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【職員インタビュー】〜子どもたちのあるがままを受け入れる〜
みなさん、こんにちは。Learning for All 職員の福田です。
今回のブログでは、4月に新規入職した池田隼人(はやと)さんのインタビューをお届けしたいと思います。
池田さんは都内の大学院在学中から私立の中高一貫校で教員を務め、3年間の教員生活ののちに今年の4月に Learning for All に転職しました。現在は学習支援拠点の現場責任者を務め、学生スタッフや学生教師と一緒に日々、子どもと向き合っています。
ー 学校教員になろうと思ったきっかけを教えてください。
元々、学校の先生になろうとは考えていませんでした。会計士や弁護士といった職業につきたいと思ってましたが、何か課題意識があったわけでもなく、社会的なステータスや収入への憧れがあってのもので、ぼんやりと「いいなぁ」と思っていただけでした。
しかし、高校2年生の時に転機がありました。
私は体育が苦手だったのですが、陸上だけは好きで、「頑張って速く走れるようになりたい」と考えていたんです。体育の先生に相談すると、とても親身になって指導くれた上に、授業の中でも声をかけてくれたり、教科以外の面でもお世話になりました。
それまで、学校の先生は優等生にばかり声かけをするイメージがあったので、自分にはそれがちょっと意外でした。
体育が得意だったわけでもないので、「体育では先生に気にかけられることもないだろう」と思っていたのですが、この出来事をきっかけに、その先生がどんな生徒でも平等に接してていて、生徒ごとの課題に一緒に向き合っていたのがすごく伝わりました。
それまで先生に顧みられることはなかったし、先生に対して良いイメージもなかったのですが、この経験を通してその先生と同じような存在になりたいと思ったんです。
勉強でも体育でも、何か苦手なことや悩みがある子が学校生活を送る上で、手助けをできるような存在でいたい…、それで学校教員を志しました。
ー LFAで働き始めたきっかけを教えてください。
社会科の授業の中で子どもの貧困を取り上げようとし、その準備で調べ物をしているうちに、Learning for All の存在を知りました。
今まで、社会学の分析やルポみたいな貧困の問題提起はされていても、社会的な排除に対して「どのように包摂するか」という考え方がないと感じていました。
そのため対策も一時的なものにしかならず、資金援助、物資援助に留まり、本質的な解決には繋がらない。子どもの貧困の本質的解決は、あくまで本人が学力的にも経済的にも自立していなければ意味がないのに…と歯がゆい思いをしていた中で、この団体は少し違って見えたんです。
Learning for All は教育的観点だけでなく、福祉的視点を持っている。そして、職員インタビューを見ると、全員バックボーンは異なれど、真摯に子どもの貧困という課題に向き合っている…。そう感じました。
自分は学校教員という立場で、授業で貧困を扱ったり、たまにボランティアで関わるようなことはあっても、結局はそれだけでした。
それこそ「社会科見学」をしている状態で、自分は安全なところに立ったままだと思ったんです。
もちろん、自分もクラスの中で目立たない子、打ち解けられていない子、保健室にしか登校ができない子、表現が下手で先生や友達に対してどうしても粗暴な発言・行動をしてしまう子の話を聞いたり、その子たちと向き合ってきたつもりです。
ただ、そういう姿勢が学校の中で一貫してできる訳ではないです。他の先生からすると学年経営、クラス経営が大切。できるだけ多くの子どもの声を聞きたいが、なかなかそれができないんです。そのことが原因で他の教員とぶつかることもありました。
「自分のいるべき場所は学校という綺麗な場所ではない。難しい課題を抱えた子に少しでも多く向き合える場所にいたい。」と思って、教員を辞めてここにきました。
ー 子どもと接する上で大切にしていることを教えてください。
その子のあるがままの姿を受け入れることです。
例えば現代の社会では、学校であれ会社であれ、社会的に「あるべき姿」が強いられている現実があります。暗黙の了解のうちに社会から必要とされている条件があって、それを満たせていない人は既存のレールから外れてしまう。
人は、「人材」という言葉で表されるような材料ではなく、かけがえないのないもの、存在それ自体がありがたいもの、それぞれにきちんと名前があるし、他のものでは置き換えができないものです。
特に子どもは、いい意味でも悪い意味でも外からの視線を素直に内面化してしまう存在だと思っています。
