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社会を変える広報活動

2018.1.24

こんにちは!
LFA通信です。
前回より、LFA通信ではLFAの活動に焦点をあてています。

LFAの活動は①実践、②人材育成、③発信・提言を3つの柱としています。
今回はその中でも③発信・提言として、広報活動に注目します。

広報活動、というと様々な企業、団体、場面で行われています。
そもそも、広報活動とはどういう意味を持つのでしょうか。
企業の広報活動を広く支援している経済広報センターによれば、広報活動は「その事業の活動や方針を、広く社会に伝え、共感を得ようとする行為」です。

では、LFAの広報活動は何を広く社会に伝え、共感を得ようしているのでしょうか。
もちろん、そこにはLFAの活動があります。
学習支援や子どもの家事業など、具体的な活動の様子を日々伝えることで、LFAに興味を持ってもらい、一緒に活動する人やサポーターを増やすことを目指しています。
こうした活動は団体を強化するとともに、LFAの活動を通して、社会課題・社会が今持っている価値観を広く社会に伝えることになります。
そして、LFAの考え方について共感を得ようとします。

さらに、これからのLFAは広報活動を通して、様々な人と課題について考え、これからの社会の在り方を提示していきたいと考えています。
これによって、社会の価値観を皆さんと一緒に考え直していくことになり、より一層発信・提言という活動が活発化します。

LFAの広報活動にはこのようにLFA・社会課題を伝える広報という意味と、社会を問い直す広報という意味があります。
ここからは、LFAの具体的な広報活動とその活動が目指すことを紹介していきます。

■LFA・社会課題を伝える広報

LFAの広報、と言えばみなさんどんなことが思い浮かぶでしょうか。
多くの方はLFAのホームページやFacebookページなどをご覧になったことがあると思います。
日々の活動の様子や、活動している学生教師や職員のインタビューを伝えることで、LFAがどのような活動をしているのか、どんなことを考えているのかを知ってもらいます。
また、一緒に活動する学生教師を募集することも一つの広報活動です。

そもそも、LFAの活動とは、子どもの貧困教育格差といった社会課題の解決です。
LFAの活動を伝えることは、社会課題の存在を明らかにし、解決への道筋を発信することになります。
こうした点で広報活動には発信・提言という要素があるのです。

発信・提言のための具体的な広報活動の場として、大学生向けの活動説明会があります。
ここでは学生教師を募集し、一緒に活動してくれる人を募ります。
しかし、ただ学生教師を募集するだけではありません。
大学生向けの活動説明会では、LFAがどんな活動をしているのか、その裏にある思いや活動の根拠となる社会課題の現状を伝えています。
実際に活動説明会にはLFAへの参加を考える人だけではなく、どんな活動をしているのか知りたい、子どもの貧困や教育格差といった問題に興味がある人たちにもたくさん来ていただいています。

また、寄付者の募集も広報活動の一つです。
寄付者の募集では、学習支援や子どもの家事業といった社会課題の解決につながる活動に関する資金を募ります。
寄付者は単なる出資者ではなく、寄付を通じて社会課題の解決にともに挑むサポーターであり、LFAの一員となります。

LFAではホームページやFacebookなどのSNS、活動説明会や寄付者の募集などの広報活動を通じて団体を知ってもらうと同時に、社会課題の存在や解決につながる活動を発信しています。

■社会を問い直す広報

ここまで、LFAの活動やLFAが向き合う社会課題について伝える、”発信する”広報についてお話してきました。
では、広報のもう一つの役割である、これからの社会の在り方を提示する広報とはどういうことでしょうか。

LFAはこれまで、社会課題を解決するための実践を重ねるとともに、社会課題を解決する人材を育成してきました。
これらは子どもの貧困や教育格差といった問題を解決する・終わらせるために行なっています。
さらにLFAでは根本的な問題解決のためには、課題の裏にある根本的な社会の考え方の変革が必要ではないか、と考えています。

社会の状況、社会で起きている問題やそれらに対する社会の行動の背景にはその社会が持つ考え方があります。
例えば、以前紹介したように、日本には教育格差という問題があります。
この状況を改善するために、様々な手段がとられています。
奨学金制度の充実化や民間基金の導入、LFAが行っている学習支援のような学習支援事業の充実もその一つです。
これらの手段は今起きている問題を解決するためには不可欠なことです。

その一方で、これらの手段を通じて教育格差が解消すれば、問題は解決するのでしょうか。
第7回のLFA通信では、教育社会学者の耳塚寛明氏の主張から、必ずしもそうとは限らないことを考えました。
現状に合わせた行動だけでは、結局、教育”格差”の裏にある価値観は変わらないままです。
どのような教育、そして人が優れているのか劣っているのかという順位付けがされ、それが正当化される。教育や人はずっと順位付けされたままになります。

今の社会の形にあわせた行動は”救済的”措置でしかありません。
救済的措置は一時的には苦しみを取り除いてくれるかもしれません。
でも、苦しみを生み出す根本=社会はそのままです。
救済的な措置は今ある社会を当然のものとしていて、その社会に合わせた形での解決手段でしかないからです。
私たちが教育に対して向けているまなざし・価値観やその背景にある社会について問い直していかなければ根本的解決にはなりません。

