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【Learning for All職員インタビュー vol.4】絶望的な現実を見つめながら、社会は変わるという希望を打ち立てる

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Learning for All職員インタビュー、第4弾の今回は、採用から研修まで幅広く業務を担当している入澤をご紹介いたします。入澤は、学生時代にLearning for Allで学習支援教師やスタッフを経験したのち、トロント大学オンタリオ教育研究所への留学を経て、今年10月にLearning for Allに入職しました。

ー大学卒業後、職員として入職するに至った経緯を教えてください

僕の場合、入職というより復職と言った方が適切かもしれません。大学生の頃からNPO法人として独立前のLearning for Allで非常勤職員として働き、学習支援のプログラム開発と現場運営の統括業務を3年以上かけて行っていました。当時は学習支援プログラムのあるべき姿を誰も描けておらず、仲間たちと日々手探りでプログラムを改善していました。大変なこともたくさんありましたが、教育格差の厳しい現実の中にいる子どもたちが十分な支援を受けられず、社会の中で置き去りにされているという現実への憤りが、常に自分を突き動かしていました。「困難を抱えた子ども」なんていない。社会に歓迎されて幸せに育つべき子ども達が、大人たちや社会によって理不尽な困難を抱え込まされているんだと思いました

LFAで働くうち、いつしか自分の社会への憤りは「日本とは違う社会のあり方を見てみたい」「違う社会で子どもたちがどう育っているのか知りたい」という思いに変わっていきました。そこで、一念発起して留学を決意。2年前、大学卒業と同時にLFAを退職して、カナダのトロント大学オンタリオ教育研究所(OISE)の修士課程に進学しました。「多様性を歓迎する」という標語を掲げるカナダの社会のあり方を体感しながら、世界的に権威のある教育研究の拠点で研究を行えることに魅力を感じて留学先を決めました。OISEで学び始めて驚いたのは、OISEで学ぶ教育者たちの社会正義への熱意です。OISEで学ぶ全員が「どうすれば教育を通じてより民主的な社会、公正な社会を実現できるか?」という問いと向き合っていました。社会の中で一番弱い立場に置かれた子どもの立場から社会を見つめ、子ども達をエンパワメントすることが、教育に携わる人間たちが持つべき共通の態度になっていた。彼らにとっての当たり前が僕にとっては驚きの連続で、日々感動していたのを覚えています。

留学中は大学院で社会正義教育について必死に学びながらも、トロント市内の学校を見学して周ったり、マイノリティの子ども達を対象として活動している活動家のもとを訪ねたりしていました。常に考えていたのは、どうしたらカナダの教育者たちの「当たり前」を日本に伝えられるかということです。博士課程に進むことも考えましたが、論文を書くだけではきっと伝わらないその「当たり前」をどうにかして伝えていくことがまず何よりも重要だと思い、帰国を決意しました。そんな時、Learning for All代表の李から「社会正義の魂をLFAから広めて欲しい。」と声をかけられ、LFAに復帰しました。

ーLFAで入澤さんが実現したいことを教えてください

絶望的な教育格差の現実を見つめながらも、社会は変わりうるという希望を打ち立てることをLFAの活動を通じて行っていきたいです。今のこの社会では、耐久年数を過ぎたシステムの綻びからこぼれ落ちて置き去りにされる子どもたちに対して、労働市場や社会保障のあり方を含む社会の歪みを見据えた上で、粘り強く必要な支援を行っていくことが求められています。ただ、必要なリソースがあらゆる面で足りない現状では、できることに限りがあります。支援の必要な子どもたちと向き合っていると、やるべきことの多さ、そして自分たちの至らなさに絶望しそうになります。それでも、身を切りながらも思考を切らない、ただただ粘り強く考えて必要な課題解決をしていく・・・そんなあり方を保ち続けないといけないと思うんです。

Learning for Allは今までそうやって学習支援事業を開発、運営、そして展開してきました。子どもたちの学力向上において大きな成果を出し、人生の選択肢を増やすことに貢献しています。ですが、まだまだあるべき姿にはほど遠いと感じています。今後は中学生を対象としたこの学習支援事業をさらに改善しながら、より低年齢の子どもたちへのプログラムを開発することにも注力していきたいです。学びがテストに縛られる日本の教育の現状と向き合いながらも、それでもしなやかに強く生きていく人を育てるための学びのあり方を模索し、提供していきたいです。

