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自分の問題と他人の問題ー『「差別はいけない」とみんないうけれど。』から考えるー

2019.10.7

皆さんこんにちは。今回のコラムを担当するLeaningforAll 卒業生の藤原です。
突然ですが、皆さんは普段どのような問題のニュースに関心を持ちますか?

自分の問題と他人の問題

大学生であれば就活や入試の話題に、子育て中であれば子ども関連の話題に、仕事をしていれば自分の仕事関連のニュースに自ずと耳を傾けているのではないでしょうか(私はそうです)。

社会課題と私たちの関心について、綿野恵太さんの『「差別はいけない」とみんないうけれど。』をもとにちょっと分類してみます。

私たちは自分の持つ属性、つまり「アイデンティティ」と言えるものには日々関心を持つことが多いです。

そして、そのアイデンティティに関わることで何か「不合理だ」と思うことがあると、悲しんだり反発したり、その解決のために声をあげることもあります。
虐待のニュースに対して子育て世代が意見を言ったり、大学の入試改革について大学生が声を上げて反発したり、などが挙げられます。

その一方で、私たちは自分とは関係のない話題にも関心を持ったり心が揺さぶられることがあります。
例えば、昔の南アフリカでは黒人だけ入れない店があったという話がありましたが、それを聞いたときに多くの方たちは「あってはいけないことだ」と感じると思います。

私たち自身がその差別を受けた当事者でなくても、です。

これは「シティズンシップ」という概念によるものです。
シティズンシップ、つまり市民としてのあり方です。同質な人間だから、自分の問題じゃなくても対等に扱われないのはおかしい、という考え方です。

日々様々なニュースが話題になり意見が飛び交っていますが、主にこの二つの考え方からなることが多いでしょう。

経済格差は誰の問題か

これまでの社会において、差別や格差などの課題は、自分ごととしている人々が声をあげることで解決に向けて前に進んできた面があります。

一方、子どもの貧困の背景でもある「経済格差」についてはどうでしょうか。

経済格差は日本における大きな課題の一つです。
2016年の日本の相対的貧困率は15.7%であり、約6人に1人が相対的貧困の状態にあります。
アメリカから見た日本の貧困についての記事にも出ています。

しかし、経済格差に対しては、一般的に「自分で解決するものだ」という目線が強くあります。機会はあるのだから働いていないのが悪い、頑張って稼ごうとしていないのが悪い、能力に見合った報酬なのだから仕方ない、等。

仕事ひとつ取っても、そこには自分の力ではどうにもできない部分があります。働いていても十分なお金がもらえるとは限りませんし、そもそも仕事があるかどうかも場所や景気に左右されます。仕事ができる状態であるかにも人それぞれの事情があります。

こと「経済格差」については、当事者が声を上げづらい状態にあるのです。

特に子どもの貧困については、子どもは自分で生まれる家庭を選ぶことができないですし、
自分で貧困を乗り越えるには大きなハードルがあります。経済格差があると学習や育ちなど他の課題が何倍にも膨れ上がります。

様々な課題を生むような経済格差は、アイデンティティの立場からも声をあげづらく、またシティズンシップの立場からも解決されにくい状態にあるのではないでしょうか。

誰かの問題と自分の問題と社会の問題

経済格差に限らず、人が抱える問題は様々です。
人間関係で悩んだり、恋愛で悩んだり、
家族とうまくいかなかったり、いじめられていたり、職場に納得がいかなかったり、
体のことで悩んでいたり、何かに引け目を感じていたり。
自分では変えられない要素で苦しむ人もたくさんいます。

最近では、今までよりも多様性が重視されるようになり、個人個人の違いや問題がよりはっきり見える社会になってきているように感じます。

それぞれが何かしらの悩みを抱え、アイデンティティを持つ。
だからこそ、他人の「自分はこんなに大変だ」「私たちの抱える問題をどうにかしてほしい」に対して共感する人も反発する人もいます。

個人の痛みは人それぞれで、全ての人がわかりあえるわけではない。
しかし、その一方で、誰もが何かしらの問題を持っていることは同じです。

問題を抱えているからこそ、私たちそれぞれが問題同士の違いを飛び越えて繋がっていくことができるのではないでしょうか。

LearningforAll では、「子どもの貧困に本質的解決を」というミッションを掲げています。
これは、かわいそうな子どもにただ足りないものを差し伸べよう、というのではなく
貧困、虐待、発達障害、いじめ、 社会的マイノリティなど、社会から取り残されている子どもたちが、生活のどの場面でも生きづらさなく暮らしていけるように、という意味を込めています。

社会の中の生きづらさを無くしていくことは、子どもに限った話ではありません。

直接的にあなた自身の問題が解決することではなくても、
どこかで同じ社会に生きるものとして問題同士は繋がっています。

個々人がアイデンティティを持ちつつ、個々人の問題同士の部分的な繋がりをもとに
シティズンシップを生かしていくことができるのではないでしょうか。

そしてそれは単なる「かわいそうだから助けよう」ではなく、社会課題のつながりと解決の可能性を見据えたものになると、わたしは思います。


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