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これまでのLFA通信 ①

2018.6.19

こんにちは!
LFA通信です。
LFA通信では、今回と次回の2回に分けて、15回にわたりお届けしたこれまでの内容のまとめを紹介します。

LFA通信では、これまで様々なことを取り上げてきました。
LFAの活動の紹介から、LFAが向き合う子どもの貧困・教育格差などの社会課題、活動の一つである学習支援事業について、などなど…。
これまでの15回を通して、読者の皆さんがLFAの活動はもちろん、私たちが向き合う課題の中身やそれに対する解決方法を知り、自分ならどんなことができるか考えていただけていたら、筆者としてとても嬉しいです。

今回と次回は15回を記念して、これまでLFA通信を書いてきた筆者が、15回の内容をまとめ、LFA通信にこめた想いをお伝えします。
LFA通信がはじまって約9か月、最新版の子どもの貧困率が発表されたり、様々な自治体で学習支援の取り組みが進んだりと、子どもの貧困・教育格差を取り巻く状況も変わってきました。
今の状況であればどんなことを考えるか、そんなことも頭におきながら読んでいただきたいです。
また、これまでLFA通信を読んだことがない、という方にも、まとめを通じて内容に少しでも触れていただけたらと思います。

 

■学習支援を通して社会構造の変革に向き合う

第1回 LFAをもっと知ろう!一緒に解決しよう!
初回では、LFAがどんな団体なのか、何を目指して活動をしているのか、またLFA通信がどんなことを伝えていくのかといったことを紹介しました。

その上で、
第2回 学習支援を通して社会構造の変革に向き合う
では、LFAの活動における3要素をもとに、LFAの活動を簡単に紹介しました。
LFAの活動の3要素とは、①実践②人材育成③発信・提言です。
①実践を通じて今まさに困難を抱える子どもたちに支援を届けるとともに、②人材育成でこれからの課題解決リーダーを育成します。そして、③発信・提言を通して多くの人を巻き込み、社会の在り方を問い直していくのです。

では、こうした活動の中で、LFAはどのような問題に向き合っているのでしょうか。

 

■困難を背負い込む子ども達


LFAが向き合う社会課題の一つに
子どもの貧困、というものがあります。

第3回 困難を背負い込む子ども達
では、子どもの貧困とはどのような状況なのかについて説明しました。
この記事を公開した時点では、日本において6人に一人の子どもたちが「貧困状態」と言われていました。
その後、昨年度の発表では7人に一人の割合になりましたであると言われました。
しかし、依然として困難を背負う子ども達がいることには変わりがありません。

「子どもの貧困」を経済的状況で考えると、どの程度の水準になるのでしょうか。
今の日本では、1人世帯では年収122万円、両親と子ども2人の4人世帯では244万円が貧困線とされます。
つまり、子ども2人の4人家族で、月収およそ20万円以下の生活をしなくてはならない状態ということです。
子どもの貧困とは、こうした貧困世帯に属する子どもの割合を指します。
しかも、122万円や244万円という数字は貧困世帯の上限です。
実際にはこの値よりも、月20万円よりも厳しい状況の貧困世帯がたくさんいるのです。

また、子どもの貧困の持つ問題は厳しい経済的状況だけにとどまりません。
実際には、経済的な貧困状態がさらに困難を呼びます。
LFAでは子どもの貧困が子どもたちにもたらす問題として、<1>経済的な理由による学習機会の不足<2>著しい学習の遅れ<3>希望が持てない<4>安心・安全な場所がないといったことがあると考えています。
子どもの貧困という問題状況は、本人にやる気があったとしても、環境によって様々な機会を制限してしまいます。
子どもたちは、自分の力が及ばない範囲で世の中の当たり前から外れてしまうのです。
こうした状況は「今この時点」だけではありません。
子どもたちは「今」と「未来」に様々な困難を背負うことになります。

(出典:『子どもの貧困白書』(2008)「子どもの貧困を定義する」p.11の図を引用。経済的困難が様々な困難を呼び、貧困が連続・連鎖していくことがわかります。)

では、貧困という状況はどのようにして生み出されてしまうのでしょうか。
努力してこなかった本人が悪い、そういう考え方もあるかもしれません。
第4回 社会が生み出す子どもの貧困
では、ひとり親世帯の状況を例に挙げて貧困は社会の仕組みから生まれていることをお伝えしました。
日本のひとり親世帯は世界的に見て貧困率がずばぬけて高い状況にあります。


(出典:OECD(2008)”Growing Unequal? Income Distribution and Poverty in OECD Countries”より筆者作成。頑張って働いても貧困状態にあるひとり親世帯がずばぬけて多いことがわかります。)

その背景には、ひとり親世帯の多くが、働いても働いても生活が苦しいワーキングプア状態にあること、それにも関わらず公的な支援が不十分であること、といった理由があります。
貧困を自己責任という言葉で片づけてしまうにはあまりにも厳しすぎる社会状況があります。