一方で、社会のあり方自体が変わらないとどうしようもないという厳しい現実もあります。学習支援事業の現場で教師を務めた学生が社会に出て活躍することで、社会のあり方を変えていくという長期的なアプローチをLFAは掲げています。ただ、アラムナイ(卒業生)ネットワークという強みを強調する組織は世界中にたくさんありますが、実は僕が魅力を感じるものはあまりありません。当然といえば当然なのですが、組織黎明期に出現する一部の突出した個人たちが既存のシステムの中で活躍している、そして他の人たちがその個人たちのフォロワーになっているということがほとんどですよね。

卓越した個人によって新たな社会事業が展開されたり、法律の制定が導かれたりということが起これば素晴らしいですが、この社会でやらないといけないことは他にもあるように思います。それは、人々が「当たり前に持つべき人権意識を獲得すること」、「不利な立場に置かれた人のところから社会のあり方を考えること」そして「自分たちが声を上げれば社会は変わるのだと信じられること」ではないでしょうか?変えるべきことを一言で言うのは難しいですが、それは「世の中の常識」と言ったり、「時代の空気」、「パラダイム」などと言えるはずです。

それを行うためにまず必要になるのは、「今あるテーブルの上で踊る人間」よりも、「社会正義を語るための新しいテーブル」なのだと思います。「力のある変革者を待つ」のではなく「自分たちの声を力にする」ことこそが社会を変えるためには必要です。私はLearning for Allのアラムナイ組織を、そういったテーブルを作る組織にしていきたいですし、そのために頑張りたい。LFAのアラムナイの中には教員になる人もいれば、企業に行く人も、官僚になる人もいます。LFAの現場よりももっと大変な現場でこそ働きたいという人だっている。その全員にテーブルについてもらいたいんです。

幾重にも重なる不平等な条件を無視して自己責任論が叫ばれ、人間の尊厳がないがしろにされるこの社会では、どれだけ正義を叫んでも声がかき消されるような無力感が漂っているように感じています。その無力感を打ち消していくには、貧困の現場の目撃者たちが「この世界がこのままでいいはずがない!」という心の奥から突き上げる衝迫を大切にして、一つ一つ必要な言葉を紡ぎながら語る場が必要だと思うのです。テーブルの上に希望を乗せて語りたいですね。その言葉がテーブルの外にも溢れ出し、次の時代の常識になっていくようにしていかなければなりません。

ー今後の人生の目標を教えてください

僕が人生を通じて取り組みたいことは、社会正義を教育の真ん中に置くことです。家庭の所得、生まれた地域、ジェンダー、セクシャリティ、人種、宗教・・・この社会で生きていくのに不利になる条件を例え何重にわたって持っているとしても、どんな人も自由で幸せに生きていける社会にしたい。そのためには、社会の周縁に置かれた子ども達の横に立って、彼らが日常で被る差別や抑圧に共に抗い、常により公正な社会のあり方を目指していく・・・そういった教育のあり方が必要です。僕は将来OISEに戻って博士号を取得し、社会正義教育についての研究を続けていきたいと思っています。ただ、理論は実践と繋がり現実に働きかけないと意味はない。どのようにして将来実践を広めていくのかを考え、今のうちから種を蒔いていきたいと考えています。

ーこの記事を読んでいる方へのメッセージ

現在、Learning for Allの学習支援の現場から見える子どもの貧困の現状や、どのように現場の先生たちが子どもたちを指導しているのかについてお話しする場として小規模の説明会を開催しています。私が登壇してお話しさせていただいています。この記事を読んでLFAに少しでも興味を持ってくれた人がいるのなら、ぜひお話しさせてもらいたいです。特に学生の方は説明会で話を聞いた上で、ぜひLFAのプログラムへの参加を検討してみてください。よろしくお願いします。

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説明会予約およびプログラムの詳細はこちらから:http://saiyou.learningforall.or.jp/

▼説明会日程
11月14日(月) 18:00-20:00
11月15日(火) 18:00-20:00
11月18日(金) 18:00-20:00
11月21日(月) 18:00-20:00
11月22日(火) 18:00-20:00
11月24日(木) 18:00-20:00
11月29日(火) 18:00-20:00
12月1  日(木) 18:00-20:00

▼開催場所
Learning for All オフィス はなれ (都営新宿線 曙橋駅より徒歩3分)

▼Learning for Allとは?
質の高い学習支援を通して、困難を抱えた子どもたちの可能性を広げるとともに、将来教育現場や社会でリーダーシップを発揮する人材を育成する、大学生向けプログラムを運営するNPO法人です。団体について詳しくはこちらをご覧ください。:j.mp/lfa_hp

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