子どもたちは「褒められたい」「認められたい」という存在そのものへの承認の欲求を伝えてきます。その子どもからのメッセージに対して「あるべき姿」を求めるのではなく、その欲求に応えてあげることが大切だと考えています。
例えば、学校現場や今のLFAでも学習支援の場で子どもと出会いますが、「勉強する」ことを求める以前に、その子がどんな子であるか、どんな人柄なのかを理解し、そのあるがままの全てを受け入れることを大切にしています。
実際にLearning for All にきてから指導をした中学生の男の子は、学力も低く、部活も途中でやめてしまい、「どうせ自分はバカだから」と自分を卑下するような子でした。
でも、その子は好きなことに本当に真摯に取り組めている子でした。自分の好きな自動車の話となると目を輝かせて話をしてくれ、私も興味を持てるようになりました。
それは決して僕にはできないことで、彼には彼の輝きがあります。
背景や特性にかかわらず、子どもたちは誰でも輝きを持っています。勉強よりも人間性を見た上でその子と全力で向き合うことで、その後に初めて学習支援がついてくるものだと考えています。
ー LFAにきて感じていることを教えてください。
一番良い意味で期待を裏切られたのは、学生も職員も、一人として同じ動機ではないことです。
その中で、自分自身が貧困の当事者だった経験を持つ人もいれば、貧困の当事者ではないけど何かをきっかけに社会課題に対して向き合っている人もいました。
最初、職員や学生の動機を聞いていると、やはり自分が当事者だった人は一定数いて、その人たちの言葉は目立ち、かっこいいと感じていました。
しかし、同時に、自分自身は特に課題の当事者ではないことに何かしら負い目を感じていたんです。
でも、学生スタッフとLearning for Allにいる動機を語る機会があり、ある学生が言っていたことに励まされました。
「今まで社会課題に向き合ってこなかった。僕は貧困の当事者でもない。でも、課題に向き合い解決するには、そうした人を巻き込んでいく必要がある。一番重要なのは、自分のように貧困の当事者でもない人にも課題意識が芽生えることだと思う。」
その言葉に勇気づけられました。
それから、自分自身が貧困の当事者であるか否かに関わらず、双方がそれぞれ協力をして学び合って、時にはあるべき対立をして、刺激し合うことが大事だと考えるようになりました。
大学生と活動する中で、学ぶことが本当に多くあります。私はそれこそが Learning for All の魅力だと思っています。
これほどの活動に対して、熱意と時間をかけられる学生たちのやる気の源泉がどこにあるのか、しばしば深く考えさせられるくらい熱心にやってくれています。そうした学生さんたちの姿が見られるのは、本当にすごく嬉しいです。
ー LFAでこれから何を達成したいですか。
今まで教育業に身を置いてきたが、LFAの拠点は学校でもないし、塾でもなく、「最後の居場所」だと思っています。
当面は、まだ出会っていない、LFAにつながっていない子どもたちとできるだけ多くつながって、支援をすることによって少しでも彼らの困っていることを解決したいと考えています。
とはいえ、子どもたちにとって学校は生活の中心になる場所です。
これから学校と連携した拠点運営も行うことになりますが、学校の中でちょっと居場所がなかったり、先生とうまくいかないとか、そういう子はたくさんいるはずです。
その子たちが少しでも安心できる空間を、学校の中でこそ作っていきたいと考えています。
■社会人向け活動説明会開催中!
Learning for All では月に4回、メディアの情報だけではわからない「子どもの貧困」の実態やLFAの活動について紹介するイベントを開催してます。子どもたちの明るい未来を支えるため、私たちに「今、できること」を一緒に考えましょう。
■マンスリーサポーター募集中!
Learning for All ではサポーターを募集しております。
1,000円の寄付で子ども1人に1時間の学習支援が届けられます。
皆さまのご支援が、子どもたちの学習機会の拡大につながります。
皆さまのご寄付は、一人ひとりの子どもたちの未来を作っていきます。
ぜひ、子どもたちの未来を一緒に応援してください。
■職員募集中!
Learning for All では、一緒に働く仲間を募集しております。
■社会課題に挑む、学生ボランティア・インターン募集中!
Learning for All では学習支援・居場所支援の2つのプログラムで参加学生を募集中です。プログラムへの関わり方もボランティアとインターンの2種類ご用意しています。
まずは以下の画像から、子どもの貧困やLFAの事業内容・プログラムについて説明した動画をご覧ください。
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