LFAの広報活動では、発信・提言を通じて社会の”考え方”を変革することを目指してきました。
広報活動はLFA自身の考え方を発信するとともに、LFAの持つ考え方を世に問うことになります。
人々や社会が持つ価値観・考え方に直接関わる活動です。

LFAは社会の考え方に直接関わる活動として、これまで様々な講演会やイベントに参加してきました。
こうした活動に加えて、LFA教室という独自のイベントを開催しています。
LFA教室は社会人の方を対象としています。
これまで行ってきた様々な説明会と同様に、LFAの活動に関するエピソードを交えながら、子どもの貧困の実態や現状の国の取り組み、そもそもなぜ子どもの貧困は課題なのかについて説明し、LFAや社会課題について発信します。
しかし、LFA教室にはもう一つ、今までとは違う特徴があります。
それは、皆さまと一緒に考えることを大事にしていることです。

「理想の社会とは何か」
「理想の社会を実現するために、明日からどのようなアクションを取ることができるのか」

皆さんとの議論を通じて、改めて社会について考えていただくとともに、明日へのアクションを後押しします。

世の中で支配的になっている「正しさ」や「当たり前」といった価値観を変えていくためには、支配的な価値観とは異なる「正しさ」や「当たり前」を提示していく必要があります。
LFAはその新しい「正しさ」や「当たり前」を、実践人材育成を通じて示してきました。
同時に、広報活動ではLFAが考える「正しさ」を世の中に発信し、世の中で支配的な「正しさ」に疑問を持つ人を仲間にするとともに、これからは新しい「正しさ」を作っていく議論の場をつくっていきます。

■社会を変える広報活動 

今回のLFA通信では、活動の要素のうち発信・提言を担う広報活動を取りあげました。

LFAの広報活動では、LFAの活動を伝えることを通して、社会課題についても伝えています。
さらに、今後は社会の考え方を新しく作り直していくことも広報活動の大事な要素になります。

例えば、このLFA通信はLFA・社会課題を伝える広報であり、社会を問い直す広報でもあります。
LFA通信では、子どもの貧困や教育格差といった問題が存在することを伝えるだけではなく、こうした社会課題がなぜ問題なのか、ということを考えてきました。
子どもの貧困はなぜ問題なのか教育格差がある社会の何が問題なのか。こうした問いを立てながら、社会のあり方を問い直してきました。
LFA通信では、LFAの考えを提示するとともに、読者の皆様が問題を考えるときの材料にもなり得るものです。

■新しい考え方を”つくる”

さて、今回のLFA通信ではこれからの広報活動では皆さんと一緒に考えることを大切にしていきたいこと、そのための議論の場を用意することをお伝えしました。
そもそも、議論、あるいは対話とも言えますが、そういったことにはどのような意味があるのでしょうか。私たちが日々生活していく中で、正しさや理想は見えてこないのでしょうか。

政治学者の宇野重規氏は、現代は「理想の社会」が見えづらいと言います。
そのような現代においては、“対話”の中でそれぞれの「理想の社会」を知り、社会全体の「理想」を見つけ出していく必要があります。
“対話”は普通の話し合いや会話とは少し違います。
対話の根本には相手の話、引いては考え・価値観を聞くということがあります。
その上でお互いの考えを擦り合わせたり、あるいは共存していく道を探っていきます。
そこではどちらが正しいということを決めるのではなく、互いを確認し理解し信頼関係が築かれます。

しかし、政治の場など、現代の社会においては対話のような人同士の直接的な関係が回避されるようになっていると言われています。
互いを知るというよりは、自分の利益を大きくすることが目指され、「他者との直接的なかかわりを」回避する仕組みになってきているのです。
このような政治や議論の状況について宇野氏は「他者との対話の回路は存在せず、ともに何かをすることも想定されていない」と言います(注1)。

しかし、社会はひとりひとりの個人がただ存在しているだけでできているわけではありません。
ただ個人が存在するのではなく、社会の中の人と人のつながりが大きな社会の動きを生み出しています。
つまり、1人1人の考えをただ集めるだけではなく、さらに対話・議論というつながりを持つことによって社会の新しい考え方・動きというものが生み出されます。
お互いの考えを知り、対話を重ねて皆で考えることが問題を乗り越える鍵であり、必要な手段なのです。

そのため、LFAでは新たに議論のテーブルを作り出したいと考えています。
それは、一方向的にLFAの考えを発信・提言するだけではなく、コミュニケーションを取りながら新たな社会のあり方・考えを発信・提言する広報です。
LFAの広報活動では、世の中のすべての人が「社会課題」に対して当事者意識を持ち、何かしらのアクションを起こすことが当たり前になっている世界を作りたいと考えています。


さて、次回はここまでのLFA通信をまとめる回となります。
15回に渡る記事では、子どもの貧困・教育格差といった社会課題から、その考え方、LFAの活動まで様々なことをお伝えし、一緒に考えてきました。
これまでの内容を改めて整理し、社会課題・課題解決について理解を深めていきましょう!

(注1)宇野重規(2013)『民主主義のつくり方』筑摩書房


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