児童生徒数

割合

23年度

117,458

15,997

13.6%

29年度

144,031

20,346

14.1%

(出所) 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査」より作成

とはいえ課題も残ります。フリースクールを例に考えましょう。
平成25年度は不登校児童・生徒の数が12万6009人でしたが、そのうちフリースクールや塾などの民間施設で指導を受けたのは2633人と、全体の2%ほどにすぎません。その原因は大きく3つ挙げられます。

・地域的な格差
適応指導教室が行政の機関であるために都道府県間での格差が少ないのに対し、フリースクールは民間施設であるため都道府県によって数に大きな差があります。例えば、フリースクールを紹介するあるサイトでは東京都では88箇所であるのに対し、群馬県では3箇所、栃木県も5箇所にとどまります。人口比を考えてもあまりに少ない数と考えられます。

・自主財源
また、多くのフリースクールは自主財源で経営を行っています。そのため、利用者に対して会費や入会金を請求する場所は多く、経済的に厳しい世帯にとっては利用の障壁になっています。

(出所) 文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査の結果」より引用

・支援の質
支援の質も必ずしも十分とは言えません。下の図にもわかるように、専門的な資格を有するスタッフが少なく、例えば軽度な障害や他人とのコミュニケーションに難しさを抱える子どもへの専門的な対応が難しい施設も少なくないとされています。

(出所) 文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査の結果」より引用

こうした課題がまだまだ多く残されていることを認識しなければなりません。

教育機会確保法は当初「3年以内に見直しをする」という予定で、今年がちょうどその3年目の年です。十分な議論のもと、不登校児童・生徒や支援をする施設の実態に合わせた法改正が望まれます。

最後に

先ほども見たように、不登校児童・生徒の人数は増える一方ですが、「学校に行かなければならない」という立場に立たなければそれは危惧すべき現象ではないとも言えます。フリースクールなどの代替的な学びの場の整備が、「学校に行きづらい子たちにとっての別の居場所」になっているのであればそれは歓迎すべきことですらあります。
その中で、少年革命家ゆたぼんのように主体的に不登校を選択して学ぶと言う児童生徒も増えるかもしれません。その時に我々大人が取るべき態度も問われています。
私たちは自分たちが経験した教育と同じ教育を子どもに受けさせることを当たり前だと考えてはいないでしょうか。多様な学びのあり方を認められる社会になるためにも、まずは理解を深め、みなさんの周りにいる困りごとを抱えた子どもたちへのまなざしを振り返ってみてはいかがでしょうか。最後に、教育学者ピアジェの警句を引いて、終わりにします。

「たいていの人にとっての教育とは、子どもを自分たちの社会の典型的な大人に似た人物となるように導くことを意味します。」

今私たちには、学校に行かない子に学校に行くことを無理に促すことではなく、学校に行くことに困難を抱える子どもが学校に行かないままでも自分の生き方を見つけ包摂される社会を作ることが求められているはずです。

参考文献
文部科学省 不登校に関する実態調査
文部科学省 不登校に関する追跡調査報告書
文部科学省:義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律
日本財団 不登校傾向にある子供の実態調査
板橋宿福祉事務所 不登校児童・生徒と貧困・生徒への支援
文部科学省 教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査
文部科学省 児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査
文部科学省 小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査の結果
J-C.ブランギエ「ピアジェ晩年に語る」国土社

 

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