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【子どもの貧困と奨学金】奨学金の現状から見る教育格差

2018.8.2

みなさんこんにちは。Learning for All 職員の藤原です。
今回のブログでは、子どもの貧困と奨学金の関係について紹介いたします。
Learning for Allは「教育格差を終わらせる」ことを目的に活動しているのですが、今回は奨学金について詳しく見ることで教育格差の一側面を明らかにしていきたいと思います。

奨学金を借りている大学生は二人に一人

皆さんの中にも奨学金を借りている・返しているという方がいらっしゃるのではないでしょうか。
日本で一番大規模な奨学金としては、日本学生支援機構が実施しているものがあります。日本学生支援機構によると、大学生・専門学校生などの『2.7人に1人』が奨学金を利用しています。

以下の家庭の年収別の高校卒業後の予定進路のグラフをご覧ください。

(東京大学大学院教育学研究科 大学経営・政策研究センター(2009)図3-2よりLFA作成)

家庭の年収に比例して、子どもの4年制大学への進学率が上昇しています。反対に年収が少ない家庭ほど就職などの割合が高くなっています。年収400万円以下の家庭では高校卒業後4年制大学へ進学する割合と、進学せず就職する割合が同程度になっています。

進学か就職かの違いは、生涯賃金に直結します。

(独立行政法人労働政策研究・研修機構(2017)よりLFA作成)

図のように、中卒、高卒、大学・大学院卒では生涯賃金に格差があり、特に高卒と大卒では男性で6200万円、女性で7000万円ほどの差が出ています。

学歴と生涯賃金の関係を踏まえると、家庭の年収の差が子どもの生涯賃金にも影響を与えるという貧困の再生産が進んでいることがわかります。
奨学金があるとはいえ、年収と進学率が比例しているのはなぜでしょうか。

教育費負担と奨学金

その理由として、そもそも大学などに進学する前の段階で、家庭での教育費の負担が大きく、奨学金などのサポートが少ないということがあります。

文部科学省の「平成28年度子供の学習費調査の結果について」(2017)によると、幼稚園〜高校の期間全て公立に通った場合で合計540万円、全て私立に通った場合で1770万円かかっています。日本で一番大規模な日本学生支援機構の奨学金は高等教育に限られている一方で、その前段階の教育費の負担は539万円以上になっています。

ケース1:全て公立に通った場合
ケース2:幼稚園のみ私立に通った場合
ケース3:高等学校のみ私立に通った場合
ケース4:幼稚園および高等学校では私立に通った場合
ケース5:小学校のみ公立に通った場合
ケース6:全て私立に通った場合
(文部科学省の平成28年度子供の学習費調査の結果について(2017)図10よりLFA作成)

日本労働組合総連合会による「大学生・院生の保護者の教育費負担に関する調査」では、「大学に入学させるための教育費」について、世帯年収別の負担感の度合いが明らかになっています。「大学に入学させるための教育費」について世帯年収が1500万円以上の世帯では「非常に重い負担である」と感じている世帯が12.2%である一方、200万円〜400万円未満の世帯では61.5%が「非常に重い負担である」と感じています。

そもそも、日本は他のOECD諸国に比べGDP比でみて高等教育より前の段階の教育への公的支出が少ないと言えます。

子どもの貧困のその先にある奨学金

現在奨学金は給付型を拡充する方向性が打ち出されていますが、全学年で6万人という規模であり、全国で無利子奨学金の貸与人員が52万人、有利子奨学金の貸与人員が82万人という状況の中、十分とは言えずほとんどが貸与型を受給しています。

給付型でない奨学金は大学進学の手立てになる一方で、借金を就職後の子どもに押し付けることにもなります。

日本学生支援機構のホームページでは、平成24年度から平成28年度において奨学金によって自己破産となった件数が8000件以上あったと報告されています。

つまり、親が子どもの学費を用意できずに奨学金に頼る場合、奨学金に頼ることになり、奨学金を借りた子どもがそれを返せなくなりまた貧困に陥ることになってしまっているのです。

子どもの貧困、貧困の連鎖を終わらせるためには、どんな家庭の子どもでも適切な教育を受けられることを目指し、教育費の面でも家庭の責任ではなく社会全体で子どもを育てていく意識が必要ではないでしょうか。


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【参考文献】
「奨学金事業の充実」,文部科学省ホームページ
「平成30年3月 日本学生支援機構について」,独立行政法人 日本学生支援機構,2018
「平成28年度 学生生活調査」,独立行政法人 日本学生支援機構,2018
「平成30年度奨学金ガイド」,独立行政法人 日本学生支援機構,2018
「OECD カントリーノート 図表で見る教育2017年版」,OECD,2017
「報道関係各位 大学生・院生の保護者の教育費負担に関する調査」,日本労働組合総連合会,2015
「高校生の進路と親の年収の関連について」,東京大学大学院教育学研究科 大学経営・政策研究センター,2009
「ユースフル労働統計」,独立行政法人労働政策研究・研修機構,2017
「平成28年度子供の学習費調査の結果について」,文部科学省,2017
「平成30年3月12日更新 奨学金返還者の自己破産に関する報道について」,独立行政法人 日本学生支援機構,2018

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