その上で、
第5回 子どもの貧困を考えるー子どもの貧困はなぜ社会で解決しなければいけないのか
では、子どもの貧困を社会的にとらえ、解決していくためにはどうすればいいのかということを考えました。
これまでの第3回・第4回から、社会と貧困問題を切り離し、個人の問題に押し込めてしまう事はできないことがわかりました。
LFAでは、今まさに「当たり前」が社会の仕組みによって脅かされている子ども達を支援しています。
しかし、「子どもたちがかわいそう」という施しの発想で支援を行ってはいません。
子どもたちには当たり前に持っている権利があり、子どもたちそれぞれが可能性の塊です。
彼ら・彼女らの立場に立ち、もともと備わっている力を引き出す支援が必要なのではないでしょうか。


(LFAのプログラムで学習に取り組む男の子)

 

■日本にもある教育格差

LFAが向き合うもう一つの社会課題が、教育格差です。
小・中学校と義務教育が整備され、高校進学率も9割を超える日本で教育格差があるということは、少し考えづらいことかもしれません。

第6回 学ぶことは当たり前ではないー日本にもある教育格差
では、それぞれの子どもたちが持つ社会・経済的背景が学力や意欲に影響を及ぼすことをお伝えしました。
こうした格差が生じる背景には、国家負担の小ささや、それぞれの家庭が持つ価値観・情報量の違いがあります。
制度として教育機会が設けられていても、環境によって教育機会・その先の結果が左右される状況が日本にもあります。


(出典:お茶の水女子大学「文部科学省委託研究 平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」https://www.nier.go.jp/13chousakekkahoukoku/kannren_chousa/pdf/hogosha_summary.pdf)
(小学6年生・国語(基礎)での調査結果。勉強時間は平日1日あたりの学校の授業以外での学習時間)
(SESとは、家庭の社会・経済的な状況のこと。Lowest SES の子どもが家庭で3時間以上勉強した時の得点(58.9)よりも Higher SES で全く勉強しない子どもの得点(60.5)の方が高くなっています。頑張って勉強すれば必ずいい点数がとれるわけではなく、子ども自身の努力を示す”勉強時間”よりもSESという”家庭の背景”の方が大きい影響力を持つことがわかります。)

第7回 教育格差のある社会
では、教育格差のある社会がどのような前提で動いているのかということを考えました。
現在の学校制度には様々な機能がありますが、そのうちの一つが学習を積み重ねることで、能力を得て、その先の進路を獲得することです。
それは、生まれに左右されることなく自らの努力によって希望する人生を歩むことができるようになることを目指しています。

しかし、努力は必ず報われるのでしょうか。
この回では、実際には、自分の力ではコントロールできない周りの環境や社会的要因によって、どのような教育を受けられるか、どんな結果が得られるのかが変わるということもお話ししました。

そもそも、努力すれば報われるという社会は実現できるのでしょうか?
努力のその先にある結果の格差はそれがどんなに大きなものでも受け入れていいのでしょうか?
現在の社会のあり方に合わせるだけではなく、そもそもどんな社会のあり方が望ましいのか、それ自体を考える必要があります。

第8回 教育はどこまでが当たり前なのか
では、これまでの内容を踏まえて、教育は十分に権利として守られている=誰もが教育保障されていると言えるのか?ということを考えました。
現在日本には、経済的な理由から学校に通うことが困難な家庭に対して、就学援助という制度を通して金銭的援助が行われています。
この就学援助ですが、現在その受給率が上昇しており、就学援助を受け取ることは特別なことではなくなっています。
また、その金額が不十分であることや、地域によって受給金額に差があるなど、保障内容も十分ではないといわれています。
特別なはずのことが特別でなくなり、制度自体に不十分な点がある以上、全体で必ず保障しなければいけないラインというものも考え直さなければいけないのかもしれません。

例えば、現在では当たり前となっている高校進学は、1970年代頃までは生活保護受給世帯の高校進学は制度上不可能でした。
現在はこの問題は解消されていますが、何が当たり前として保障されるかは、時代・社会状況によって変わってきました
今の制度がこうだからと決めつけることなく、今の「当たり前」は本当に当たり前なのか、問い続けることが大切なのではないでしょうか。

 

■学校と子どもの貧困

LFA通信では、子どもの貧困・教育格差を語る上で、学校教育にも注目しました。
第10回 学校と子どもの貧困
この回では、学校が子どもの貧困問題と向き合う際に、構造的に困難を背負う子どもたちが見えづらくなってしまうという矛盾を抱えていることがわかりました。
もちろん、現場ではその矛盾をのりこえようと様々な努力が行われています。
しかし、学校への過度な要求や忙殺される教員達など、学校現場自体も困難に直面しているということもわかりました。

社会的な解決が必要な子どもの貧困問題ですが、子どもたちに多く関わる学校現場にも目を向ける必要があります。

 

■社会的な解決を探る

ここまで、第1回~第8回、第10回の内容をまとめてきました。
LFAは子どもの貧困・教育格差という問題に向き合っています。
LFAがこの問題に向き合う背景には、困難を背負う個人ではなく、社会の仕組みに課題があるのではないか、という考えがあります。
そのため、支援を通じて目の前の困難を解消していくとともに、社会の仕組み自体を問い直しています。
また、支援においては当事者や社会的状況を考え、前提を問い直しながら活動を行っていく必要があると考えています。

こうした具体的なLFAの活動内容や、その一つである学習支援事業が全国的にどんな状況にあるのかについては、次回のLFA通信でまとめていきます!


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